この特集について
ボートレース特集 > 新鋭王座 準優ハイライト
この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
ライタープロフィール
カテゴリー
関連リンク
競艇サポーターズ
関連書籍

 ボートレース特集

新鋭王座 準優ハイライト

10レース/深インでもコンマ05、貫禄の次郎逃げ!

①中野次郎
②井口佳典
③石野貴之
④吉永則雄
⑤吉田俊彦
⑥三井所尊春

DSC00087  やはりというか、地元の三井所が強引な前付け。「インをくれ!」とばかりに真っ先に舳先を向けたが、次郎も譲らない。狭い隙間に舳先を捻じ込んでインを死守した。もちろん、このコース取りの代償は大きい。どんどん流れて深くなる2艇。それを尻目にゆっくりと3コースを目指す井口。3日目に、やはりインからコンマ01のドッキリSを切っている次郎だけに、かなり苦しいイン戦になってしまった。
 が、次郎の腹の据わり方はどうだ。80mあたりの危険な距離から、コンマ05のトップS! 地元の三井所も07で追随するが、まるで届かない。替わって助走距離をたっぷりとった井口がスリットからぐんぐん伸びて三井所を交わし、強烈なツケマイで次郎に襲いかかる。必死にこらえる次郎。そして、その内フトコロに、まくり差した吉永がピタッと貼り付いた。124の三つ巴。わずかに体勢は吉永に分がある。
 1周2マーク、吉永が先マイして次郎が差す。ホームでは、ほぼ同体。2周1マーク、今度は次郎が先マイし、吉永は迷うことなく強ツケマイを放った。これまた必死にこらえる次郎。その間に、内から井口が差し伸びる。なんとも眩暈がするようなデッドヒートだ。
 それでも3艇の間隔は少しずつ開き、1-4-2の順に縦に並んだ。大勢は決したかと見ていると、ここからの井口の伸びが圧巻だった。2艇身ほどあった吉永との差がみるみる縮まり、2周2マークの手前でついに内から捉えた。これに慌てた吉永が全速のぶん回し。はるか彼方に流れている間に、井口がまた内からスルスルと伸び、ここで完全に逆転した。準優ならではのスリリングな三つ巴戦だったが、終わってみれば1-2-4の本命決着。大健闘の吉永は、哀しいほどのパワーの違いで先頭から3着に引きずりおろされた。相手が悪かった、としか言いようがない。

<独断のパワー診断>
 中野次郎と井口佳典は同じようなタイプの甲乙つけがたいハイパワー。コースが逆だったら井口が逃げきっていたはずで、両者ともに高いレベルで三拍子揃っている。優勝戦メンバーでは岡部大輔は別格としても東西の大関級といえるだろう。もし岡部がスリットか1マークで少しでも躊躇したら、瞬時に反応して差し抜けてしまう力がある。実に怖い2人が優勝戦に残ってしまった!

11レース/もはや神の領域!? コンマ02で差し抜け

①丸岡正典
②中村有裕
③森永 淳
④高沖健太
⑤松本博昭
⑥石橋道友

DSC00090  今シリーズの中村ユーユーは、もはや人間じゃない。3日目からコンマ08、02、05と主催者がお漏らしするような驚愕Sを連発し、この準優でもコンマ02!! 考えていただきたい。コンマ02。腕時計の秒針の1秒分を100分割して、その2目盛手前でピッタリ止めるなんて、できる人がいるだろうか。いたらおかしい。神の領域なのである。
 が、ユーユーはやってしまった。2コースからコンマ02。しつこいけれどコンマ02。そして、インの丸岡もコンマ04……これだけ両雄が張り込んでしまえば、腕の違いもあって1=2しか考えられないところ。
 だが、このレースにはもうひとり、埋伏の兵がいた。地元の森永淳。展示でも6秒74という図抜けた一番時計を叩き出したとおり、今節ナンバーワンの伸び足を誇っている。コンマ07のスリットからぐいぐい伸びる森永。1マークの手前で、インの丸岡は腹を決めたのだろう。ターンマークを大きく外して全速でぶん回した。
 ユーユーに差されても2着は取れる。が、森永にまくられたら一巻の終わり。
 あるいはユーユーのツケマイを想定したのかもしれないが、とにかく丸岡はまくりだけを警戒して握った。握りすぎたといってもいい。強い追い風も手伝って、ズルズルと流れる1号艇。ユーユーが楽々と差し抜け、森永もまた「そんじゃ、ご馳走さん!」とばかりに丸岡の内に舳先を向けた。完全に2-3-1の隊列ができあがってしまった。
 が、もちろん指をくわえて2艇を見送る丸岡ではない。1周2マークで鋭く内に切れ込み、森永に肉薄する。強ツケマイで抵抗する森永。ホームでの差は1艇身。そこからの森永の伸びが凄い。あっという間に2艇身ほど置き去りにして、2周1マークへと向かう。
 そして、この安全圏にも近い差が、逆に森永には災いしたのだろう。森永はスピードを落として丁寧に慎重に回ろうとした。再び丸岡がブイをかすめるほどのギリギリの角度で突進する。ここで、逆転していた。
「おいおいおいおいっ!!」
 スタンドに地元ファンの悲壮な声が響いたが、もはや再逆転できる距離ではなかった。森永は松本に交わされ、ついには高沖にも抜かれて失意の5着……地元の期待の星が、またひとり消えた。
 結局、明日のファイナルに駒を進めたのはユーユー&丸岡の銘柄級。レース後にスリット写真を見たファンが、呆れたように呟いていた。
「はあ~、記念ば走っとる選手は、スタートも切れとうね~」
 確かにそうだが、コンマ02は切れすぎてはいないか。明日もユーユーは、神の領域に足を踏み入れるのだろうか。

<独断のパワー診断>
 丸岡正典は抜群とまではいかない上位級。昨日も今日もターンマークで流れており、優勝戦に入ると掛かりが少し弱そうだ。伸びもソコソコで、このままではちょっと厳しいだろう。ユーユーは昨日まで良くて中堅上位まで。今日の1着にしてもかなり展開に恵まれた感があり、上昇したかどうかはわからない。スタート勝負の気持ちは明日も変わらないのではないか。

12レース/俺が横綱じゃ! 岡部、影も踏ませぬイン速攻

DSC00096  奇しくも87期が4人も揃って、同窓会の面持ち。そのせいもあってか、荒れるとみていた進入はすんなり123/456の枠なり3対3に収まった。このレースの鍵は、なんといっても岡部大輔のメンタリティだ。初めてのGⅠ準優、断然の人気、地元のプレッシャー、連日のイン戦……デビュー以来1度も優勝経験のない岡部が、これだけの高い障壁に絶えられるか。連単の1-2は3・3倍と3・4倍を行ったり来たりしていた。これは、前2レースよりも低いオッズだ。岡部、大丈夫か。
 だが、岡部はこれらのプレッシャーをあっさりと跳ね除けてしまった。あるいは87期が4人もいたのが大きかったかもしれない。かつて毎日毎日一緒に走っていた面々とのレース。岡部にとっては、GⅠや準優という気持ちがかなり薄れただろうし、「たとえ自分が負けても同期の誰かが優勝戦に乗ってくれるはず」みたいな心のゆとりも生まれたことだろう。
 岡部はコンマ12の理想的なスリットから、1マークを回った瞬間に他艇を引き離していた。見た目には楽勝で、色々な意味で「メンバーにも恵まれた」ともいえるわけだが、それでも岡部は自力で優勝戦の1号艇を勝ち取ったのだ。この自信が何よりも大きい。レースのたびにいくつかのハードルを超え、その経験が自信という名の肥やしに変わっていく。日々新しい言葉を覚えていく幼児のように。
 ただし、この勝利をもって明日も同じように勝てるとは断言できない。優勝戦のメンバーは、海千山千のSG常連がずらりと並んだ。同期もいない。地元選手も離脱した。孤独な水面で、準優をはるかに凌ぐプレッシャーと戦わなければならない。この5日間で覚えた言葉をすべて駆使して完璧な文章に仕上げなければならないのだ。
「初優勝が地元のGⅠ」という劇的なフィナーレへ、岡部大輔の成長を明日もしっかりと見守りたい。

<独断のパワー診断>
「節イチですね」
 勝利者インタビューで何の衒いもなく宣言したように、岡部の22号機は凄まじく噴いている。間違いなく節イチ。スリット同体なら、どんな強敵でも太刀打ちできないだろう。2着の前野も回り足が強烈だ。実は予選では軽視していたのだが、あの出遅れSから楽々と2番手を取りきったパワーは本物。素直に脱帽して抜群の評価を与えたい。明日は人気薄だが、銘柄級がこぞって岡部に襲いかかれば勝機が生まれるかも。それを実現させるだけのパワーはある。(畠山)

DSC00098


| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (1)
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
人気闘票。笹川賞ファン投票の日 【ラリーズクラブ】
【共同通信社杯新鋭王座決定戦準優3個レース】 準優12Rは、87期福島のピット離れが良く2コースを取れそうでしたが強面の84期前野竜一56.2kgが枠を主張したらあっさり引いて4カドへ。もっと勇気があれば…ということでこの枠なり3vs3進入が完全に裏目となり、福島はカド受け...... 続きを読む
受信: 2006/01/29 15:51:15
コメント
コメントを書く




※メールアドレスは外部には公開されません