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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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忙しい忙しいピット――2日目、後半のピット

SANY0696 前半は、「静かな静かなピット」だったという。所用で後半からの参戦となったのだが、その後半のピットは、前半とは一転、静かさなどどこにもなかった。とにかく、ほとんどの選手が忙しそうに動き回っている。整備室にこもっている選手がいる。試運転に飛び出していく選手がいる。ペラ室は文字通りの満員御礼。予選も折り返しとなり、足色のいい選手も悪い選手も課題を発見し、上積みを図ったり、納得のいかない部分を解消しようとしたり。切羽詰った感じはまだないものの、勝負駆けを前に少しでも早く足を仕上げたい選手の真摯さが漂うピットである。

SANY0581 もっとも忙しく動いているのは、原田幸哉だ。ダッシュでボートに駆け寄ったかと思うと、ギアケースを外して整備室に飛び込んでいく。ふと目を離すと、もう整備室にはいない。あれ、どこ行ったんだろう……ペラ室を覗き込んでみると、やはり、いた。真剣な表情でペラを叩いて、小さくうなずくと、再びダッシュ! ボートに走り寄って、ペラ装着。そして、素早い動きで試運転へ! とにかく、ひと時たりともジッとしていないのだ。
ただし、というか、だからこそ、というか、表情はまったく明るくはない。むしろ、悲壮感すら漂っている。足はまったく仕上がっていないのだ。ドリーム5着、今日の前半戦は4着。苦しい戦いだ。迎えた後半戦、1号艇で出走した原田は、バックで鮮やかに先頭に立ち、後続を突き放したものの、2マークで赤岩善生に差された。激しい競り合いの末、最後は4着。苛立ちが伝わってくるような、2マーク以降のレースだった。明日もイライラは続いてしまうのか。

SANY0669 整備室を覗いてみよう。川崎智幸が、必死の整備に励んでいる。ここまで2、5、5着。3日目が一足早い勝負駆けとなる川崎にとって、もう時間はそれほど残されていないのだ。まだ明るい時間帯に始めた整備は、あたりが暗くなってもまだ続いたのだった。
すぐそばでは、同期の烏野賢太も整備中だ。烏野は、ペラ室と整備室を行ったり来たりしながら、調整に熱を入れていた。中嶋誠一郎は、タオルを鉢巻きのように頭に巻いて、モーターをいじっている。他には、田中信一郎、吉川元浩らの姿が見られた。
ペラ室は、先ほど書いたとおり、満員状態。濱野谷憲吾、村田修次、石田政吾、白石健、須藤博倫、出畑孝典、中村有裕、寺田祥、田中信一郎、辻栄蔵……うわぁ、書き切れない。とにかく、選手だらけのペラ室なのだ。言うまでもなく、どの選手も必死の顔つきでペラを叩いている。
SANY0644 試運転ピットには、ナイター照明が灯ってからも、多くのボートが係留されていた。すでにレースを終えた選手たちでは、市川哲也、三嶌誠司、折下寛法、石田政吾、井口佳典、佐々木康幸、菊地孝平が、熱心に試運転を続けていた。展示航走が終わって、試運転開始を告げるブザーが鳴ると、一斉に水面に飛び出していく。今日は、12R発売中にファンサービスとしてペアボート試乗会が行なわれたのだが、「本日、12R中の試運転は中止します」というアナウンスがピットに流れると、ようやくボートを引き上げ始めた。もちろん文句を言う選手など皆無ではあるが、本音は「もう少し乗りたい!」ではなかったか。

SANY0713 ペラ室から出た辻栄蔵が、スポンジを広島勢のボートに配り始めた。2、1、1着と絶好調。「微妙に負けている人はいますね。だからこそ、本体はいじれないんです。ものすごく悪ければ本体をやりますけど。だから今は、ペラで調整しています」。辻は、「どの選手も同じだろうけど、常に準優、優出をノルマに考えて頑張ってる」と気合のこもった言葉も吐いた。西島義則もオール連対、市川、海野ゆかりにも1着が出て、広島勢は絶好調。先輩たちの活躍にも刺激されるはずの辻、この勢いは明日も無視できまい。

SANY0700 今日もやはり注目しないわけにはいかない植木通彦。10Rはカドから見事なまくりで、今節初勝利をあげた。モーターは万全。完全に偉業が視界に入ったと言っていいだろう。レース後の表情も明るい。はじける笑顔で、鳥飼眞らと話している。控室に戻る際には、10Rで2号艇(植木は3号艇)の日高逸子と談笑しながら歩いている。SANY0706 日高も、植木の足には驚いている様子で、3コースから内2艇に先んじるスタートを切りながらも、「植木君が締めてくると思って、(まくりに)行けなかった」と苦笑いだ。笑顔を返す植木。優勝した笹川賞、優出を果たしたオーシャンカップ、それらの時よりも、ハッキリと植木の表情には充実感がある。明日は12Rで1号艇が回ってきている。明日も戦慄の強さを見せつける可能性が高いと言うしかない。

SANY0651 「特注選手・海野ゆかり」のコーナーでお世話になっている長嶺豊さん。ピットでの存在感は、さすが浪速のドンだ。今日の後半はピット内に強い風が吹き込んでいたのだが、森高一真が試運転に出ようとしたとき、ボートの運転席に入っているスポンジが風に舞って、水上に落ちてしまった。すぐに係員が網ですくい上げたのだが、それを見ていた長嶺さん、「おおっ、うまいっ!」と合いの手を入れた。SANY0650 思わず森高はニカッ。リラックスした表情で水面に出て行った。海野に対してもそうだが、長嶺さんはこうして後輩たちに激励を飛ばす。尊敬します。

SANY0618 さて、所用でいったん競艇場を離れていたときにも気になって仕方なかった山崎智也。9Rで2着に入って、ホッとした表情でピットに戻ってきた。「ああ、よかったぁ~」と声をあげて、すぐに江口晃生と何事か話し始めた。どうやら、モーターの手応えはつかんできたようである。カポックを脱いだあと、整備室にやって来ると、一通りチェックしてからすぐに格納。喫煙室に入って、リラックスした表情を見せていた。うむ、なんだか嬉しくなってきますな。明日は2回乗りで、11Rは1号艇。心中しちゃおっかな、などと思っている私であります。(黒須田守)


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