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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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激しいレース、ということ――3日目、後半のピット

DSC01502  12R、1周2マークで勝野竜司がキャビり、それを避け切れなかった中村有裕が接触した。エンストした勝野は、その時点で妨害失格。いったんはレースに戻った中村も、接触でボートに穴が空き、そこから水が入って2周1マークで沈没。悲しい事故が起こってしまった。救助艇に曳航されてきた中村のボートには、大きな穴が2カ所空いていた。ボートの底部(フィンのすぐ横)と右前のサイド部分。もしその衝撃を中村自身の肉体が受けていたら……想像して、思わず身体が慄えた。
DSC01503  幸い、中村は無事でピットに戻ってきた。ズブ濡れのまま、ピット内に設置されているモニターを覗き込む。リプレイを見るためだ。問題の1周2マークが映し出されると、中村は小さくうなずいて、濡れた体と衣服を乾かしもせずにボートとモーターの片付けに向かった。そんな中村に、田中信一郎が深刻そうな顔つきで「有裕、体は大丈夫か?」と声をかける。中村が「はい」と言うと、険しかった信一郎の視線もやわらいだ。誰にとっても他人事ではない。だからまず、身体を気遣わずにはいられない。中村にケガがないのは、本当に幸いだった。
SANY0257  ボートを引き上げる際、濱村芳宏が選手代表の大嶋一也に何事か訴えていた。濱村には、中村を救出に向かう救助艇の発動が遅く見えたらしい。そのことを関係者に伝えて欲しい、ということなのだろう。濱村の顔つきは真剣だった。僕がレースを見ていた位置からは、中村の沈没した場面も、救助艇が発動した場面も見えていないから、実際のところ、濱村の言うとおりだったのかはわからない。実際、結果的にかもしれないが、中村は無事に戻ってきたのだから、救助艇は仕事を果たしたのだとも思う。それでも、やはり他人事ではないのだ。中村にとって、濱村は大先輩で、しかも地区が違う。その濱村も、中村を気遣う。健康にかかわることで、少しでも気になることは追及する。当然のことであり、また彼らがいかに真剣に戦いに臨んでいるかの証左でもあると思う。本当に、中村が無事でよかった。
 競艇選手は常に危険にさらされている。改めて痛感するしかなかった。僕らは観戦者だから、彼らに激しいバトルを望む。無責任に声援を飛ばす。それが観戦者というものだから仕方がない。僕もここで、過激なレースを称賛するようなことを書いてきている。そこに感動があるのもまた、確かなことだからだ。だが、競艇という競技が実は危険と隣り合わせであることを忘れてはなるまい。僕らには、激烈な戦いに感動しながら、選手たちの無事を心から祈る義務があると思う。選手のみなさん、本当にケガのないよう、気をつけてください。

DSC01414  さてさて、それでも3日目の剣が峰、気合のこもった激しいバトルは繰り広げられる。10Rでは植木通彦が、2コースからスタートを踏み込んで、マクリを決めた。これでシリーズ3勝目。予選トップに躍り出て、準優当確となった。ピットではいつも悠然たる雰囲気で、風格を漂わせている植木だが、これまでのSGで見てきた印象では、勝利を重ねれば重ねるほど、たたずまいに重みが増していく。いつだって圧倒的な貫禄を感じさせられるが、成績のいいときにはさらに、オーラが強くなっていくのだ。今日もまた、近くを通るときには思わず後ずさりしてしまいそうになるほど、迫力をまとっていた植木。当確だからといって緩める男ではないし、明日もまた強烈な走りを見せるに違いない。

SANY0240  やや表情に翳りが見えるのは、濱野谷憲吾。7Rは3着に敗れ、予選勝率は6・00を切ってしまった。明日の勝負駆けを前に、レース後は整備室にこもった濱野谷。どうやら本体に手を入れた様子である。事故艇が多く出たこともあって、3日目終了時点では予選18位には入った。ボーダー6・00とすれば2着以上が必要だが、このまま推移すれば少しは楽になる可能性もある。だが、おそらくピットでの濱野谷はそんなことを意識していない。とにかくモーターを上昇させて戦える足にし、スッキリと予選を突破する。キツくも見える視線の先には、1着しか見えていないのではないだろうか。

SANY0260  上瀧和則がご機嫌だ。今日は2回走りで3着、2着。予選4位で、準優当確を果たした。12Rで見せた魂の前付けが功を奏した格好だ。ところで、笹川賞での上瀧は実にご機嫌で、それを見た僕は「今節の上瀧は脅威」と書いた。ところが、彼はゴンロクを並べ、僕の見立てはまるで見当違いであったことがわかった。次のSG、グラチャン。上瀧は常にピリピリとした雰囲気で、まるで近寄りがたいオーラを撒き散らしていた。とにかく尖っていた。そんな上瀧が、予選で好成績を並べた。明らかにモーターは噴いていた。僕は思った。上瀧は勝負がかりになればなるほど、不機嫌に見えるのだと。ところが、今節。僕はまたわからなくなった。実に明るく、笑顔を連発している上瀧が、レースではきっちりと結果を出している。たしかに乗れていると思うし、足も悪くない。でも、ご機嫌。わからない。まったくわからない。明日も引き続き、上瀧に注目する必要が生じた。それにしても、笑顔の上瀧、最高です。カッコいいっす。

SANY0229  整備室を覗き込んだら、意外なツーショット。選手代表の大嶋一也と、選手会長の野中和夫だ。野中会長は今日、トークショーに出演のため来津。ついでにピットに顔を出し、「信一郎にハッパかけた」のは先にアップしたとおり。その後もピットに現われて、大嶋と何事か話し合っていた。時折、真剣な表情になったりもしていて、けっこう大事な話だったのか。シリーズ的には、初日のFで終戦となってしまった大嶋だが、選手代表としてきっちりピットを仕切っている。12Rの項で書いたように、選手からさまざまな訴えも集まっているのだろう。上に立つ者だからこそ、話し合い、消化していかなければならないこともある。野中会長と大嶋代表の揃い踏みに、そんな大人物にしか出せない空気を感じた。

DSC01431  昨日、「艇番の色に合わせてズボンを換える」と書いた原田幸哉。本日は前半5号艇、後半2号艇……というわけで、黄色と黒のズボンです。明日は12R6号艇。ということは、緑のズボンの原田が見られるでしょう。枠は遠いが、緑の風となって水面を駆け抜けろ!SANY0247

SANY0230  さて、「俺はもしかしてホレてしまったのではないだろうか?」と自分を疑い始めているほど気になる山崎智也。今日は8R1回乗りで2着。予選2位で準優当確だ。その8Rは、既報のとおり、中野次郎の水神祭。同じ関東地区とあって、敗れはしたものの、中野のSG初勝利をニッコリと祝福だ。いい笑顔です。水神祭でも先頭で中野を水面に放り込んでました。その後は、比較的のんびりとした様子で、特に整備などもしなかった模様。他選手のボート引き上げに穏やかに出てくる以外は、ほとんどピットで姿を見かけなかった。足は仕上がったと見ていいのではないだろうか。明日も当然、気にします。(黒須田守)


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