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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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勝負駆けを前に――3日目、後半のピット

DSC01010  笑顔が弾けている。機嫌がいいどころではない。とにかく、笑いが絶えないのだ。
絶好調の広島勢。西島義則、辻栄蔵がはやくも3勝。市川哲也、海野ゆかりが1勝ずつ。4人で8勝の荒稼ぎだ。詳しくは特注選手のコーナーで書かれるだろうが、8Rの海野は天晴れなレースぶりで3着。9Rでは辻が、一昨年のオーシャンカップのVTRを見ているかのようなマクリ差しで1着。さらに10Rで西島が道中逆転の1着。笑いが止まらないのも当然だろう。10R後、西島を出迎えて勢揃いした広島勢の雰囲気は、とにかく花が満開になったかのよう。明日ももちろん、目が離せない。

SANY0895 広島勢とは対照的に、3Rの6着後に整備室に駆け込んだのは瓜生正義。2日目まで1、2、3着と貯金があるから、明日は3着2本で準優に届く計算だが、やはり6着は痛い。SANY0901 スマイリー・キッド瓜生のことだから、表情は明るいし、悲壮感みたいなものも見えはしないが、ボート片付け以外は整備室を離れようとしないのだから、重症は重症。まずは明日の2R、どこまで直しているか、その足色に注目だ。
なお、他に整備室にこもっていたのは、深川真二、平尾崇典、そして整備の鬼・今垣光太郎など。今垣はペラ室と何度か往復しつつ、パワーアップを図っている様子だった。

SANY0894 強さは美しさだ、と思った。日高逸子である。今節の成績はオール3着と、着をまとめているという程度だが、そのたたずまいは美しいとしか言いようがない。まずは、その若々しさ。MB記念の出場メンバーのなかではすでにベテランの部類だが、まるでそんなことは感じさせない振る舞いである。とはいえ、やはり若手にとっては先輩選手であり、頼れる姐御。後輩たちに声をかけては、リラックスしたムードを醸し出している。たとえば、10R終了後、モーターの調整をしている田村隆信に「田村君、まだ(試運転に)出るの? うわあ、すごいなあ」と話しかけ、田村はニッコリと言葉を返す。そこに漂っている空気感の瑞々しさ。トップレーサーならではの、精神的な強さを感じずにはいられなかった。繰り返す。強さは美しさである。強い女性はみな、美しいのだ。

SANY0874 日高が頼れる姐御なら、頼れる兄貴は倉谷和信か。試運転のあとなど、彼の周りには人が集まる。「アニキーッ!」とその倉谷が叫んだから、誰を呼んでいるのかと思えば、「どーもー」と応えたのは森高一真。倉谷は、身振り手振りで試運転の様子を話し出す。すると、そこに川崎智幸がやって来た。「な、あそこで出て行ったやろ?」とこれまた手でターンの様子を示しながら会話を交わす。おっと、今度は姐御・日高の登場だ。「ありがとうございましたっ」と日高が笑顔で足併せのお礼をすると、倉谷もニッカァと笑った。4人で試運転の様子を話し合っていたが、中心にいたのは倉谷。ガッツ倉谷、ハッキリ言って、男前である。

DSC00978 その倉谷を大笑いさせていたのが、白石健である。彼を見ていると、たしかに心和む。10R後だったか、僕と松本がピットで取材の様子などを話していると、白石が「すみません」と声をかけてきた。驚いている僕らに、「明日の出走表、出ました?」。僕も松本も、今日の出走表を手にしていたのだが、それを明日のものと思ったらしいのだ。どういうわけか、ピット内に翌日の出走表を配るのは中道善博さんなのだが、その直前にたまたま、中道さんが村田修次に手渡しているのを目撃していた。「今、村田さんが見ているのが、明日のやつだと思いますよ」と言うと、「あ、そうですか。すみません」と言って、とことこと駆け出す白石。素朴、そして真面目である。その白石が、JLCのインタビューを受けていた。直立不動、ハキハキと大声でしゃべっている白石は、実に微笑ましい。それを、ペラ室から眺めていたのが、倉谷と田中信一郎、近畿の先輩だった。倉谷、信一郎、ともに爆笑のニッコニコ。白石、大好きになりました。白石といい、オーシャンカップのときの安田政彦といい、兵庫勢、侮りがたし、である。

SANY0833中道さんといえば、選手と話すときの笑顔が実に渋い。中道さんにとっては取材だが、選手たちにしてみれば、大先輩にして大選手だった方との会話である。縮み上がってしまってもおかしくはないのだが、中道さんの笑顔が選手たちを癒す。現役時代の中道さんといえば、正直コワモテという印象もあったのだが、選手と話しているときの表情からは、優しさしか感じられない。実際、取材班も毎度毎度お世話になっているわけで、選手にとっても我々にとっても、ありがたい笑顔なのである。

SANY0848 その中道さんとの激しいデッドヒート(96年賞金王決定戦)が語り草となっている植木通彦。絶好調。超抜の足。もはや、グランドスラムに向かって一直線、である。植木といえば、常に悠然としていて、立ち居振る舞いからは風格を感じずにはいられないが、グランドスラムが懸かった今節は、そこに静かな闘志がプラスされた感がある。もはやモーターに不安はないから、焦りなどはあるはずもないが、それにしても充実しきったオーラを発散しながらピット内を歩く姿には、圧倒されるものがある。SANY0880 勝負は時の運、何が起こるかはわからないから、植木の優勝を断言することはできない。本人も、意識はしていても、それ以上のことを考えているわけはなかろう。それでも、だ。間違いなく優勝モードには入った。条件が揃い、運も向けば、偉業を果たしてもまるでおかしくはない領域には入ったと思うのだ。それくらい、植木が立ち上らせている充実感には戦慄すら覚える。

SANY0879 さて、前半に姿が見えず、まるで片思いの相手に思いをつのらせるかのように気になって仕方なかった山崎智也。後半は、いっぱいいっぱい、その姿を見ることができました。まず、先輩・江口晃生が両膝打撲のため途中帰郷することになり、心配した表情を見せていた。かと思うと、村田修次の背中にヘンテコな声音を浴びせて驚かせたりもしている。その村田とは、ペラを見ながら真剣な表情で長い時間語り合ったりもしていた。で、次の瞬間に村田が爆笑していたりもして、いったい何を話していたんでしょうか。DSC00995 ドリーム6着のあとは2着3本。得点率6位、明日は無事故完走で準優当確。ひとまず一息ついた様子ではある。でも、そろそろピンが欲しいよなあ……。(黒須田守)


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