阿波まくり、不発。勝負駆けの4レース、阿波はコンマ10の全速でスリットを通過したが、イン・花田の05を筆頭に他の選手もスタートを張り込んで横一線に。4コースの太田も09で阿波に抵抗したため、無念の6着に沈んだ。ま、ピンかロクかは覚悟の上、運がなかったと言うしかない。
このレースでは、ちょっとした珍事が起こっている。5号艇の山本浩次が阿波よりも先に最アウトコースに陣取り、阿波を5コースに封じ込めたのだ。2日目の4レースで阿波にまくられた山本は、よほど悔しかったのだろう。「阿波くんは反則だよ」との名言を残したのだが、それを教訓にして「阿波の外に入る」という珍戦法を選んだのだろう。阿波に内4艇を掃除させて、自分が最内をズッポリ差す。そんな山本の思惑も、阿波のまくり不発で常滑心中になってしまったけれど。
この「阿波囲い込み運動」は、過去にもあった。平和島で阿波まくりを恐れた2艇が5、6コースを先取りし、阿波を4コースに封じたのだ。このときは阿波が4カドからあっさりまくって快勝したが、さすがSG、山本の”奇襲”の前に力尽きた。
「まあ、自分がそれだけ評価されてるってことですから、不愉快じゃありませんけど、やっぱ他のコースは難しいっス。外からの引き波も喰らいますから」
阿波はレース後、こう振り返った。なるほど。素人目にはアウトより5コースの方が有利に映るが、アウト屋にとっては難関なのだ。つまり、先に6コースに入った山本は、流れて阿波より前にいる。起こしの段階で山本の引き波が広がって、後ろから来た阿波の艇にぶつかる。6コースなら外からの影響がないから、通常のスタート勘とは微妙な狂いが生じるわけだ。
しかし、それでも阿波はその引き波も計算に入れて、コンマ10を決めた。6着に散った阿波の顔に、悔いの色はなかった。
「太田さんがすごく伸びてたんで……仕方がないっス。反省するなら昨日です。あのスタート(コンマ30)は情けなかった。悔いがあるとすれば、あれっスね」
後半の10レースでも阿波は5着に敗れ、準優突破はならなかった。一ファンとしては残念この上ないが、明日も阿波は走る。「準優だろうが負け戦だろうが一般戦だろうが、とにかくあの凄まじいアウトがましが見たい」という阿波中毒患者(もちろん俺もそのひとりだ)のために、明日も阿波は走ってくれる。(畠山)