この特集について
ボートレース特集 > 異常事態!?――4日目、後半のピット
この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
ライタープロフィール
カテゴリー
関連リンク
競艇サポーターズ
関連書籍

 ボートレース特集

異常事態!?――4日目、後半のピット

SANY0204 磐石の強さ、である。植木通彦、もはや手がつけられなくなっている。モーターは完璧、レース勘も冴え渡る。ただでさえ艇王と呼ばれるほどに強い男が、強力な足を手に入れ、さらに「グランドスラム」「地元SG」というプレッシャーを精神的パワーに変換して、Vロードを突っ走る植木の背中を押している。いつだって悠然とし、風格を漂わせている植木だが、今節はオーラの力が明らかに大きい。ピリピリしたところはまったくない。かといって、柔らかな雰囲気というわけでもない。
最強。
今日の植木を表現する言葉はそれしかない。予選1位というのも、最強であることを裏付ける。もし今日の12Rの後に、第13Rとして優勝戦を行なったとしたら、僕は全財産を植木に賭けただろう。それほどの圧倒的なオーラが今日の植木にはあったのである。

SANY0104 驀進する広島勢、予選を快調に突っ走った西島義則、辻栄蔵もいいムードだが、今日、目についたのは、もう一人の広島、市川哲也だった。12Rを快勝したから言うわけではない。僕の目には、西島や辻に劣らないだけの何かが市川から発散されているように見えたのだ。まず明るさがある。思えば、昨日から笑顔に溢れていた市川である。今日も、折々で市川のほころんだ顔を見た。そのうえで、凛とした表情も見せる。モーターに手応えを得たのか、準優へのメドが立ったことへの充実感があるのか。市川といえば、どちらかといえば優男の部類だと思うが、今日の彼は男っぽい表情だった、と感じた。DSC01071 明日の準優、西島、辻が1号艇を手にして、優勝戦への最短距離につけた。当然、彼らは人気を背負うし、注目も浴びるだろう。しかし、市川を侮るまい。明日は“最強”植木との対戦だが、今の市川には、西島にも辻にも負けない追い風が吹いている。

ところで、準優ボーダーは結局、6・40という高率になった。6・20の寺田祥が次点、烏野賢太は6・17で20位、その下に6・00が2人いるのだから、おそろしく上位のレベルが高かったということになる。何しろ、12Rの山崎智也は6・00なら無事故完走で当確だったのだが、実際は4着条件になってしまったのだから、驚くしかない。SANY0174 10Rに出走した仲口博崇が、知己の記者さんに「ボーダー、すっごく高いでしょ?」と声を掛けて、得点を確認するシーンもあったが、最終的に予選4位の仲口でさえ得点を気にしなくてはならないという異常事態で、レースが進めば進むほど、圏内の選手たちはヤキモキさせられたというわけだ。
逆に言えば、6・00付近やそれ以下の選手たちにとっては、まさかの逆転準優入りという事態には、まったく期待できなくなっていたということでもある。そのせいか、後半のピットはやけに静かで、選手たちの動きもそれほど活発ではなかった。前半よりもずっと、穏やかなのだ。無風で空気が滞留し、突っ立っているだけで汗がジワリと吹き出てくるピット(私が人一倍、汗っかきであるということもあるのですが)。なんだか、ピット全体が予選最終日の顔をしていないように思えた。

DSC01026そんななか、終戦を迎えてもなお、整備に余念がなかったのが、白石健である。整備室にこもり、姿が消えたと思ったらペラ室にいて、再び見えなくなったと思ったら試運転をしている。とにかく忙しく動いていた。取材班のなかでは、彼の応援歌は「シラケンサンバ」だと勝手に決め付けているわけだが(歌詞募集中です)、その真摯な姿には心から応援のサンバをお贈りしたいと考える次第である。
最年長・原田順一も、手を休めることをしない。かなり早い段階で予選突破は苦しくなっていたが、ペラもモーターもずっと調整を続けてきた。DSC01031 「準優進出がムリになっても、整備をしているのはエラい」などと言ったら、たぶん選手には失礼なのだと思う。彼らにとっては、そんなことは当たり前のこと。6日目まで勝負は続くのだから、それがいわゆる敗者戦であっても、勝利を目指すのは競艇選手のスピリットというものだろう。それでも、実際にピットでそんな姿を見ると、素直に頭が下がる。キャリアとしてはすでに終盤戦に入っているはずなのに、勝負師であることにこだわり続ける姿勢が素晴らしいと思うのだ。
もちろん、こうした選手は白石や原田ばかりではない。今日は、平尾崇典もかなり長い時間を整備に費やしていた。選手たちを心から尊敬する、そんな光景なのだ。

SANY0200 後半のピットでは、ほのぼのしたシーンもたくさん見かけた。まずは、準優進出を決めた池田浩二。7Rの3着で6・40に到達した池田、前半戦のキリリとした表情とは対照的に、穏やかな顔つきでピット内を歩いていた。10R終了後、ボート引き上げ作業に須藤博倫とともに表われた池田は、須藤の背後に回り、両肩に手をかけてニコニコしている。???……と思っていると、池田はいきなりジャーンプ! 須藤の肩にポーンと乗っかったのだ。須藤&池田の肩車の出来上がりー……って、何をしてるんでしょうか? 池田のご機嫌ぶりが伝わってくるシーンでした。池田浩二、おもろい姿をときどき見せてくれるんですよね。

SANY0181 つづいて、元気一杯の今村豊。今節は、事故点の件もあって、レースぶりはもうひとつ冴えなかったが、元気で明るい顔を見ていると、やはり嬉しい。9Rと10Rの間にピットに出てきた今村、まずは中道善博さんとじゃれ合いだ。中道さんのお腹を突っつく今村、周囲の人たちも大笑いである。もちろん、中道さんもニッコリ笑っていた。その周辺の空気が、ぐっと柔らかくなった。
その隣では、JLCの女性レポーター、女性の新聞記者、そして海野ゆかりが、話し込んでいたのだが、彼女たちも今村と中道さんのやり取りを笑顔で見ていた。SANY0184 それに気づいた今村、突如「なんだよぅ~」と口をとがらせ、女性陣の輪に加わる。やはりニコニコで話し始めたのですが……えっと、その内容は今村選手の名誉のため、ひとつだけ書いときます。えー、そのー、はい、セクハラがどうのこうのと話しておりました(笑)。周辺の空気は、ぐっと華やいだのでありました。今村、サイコー。

SANY0225 もうひとつ、スマイリー・キッド、瓜生正義もご機嫌の様子で動き回っていた。8R1着で準優の切符を手にした瓜生は、スマイル満開。整備室でモーターをチェックし、格納するとペラ室へ。ふと気づくとペラ室を出て、水面を眺めていたりする。しみじみとか、ボーッととか、そんなわけではなく、なんだかご機嫌な様子で水面を見つめているのだ。実は、その視線の先には慕っている鳥飼眞が試運転に出ていて、足に納得がいかずにパワーアップをはかっている鳥飼を心配しているふうでもあるのだが、そんなときでも瓜生からは実ににこやかな空気が伝わってくるのだ。鳥飼が試運転から上がると、今度はファンサービスのペアボート試乗会のためにやって来た後輩選手を見つけて、談笑。いやあ、ほんと、いい雰囲気である。僕のなかでは、山崎智也並みに気になる存在になりつつあったりするのであります。

SANY0228 さて、元祖・気になる男、山崎智也。前半、「いまだ1本も出ていない1着、そのことに対する不満と、完走で当確でも勝利を目指す気合とが、入り混じった笑みに見えた」と書いたが、12Rを間近に控えた後半も同様の表情であった。で、その理由がちょっとだけ見えた。智也、グラチャンのときにも顔を出してしまった腰痛が再発してしまっているようなのだ。グラチャンのときほどひどくは見えないから、それほど心配する事態ではないだろうが、少し気にしているようではある。だが、みなさん、ご心配なく。12Rはそんなことを感じさせないレースを見せているし、何よりグラチャンの時は、やはり予選最終日に2着1着で勝負駆けを成功させて、さらに優出しているのだ。智也は逆境にもくじけない。それをバネにして、最高のパフォーマンスを見せる。DSC01022 そういった男意気、プロとしてのプライド、圧倒的な骨っぽさが智也にはあるのだ。ニッコニコの智也も、もちろん魅力的である。だが、今日みたいな智也も本当にカッコいい。明日の準優は10R4号艇。僕は、智也と心中します。それだけの価値がある、智也の凛々しさを今日のピットで見た。心から応援する次第である。(黒須田守)


| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (1)
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
日本一の静水面にイシノアラシが吹き荒れる! 【ラリーズクラブ】
予選勝負駆けハイライトレースとなった6R。 5号艇3コース原田幸哉が捲り差しで1着になって予選得点率6.40の13位タイ(着順点で16位)で勝負駆け成功なのに対し、イン差されて2着の寺田祥は予選得点率6.20で無念の19位次点。... 続きを読む
受信: 2005/09/03 10:15:17
コメント