この特集について
ボートレース特集 > 2日目終了――愛と興奮渦巻くピットから
この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
ライタープロフィール
カテゴリー
関連リンク
競艇サポーターズ
関連書籍

 ボートレース特集

2日目終了――愛と興奮渦巻くピットから

 DSC00021 あ~した天気になぁ~れ!
 池田浩二がスニーカーをポーンと飛ばした。笠原亮に何事か話しかけたあとに、「明日は天気が悪いぞ」と予言した池田は、だって、ほらな……と靴を飛ばしたのだった。ようするに、明日の天気予報を知った池田は、それを靴も証明しているのだと言いたかったらしい。笠原の顔がほころぶ。僕も、ああ、子供の頃によくやったなあ、と懐かしく思い出す。池田の靴がピット内で弧を描く……靴は裏返らず、真っ直ぐポコリと落ちた。晴れじゃん。はてさて、明日の天気はどうなることやら。(写真は前検日のものです)

 DSC00297 ふと見ると、今村豊が控室から競技本部に駆け足で向かっていた。それもけっこう全力疾走に近いスピードで。競技本部から出たあとも、控室に走って戻っていく。12Rが終わって引き上げていくときには、関東勢に「下関と徳山だったら、下関のほうが断然近いよ。どっちが純地元かといえば、こっちのほうなんじゃない?」と笑顔で地理談義。体調のことばかり言われるのは、今村とて本意ではないはずだが、それでも気がかりであるのは否定できないのもまた事実。とはいえ、この日の今村の笑顔を見ていたら、もうそれを考えるのはやめよう、そう思わされるのであった。今日は5R1回乗りで4着。スタートでやや遅れ、バックでは6番手だったのだが、道中追い上げて着順を上げた。敗れたとはいえ、やはり気迫を感じる走りだった。明日からの今村にも、引き続き期待して、その走りを熱く見つめたい。明日の9Rは2号艇だが、1号艇・海野ゆかりのピット離れはいまひとつだから、もしかしたらイン戦も十分にありうる。2勝目は遠くないはずだ。

DSC00396  10Rの展示が終わると、ピットは閑散とし始めた。そんななか、最後まで試運転を繰り返していたのが、西田靖、橋本久和だ。ともにここまでは不本意な成績。かといって、準優への望みが絶たれたわけではない。3日目は1日早い勝負駆けとなるだけに、徹底的に足の良化を図っているのだ。エンジンを装着して水面に出ようとすると、12Rに出走する熊谷直樹が通りかかった。「もう試運転、誰もやってないんじゃない?」。西田は、橋本を指差して、まだまだやるんだよ、とばかりに目を見張った。熊谷は、はじけるような熊スマイルで西田を見送っていたのだった。西田は試運転を終えたあとは、ペラ室に駆け込んで、これまた最後の最後まで懸命のペラ調整に励んでいた。橋本ともども、明日の気合駆けには注目してみたい。
 海野ゆかりも、最後まで水面に出ていた一人だ。ここまでの成績は6、6、3着。かなり苦しい状況に置かれている。それでも、海野は諦めない。試運転を終えたあとは、同期の山崎智也に不安な点を相談するなど、予選残り2日を消化試合にするつもりなど毛頭ない。その執念を、明日以降も注目してみよう。それにしても、海野は実にかいがいしくピット内を走り回っている。同地区の選手のボート片付けはもちろん、試運転のときなどは他地区の選手の手伝いも率先してしている。整備室の出入り口付近でボーッと突っ立っていたら、視界の片隅をものすごいダッシュで駆け抜ける影があった。海野だった。海野は、最後の最後に試運転を終えた西田と橋本のボート片付けのために、走って駆けつけたのだった。そのかたわら、自分の機力アップにも全力を尽くす。頭が下がるというものだ。

DSC00380  試運転を最後まで続けていた選手はもう一人いる。秋山直之だ。ここまで2走して6着2本、海野同様やはり苦しいが、秋山もやっぱり諦めない。しかし……。ピット内に、突如として緊張が走る。「転覆ーっ!」。秋山だった。試運転中の転覆とあって、救助艇の出足も一瞬遅れる。ピットの係員が一斉に護岸に駆けつけ、転覆したのが秋山だとわかると関東の選手たちも続々と集まりだした。秋山、大丈夫か……。
 救助艇がピットに戻ってくると、秋山はどこもケガなどした様子はなく、バツが悪そうな表情をした。その瞬間、緊張感はほどけて、集まった選手たちの顔に笑みが浮かぶ。そして、どちらかといえばからかうように「アキぃ~」と声をかける。秋山はカポックを脱ぎに走り出し、関東勢がボートを引き上げる。そこに走って帰ってきた秋山は、もちろんずぶ濡れ。それを見て、他の選手たちは「着替えてきていいぞ」と秋山に言った。とはいうものの、秋山は関東勢の中では最年少。自分のボートを片付け、さらに水に浸かってしまったモーターを運んでくれるのは、すべて先輩ばかりなのだ。
 秋山は「大丈夫です。やります」と、濡れたままでボートの片付けに加わった。先輩は「いいって、いいって。俺たちがやるから」と秋山に着替えを促す。秋山は「大丈夫です」と先輩の手を煩わせるのを良しとしない。すると、ちょっと誰が言い出したのかは確認できなかったが、先輩たちは一様に「お前、臭いんだよ!」の大合唱だ。下関は海水プール、その水にどっぷり浸かった秋山からは磯の香りがするわけだ。それを先輩たちは「臭い!」と叫ぶ。言うまでもない、秋山に「気を使わなくてもいいから、早く着替えてこいよ」ということを、軽口で表現しているわけだ。先輩たち全員が、思い切り笑顔になっていた。それでも引かない秋山に、関東の重鎮・西田が「アキっ! いいから行けっ! 臭いんだよ! 行け!」とついに強弁を振るう(もちろん目は笑っている)。しかし、秋山はどうしても殊勝な態度を崩すことなく、結局そのまま整備室に入って、濡れねずみのまま、モーターの洗浄に取りかかるのだった。もちろん、先輩たちは秋山を取り囲んで手伝いをしていた(あ、海野もその輪に加わっていた)。ハッキリ言って、麗しい! 関東勢、頑張れっ! 秋山もまだまだ諦めるな!

DSC00390   そうこうしている間に11Rがスタートし、林美憲が1着となった。昨日は溜め息とともに肩を落とした植木通彦は、前半レースも2着を競り合って敗れていて、足はかなり厳しいように見えたが、このレースではなんとか2着を確保した。引き上げてきた植木の顔には安堵の色が浮かぶ。4、3、2と着はまとまってきた。SG2連覇に向けて、気合を入れ直したいところだ。
「明日頑張る」松井繁は、同じレースで3着。4、1、3着と悪くない成績だけに、まあまあ余裕な表情で引き上げてきた。ただし、ボート片付けの輪が散り、一人になったときには、やや納得のいかなさそうな表情も時折見かけた。松井の心中としては「明日も頑張る」だろう。3日目12R「石橋山の戦い」は1号艇。さらなる成績アップに全力を注ぐ。

DSC00349  12R「五条大橋の戦い」は、濱野谷憲吾がインから逃げ切り。今日はピンピンと最高の結果となった。ピットでは終始穏やかで、どことなく風格みたいなものすら感じさせている濱野谷。引き上げてきたときには、もちろんニッコリと周囲に笑顔を見せたが、そのなかにも引き締まった表情が見受けられる。なんだか、雰囲気を感じるのだ。大仕事の予感が漂うように思えるが、果たして……。

DSC00404  昨日、足を引きずっていた仲口博崇だが、今日はもう回復しているようです。プレゼント用の手ぬぐいにサインを入れてもらったのだが、今日は1着を取っていることもあってご機嫌の様子だ。実に気さくな人でした。

DSC00356  さてさて、どうしても、どうしても、どーーーーしても気になる山崎智也。今日は5着ともうひとつの成績も、足のほうは手応えがあるのか、表情はとっても明るい。少し先述したが、同期の海野に相談を受けると快く応え、同県の後輩・秋山が転覆すると率先して助けようとする。その間も、沈んだような表情はいっさい見せない。さらには、熊谷直樹にニヤニヤと話しかけたり(でも、カポックを運んであげてました)、記者さんと映画の話に興じてみたり、長嶺豊さんを見つけるとなぜか泣き真似をしてみたり。見かけるたびに、こちらの頬が緩んでしまうのだ。なんだか智也に元気をもらっているような気分である。明日もやっぱり気になっちまうんだろうなあ……。(黒須田守)


| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (4)
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
下関 SG グランドチャンピオン決定戦 2日目 【競艇 blog AQUA BOO】
どいつもこいつもインでスタート遅れやがって。 ガセとかキクティとかムラッシュとかコンコンと問い詰めてやりたい。 僕の期待にこたえてくれるのはヨッシーだけ。 11R 1.植木 続きを読む
受信: 2005/06/22 20:07:23
グラチャン2日目結果・・ 【A PLACE IN THE SUN 】
只今、ボートピアから帰ってきました・・ 結果は2万負け・・3連単で当ったのは6R 続きを読む
受信: 2005/06/22 20:47:08
松井サンのピット離れが正常に戻った下関グラチャン2日目 【Deep Impact! ver.3】
松井サンは今日は6Rと11Rの2回走り。 6Rから4カドからコンマ12のトップスタートを決めてまくってピン。 2着にユウユウが入りました、ってか、わたし正直侮ってた気がする(w 続きを読む
受信: 2005/06/23 0:08:24
下関SGグランドチャンピオン2日目〜義経シーボーってさ〜 【競 艇 あ れ こ れ】
朝っぱらに起きてサッカーを見ている良2です、おはよう。おーおーニッポン。いけいけニッポン。サッカーファンでも何でもないんですけどね。眠い。下関で行われているグラチャンは2日目が終了。1号艇はよく絡んではいるが、イン逃げは少ない。舟券買うお客さんには今節は面白いSG... 続きを読む
受信: 2005/06/23 6:24:33
コメント
コメントを書く




※メールアドレスは外部には公開されません