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ボートレース特集
この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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次回はオールスター!

Uu5w7833 名人戦は井川正人選手のGⅠ初優勝で幕を閉じました。いろいろな意味で記憶に残る一戦でしたね。

今節もご覧いただきありがとうございました。次回は5月22日~27日に開催されるSG笹川賞に参戦します。舞台はボートレース浜名湖。新プロペラ制度導入後の最初のSGとなります。おおいに注目される一戦、もちろん前検から最終日まで、現地よりレポートしてまいります。

というわけで、取材班も管理解除。一節間ありがとうございました。皆様、よいゴールデンウィークを! それではまた浜名湖で!(PHOTO/池上一摩)


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名人戦ファイナル 私的回顧

中年のキラ星

12R 進入順
④西島義則(福岡)06
②井川正人(長崎)07
③瀬尾達也(徳島)11
⑥今村 豊(山口)04
⑤吉本正昭(山口)10
①山室展弘(岡山)06

Uu5w7698  人生、54歳で花咲くこともある。
 表彰台に立ったのは、鬼才・山室でも、中年の星・今村でも、安芸の闘将・西島でもなかった。井川正人。デビューから32年で、GI優出はこれが2度目。SG経験なし。開催前にこのA2レーサーの優勝を予想した人が、全国にひとりでもいただろうか。井川本人でさえ「いやぁ、準優にでも乗れたらいいなぁ、くらいに思ってきたから……夢心地、ほんっと夢心地としか言いようがない」と笑顔の中に戸惑いを隠さなかった。

Uu5w7602  優勝戦そのものも、大番狂わせだった。もう、待機行動からスタンド騒然。ピットアウトから西島の猛プレスを浴びた山室が、向こう流しであさっての方向にぶっ飛んでいった。1マーク側から見ていた私には、山室が外の西島を弾き飛ばしたように見えた。が、よくよく見れば、飛んでいったのは山室だった。こんなの、今まで見たことがない。
Img_4735  当然、最内になった西島は、インに居座ろうとする。そこに、はるか向こうへ飛んでいった山室がブーメランのように大旋回して、真っ先にホームに“侵入”した。そして、内ラチすれすれにいる西島の真ん前へと艇を移動させている。2艇、一直線。
「おいおい、どっちがインだ??」
「なんだなんだなんだぁ!?」
 スタンドのファンも私も、もう訳がわからない。ただ、猛スピードで入ってきた山室の起こしが、80mよりもはるか手前になることだけは、容易に想像できた。
 こりゃもう、収まりがつかないな。

Img_4740  思った瞬間、山室がエンジンを噴かして、またまたバック水面側に飛んでいった。スタンド、再び騒然。今度は、悲鳴の如き奇声が大勢を占めている。回り直した以上、山室のコースは……大本命の6コースが、ほぼ決定したのである。
「うっそだろーーー!!!!」
「ナニやってんだ、ヤマムローーーッ」
「まくれまくれ、アウトからまくっちまえーーー!!」
 絶叫、また絶叫。山室のアタマ舟券しか買っていない私も、ギャーーとか、グワーーーとか、叫んでいた気がする。が、「山室、ふざけんなっ!」とは思わない。西島と山室の殴り合いのような“侵入”争いに、野生の血が沸き立っている。ただただ、ひどく興奮している。前検日、モーター抽選会場で隣合わせたふたりは、それはそれは賑やかに会話を交わしていた。仲良しこよしの子供ふたりがじゃれ合っている、それくらい親密かつ意気投合しているように見えた。が、いざ優勝戦の水面になれば、こうして50歳同士がノーガードで殴り合うわけだ。まあ、この光景自体も、腕白坊主ふたりの取っ組み合いに見えなくもなかったけれどw ちなみに、この1分ほどの間に、西島・山室ともに待機行動違反を取られている。やんちゃすぎる50歳。

Uu5w7666  インを奪いきった西島も、興奮していたかもしれない。それとも、80mちょいの起こしが深すぎたか、名人返り咲きへの思いが強すぎたか。とにかく、西島はスリットの手前でガクッと減速した。早くに起こしすぎて、全速では行けなかった。コンマ06。アジャストして正解だったが、同時に名人の座も遠のいた。2コース井川の行き足は、凄まじいものがあった。
「いやぁ、外から今村さんが見えたからまくってもらって、自分は差すことばっかり考えていたんですけど、ふっと左を見たら誰もいなかったもんで……(笑)」
 あっと言う間の1艇身差を利して、井川は西島を引き波に沈めた。2コースじかまくり。内から瀬尾のまくり差しが飛んできたが、ここでも節イチ11号機の出足~行き足がそれを許さない。瞬く間に後続を突き放し、一人旅に持ち込んでしまった。
 2着・西島義則、3着・今村豊、4着・山室展弘……SGスター3人を引き連れて、井川は静かにゴールを通過した。ガッツポーズはなかった。ウイニングランのときに、やっと大きく両手を広げた。が、その顔はどこかギコチのない照れ笑い。カラオケの間奏中に照れて仕方がない田舎のおっさん、そんな笑顔だった。自然、こちらの相好も崩れる。
「長いことやってると、いいこともあるなー、おめでとー!」
Uu5w7884  私の隣にいたオッサンが、大声で話しかける。田舎っぽい照れ笑いのまま、井川はうんうん頷いている。「ありがとーー」と答える。ウイニングランで会話しちゃってる。
 正直、私は山室の表彰式が見たかった。ここ3年以上も記念に参戦していない山室が、何をやらかしてくれるか、そればかりを楽しみにしていた。
 が、54歳の素朴なウイニングランを見ていて、「これもまた、いいなぁ」としみじみ思った。山室も今村も西島も、私と同じ50歳。親近感は抱いているけれど、同等同格に自分の身を置いて考えたことは一度もない。剛の西島、柔の今村、才の山室、すべて憧れであり、別次元のスターだ。今村が自身を「中年の星」と呼んだとき、こんなことを思った。
「星はいつまでたっても、手が届かないから星なんだよなぁ」
 同い年だからこそ、切実にそう感じるのである。今村豊が「いくつになっても夢は叶う。諦めないで頑張れば、中年でもこうしてSGを獲れる」と言ってくれても、どこかで「いやいや、でも、それは今村豊だからでしょ」なんて、遠い目になってしまったりするのである。今日も私は、憧れの同い年の言葉にただ酔いしれるつもりでいた(今日は、とりわけ山室の言葉を)。それが……
「長いことやってると、いいこともあるなー、おめでとー!」
「(うんうん)ありがとーーー」
 なのである。井川の照れ笑いとその声が、優しく胸に響いた。
 50過ぎても、俺、まだまだやれるかも。
 実感として、そう思えた。
 井川正人選手、54歳での名人就位、おめでとーー。来年、もっと大きな平和島の舞台で待ってます!(Photos/チャーリー池上、text/H)


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THEピット――心優しき名人誕生

Uu5w7138 「ヤマちゃん、どうした……?」
 水面際で観戦していた選手も、思わず首を傾げてつぶやく。山室展弘の謎の進入。どんな進入だったかは、回顧記事に任せるが、これまで見たこともない待機行動であった。
「なんか間違えたか?」
 百戦錬磨の匠たちでさえ、何が起こったのか理解していない様子で、誰もが呆然としているといった雰囲気だった。
 レース終了後も同様。ピットに戻ってきてボートリフトに艇を乗せたとき、隣り合わせになった今村豊が山室に声をかけている。イン争いの当事者だった西島義則も何か声をかけていた。陸に上がると、同期の松野京吾が笑いながら「なんやー、あれ」。結局、山室は皆の脳裏にクエスチョンマークをたくさん植え付けたことになる。
 モーターを返納しながら、優出メンバーに詫びている山室の姿があった。もちろん、結果に対して山室自身、納得はしていないだろう。とにもかくにも、この名人戦をおおいに盛り上げ、騒然ともさせ、話題を巻き起こした山室展弘。やっぱりビッグレースには欠かせない存在であるのは、間違いない。

Uu5w7121  西島義則は、とにかく気合が入っていた。前検時は55kgで、優勝戦の出走体重は51・5kg。この節間も、徹底的に減量をしていたのだ。レース前の表情や足取りはひたすらに力強く、ハッキリと決意のようなものが伝わってきたものだった。
 レースぶりにも気合があらわれていたのは、ご覧になった方なら納得だろう。闘志むなしく敗れた西島だったが、最後まで鬼気迫る戦いを見せてくれたと思う。
 レース後は比較的サバサバしているように見えたが、とにかく素早くモーター返納を終わらせていたので、表情の変化などはあまり読み取ることはできなかった。誰よりも早く着替えを終えて整備室に駆け込み、誰よりも早く整備室を後にしたわけだが、敗戦へのいら立ちを紛らわすためにさっさと帰ろうとした、みたいな物言いをしたら、それは深読みがすぎるだろう。
Uu5w7233   対照的に、いちばん最後まで整備室に残ったのは今村豊。のんびり返納作業をしていたのではなく、返納を終えるとペラを磨き始めていたのだ。そう、自分のペラで戦うのはこの優勝戦が最後。だからいたわるためにペラを磨いた、などと言ったら、これも深読みということになってしまうが、しかしペラへの愛情を感じてしまう動きであったのはたしかである。
 今村もまた、悔恨を強く見せるわけではなく、サバサバとした様子。もっとも、SGの優勝戦であっても同様ではあるから、切り替えて次の戦いに照準を合わせようとしているということだろう。
Uu5w6571  瀬尾達也、吉本正昭も、雰囲気は変わらなかった。瀬尾はもともと、派手に歓喜や悔恨を表現するタイプではないので、これも意外なことではない。吉本も黙々と返納作業をしており、帰り際に挨拶をすると穏やかに微笑みを返してくれたりもした。
 ようするに、レース後にはそれほど大きな動きがなかった、ということになる。瀬尾の返納作業を見届けて整備室を後にする岡孝に挨拶をすると、「お疲れ様でした。また来年もお世話になります!」とニコヤカに返してくれた。そう、名人戦は来年もある! この季節になれば、毎年リベンジの機会が匠たちには訪れるのだ。この淡々とした雰囲気は、ひとまずそういうことなのだ、ということにしておくとしよう。

Uu5w7223  さて、優勝は井川正人! これがGⅠ初制覇である。54歳4カ月のGⅠ初優勝は、あの万谷章(06年名人戦)に次ぐ歴代2位。「これまで脇で見上げていた人間が、中心になってしまったらどうなってしまうんだろう」と言って照れ笑いする男が、大仕事をやってのけたのだ。
 山室の回り直しで呆気にとられていた水面際の選手の輪の中から、突如歓喜が沸き上がったのは、まさに井川がまくり切った瞬間だ。山口哲治がガッツポーズして「やった! 井川さんだ!」と叫んだのだ。モニターでは瀬尾達也の差しが迫っているようにも見えており、井川が先頭で2マークに到達するのが確認できたときには、もういちど「やった!」。今村、西島、山室ら錚々たるメンバーをこの大舞台で打ち負かしたことは、井川自身だけでなく、ともに長く戦ってきた仲間をも興奮させたわけだ。
Uu5w7317  レース後の井川はもちろん笑顔笑顔笑顔! 会見では「夢心地ですね~。先頭に立ってからは無我夢中でした」と笑っていた。なんだか、自分なんかが獲ってしまっていいんだろうか、的な笑いにも見えたが、獲っていいに決まってます! お孫さんの話を振られて(初孫だそうです)「かわいいです~、はい。ははははは!」と照れる、心優しい名人の誕生は、ひたすらハッピーである。
Uu5w7893  で、もちろん水神祭が行なわれております! 同県の山口哲治、山口博司、あとは地元の山口勢という“山口だらけの水神祭”。水面に思い切り放り込まれた井川はびしょ濡れになって、やっぱり最高の笑顔を見せていた。
 これで来年の総理杯への出場権を手に入れたわけだが、なんと、それがSG初出場! 決して派手とは言えないが、長く一線で走り続け、もちろん努力も続けて、最高峰の舞台に井川は辿り着いた。「いや~、まだまだぜんぜん考えられないです」とやっぱり照れ笑いを見せていたが、その笑顔こそが多くの人に勇気を当たるのは間違いない。(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)

Uu5w7910 山口だらけの水神祭!

Uu5w7942


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H冥人の『的中しても焼け石に水ですけど……』予想

 さあ行こう、優勝戦!

12R優勝戦
◎①山室展弘(岡山)
 ②井川正人(長崎)
★③瀬尾達也(徳島)
 ④西島義則(福岡)
 ⑤吉本正昭(山口)
 ⑥今村 豊(山口)

123456か142356

 今村は締めてコース取るタイプではないので、オールスローが濃厚。キーマンの西島は、スタート特訓で130m起こし(枠なり想定?)と深イン80mの両刀使い。スタート展示で行くだけ行って、山室の態度を見て作戦を決めるつもりでしょう。本番は、枠なりになりそうな気がします。
 本命は山室。昨日と同じイメージでスリット~1マークを走れば、他艇は何もできません。井川の差しと瀬尾のまくりを封じて、バック独走。相手が難解ですが、瀬尾に絞ります。今節7戦は、コンマゼロ台5回とコンマ11が2回。やはりこのスタート力は大きな武器で、外の艇はどうしても仕掛けが遅れてしまう。先にぶん回し、山室の外にぴったり貼りつく光景が目に浮かびます。1-3決め撃ち、配当の妙味ある吉本への1-3-5が勝負舟券。

3連単★1-3-全
ミリオンアタック★1-3-5に3諭吉
(と行きたいところですが、今節はとても無理。書いてみただけです、ハイ><)


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“本紙予想”名人戦優勝戦

12R 優勝戦
1コース想定=山室 まくられ率9.8% 差され率17.1%
2コース想定=西島 逃がし率38.2%
展開予想のカギ①井川3コース時まくり/差し=1/5
展開予想のカギ②瀬尾4コース時まくり/差し=7/5
              5コース時まくり/差し=2/3
展開予想のカギ③吉本5コース時まくり/差し=2/6
              6コース時まくり/差し=1/1
進入は142356または1426/35。井川は3コース時まくりが少なく、またスタートが切れていないこともあって差しまたはまくり差しが濃厚か。スタート決めて握っていっても、山室のまくられ率も低く、まくりが決まる可能性は低いと見た。今村が4コースとなれば、スタート決めて攻めていく可能性もあるが、機力的にやや厳しいか。逃げて差しての山室-西島がやはり本線となる。もうひとつのポイントは瀬尾。4コース時にはやはりまくりが多いタイプで、攻め手になる。また、5コースの場合はカドで、このときもまた攻め手となりそう。山室がこれを張ると考えれば、外の吉本に展開が生まれそう。吉本は5コース得意で、今節6コースからの勝利もある。山室-吉本も狙いたい。山室が大きく張った場合も考えて、折り返しも。
◎山室 ○西島 ▲吉本  
3連単1=4-全 1=5-全


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