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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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津の司令塔に突撃――進行担当・藤川芳宏さん

 津の司令塔――藤川芳宏さんを一言で表現すれば、そういうことになるだろう。
 開催中は競技本部に一日中こもり、1レースから12レースまで、藤川さんの号令のもと、レースが進行していく。選手への集合合図、出走準備合図、モーター始動、出走……そのすべての指示を出すのが藤川さんなのだ。もしここの機能がストップすれば、レースの進行も止まる。ピットから選手たちの艇が飛び出すことはないのだ。その意味では、津の動脈、そうも言えるかもしれない。

SANY0486  藤川さんは、元選手でもある。登番1341。選手養成訓練が始まって最初の選手、つまり第1期生だ。また、お父様も選手で、親子二代選手は藤川さんが競艇史上初。「当時は話題にもならなかったですけどねえ」と笑うが、服部幸男など二世選手のさきがけなのだ。
 また、津の進行担当に就く前は、競艇学校の教官だった。今回のダービーでいえば勝野竜司、鳥飼眞、伊藤誠二、石渡鉄兵、辻栄蔵、原田幸哉、魚谷智之、瓜生正義、平尾崇典、佐々木康幸、中野次郎が教え子にあたる。「やっぱり、彼らのレースは、見ていて力が入ってしまいますねえ」と、目を細めた。教え子のなかから瓜生正義が優出を決めたが、特定の選手に肩入れするわけではないけれども、やはり嬉しいのだと顔をほころばす。養成所の訓練は厳しい。とんでもなく厳しい。だからこそ、教官と訓練生の間には絆が生まれ、それは訓練生がプロとしてデビューし、SGを勝つような選手になろうと消えることはない。競技本部から藤川さんは、今日の優勝戦をどう見つめるだろうか。

SANY0488  藤川さんの座る席の前には、数多くのスイッチが埋め込まれたテーブルがある。ここで、レースの指示を出していくわけだ。締め切り5分前に、出走選手の集合合図スイッチを押し、3分前には出走準備スイッチを押す。締め切り1分前になると乗艇合図のスイッチ。これで出走選手は一列に並んで敬礼、出走ピットに向かう。昨日の10R、山崎智也がファンファーレのあとにエンストし、いったんすべてのモーターを止めて、始動からやり直すという出来事があったが、こういうときも藤川さんの指示が飛ぶ。「そういうことがあると、焦りますね。とにかく、神経を使う仕事ですから、一日が終わるとグッタリします。特に、今回のようなSGではね」。1日間、ほとんどこの場を離れることができないわけだから、想像以上に神経を使う仕事だ。

 ちなみに藤川さんは、選手、選手養成教官、そして競走会職員と、競艇に関わるほぼすべての職種を経験し、これは今のところ、唯一の存在だそうだ。
「とにかく、競艇が好きですから。今でもこうして、競艇の仕事ができる。競艇のそばにいることができる。これがいちばんの幸せですねえ。はい、本当に幸せです」
 そう言って、ひときわ明るく笑った藤川さん。今回のダービーが、大きなトラブルもなく今日まで進行されたのは、藤川さんが、その年輪が刻まれた指でスイッチを的確な判断のもと、押してきたからである。今日の12R、優勝戦の大一番。藤川さんはより気合をこめて、滞りのない進行でドラマを盛り上げるのだ。(黒須田)


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