この特集について
ボートレース特集 > 赤岩善生がダービーを射抜く!④
この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
ライタープロフィール
カテゴリー
関連リンク
競艇サポーターズ
関連書籍

 ボートレース特集

赤岩善生がダービーを射抜く!④

DSC01568  昨日の時点で得点率6.25。明日の準優へ進出するためには、本日1走で3着以上の成績を取る必要がある赤岩善生。11R出走ということで、今日も朝から時間はたくさんある。午前中は西田靖となにやら話をしている姿なども見られた赤岩だったが、多くはやはり整備場の中。とはいえ、モーターはボートに装着されたままになっており、今日はペラ調整に取りかかりっきりであった。そして、時折目の前を通りかかる際に見せる鋭い眼差しとたたずまい、そして挨拶を一瞥しただけで通りすぎる様子。昨日同様の“気合い”のオーラが溢れ、その後ろ姿には「“勝負(駆け)”という言葉がここまで似合う選手はいないな」と感じずにいられなかった。昨日も書いたとおり、赤岩の予選突破は勝手に確信していたが、その意はさらに強くなっていた。
 15時50分、勝負の11Rがスタートする。5号艇ながら、スタート展示では4カドを取りに動いた赤岩だが、本番で4号艇の笠原亮がコースを取りきって4カドとし、赤岩は艇番通りの5コース。3着が条件だけにひとつでも内側のコースがいいのだろうが、なにしろ勝手に確信している身としては、何の不安も感じなかった。そしてその通りに1周1マークで差した赤岩はバックで3番手を追走、もつれそうだった2マークをしっかり捌ききって単独3番手をキープし、そのままゴールに入った。勝負駆け成功。外枠にはなりそうだが、SG2回目の準優進出を決めたゴールだった。ピットに戻ってきた赤岩も、ボートを引き上げにきた伊藤誠二など、同県の選手に笑顔をのぞかせていた。
 しばらくして、報道陣に囲まれて、モーターの様子や明日の準優勝戦に向けての取材を受ける赤岩がいた。足を止めた赤岩が報道陣の囲み取材を受けているのを見たのは初めてだっただけに、赤岩自身も今日のところはホッとしているのかと思って近寄ったが、そんなことはまったくなかった。「明日は自分のスタートをして、ターンをするだけ」との赤岩の言葉を受けて、「スタート決めて行くということですね?」と聞き直した記者に対し、「そんなことは言っていない。決められるような行き足はないから、自分のスタートを行くだけ、ということ」としっかり自分の意図が伝わるように訂正する様子を見て、いつものように気圧されつつも、その鋭い目は明らかにもう明日を向いていると思った。
DSC01533  取材の輪が解けた後のこと。赤岩を追って声を掛けた。「おめでとうございます。減量の……」と、ここまで言ったときである。「減量の成果が出ましたね。で……」と続くつもりだったのだが、ここで赤岩は話を遮った。
「あの、減量なんてそんなことは聞かないでくださいよ。誰でもやっていることなんだし、努力でも何でもない。体重がいつもより軽いということは、いつもは怠けているということなんだ。恥ずかしいことなんだよ。努力でも何でもない」
 震えた。こちらの目を見据えてこう話す赤岩に震えた。まったく“!”の付かないトーンであったことが、震えを倍増させていた。しかし、こうなってもなお、こちらの続く言葉を聞いてくれた赤岩に、震えた。
「すみません。明日の準優、頑張ってください」
「はい。頑張ります」
 いつもの言葉を残して、赤岩は整備場に消えていった。

 明日の準優は12R5号艇。明日の最終レース後、赤岩善生の前で僕はどちらの意味で打ち震えているのだろうか。もちろん、打ち震えるようなレースでの優出を信じている。(松本伸也) 

DSC01569


| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
コメント
コメントを書く




※メールアドレスは外部には公開されません