この特集について
ボートレース特集 > 新鋭王座ベスト・パフォーマンス3日目
この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
ライタープロフィール
カテゴリー
関連リンク
競艇サポーターズ
関連書籍

 ボートレース特集

新鋭王座ベスト・パフォーマンス3日目

 今日は昨日までに比べてレース、配当ともに穏やかな水面でしたね。半ば心配しつつ半ば期待?していた拡郎のスタートもコンマ19だったし(笑)。でも、準優に向けての内面的な悲喜こもごもは、昨日よりもはるかにヒートアップしてもいました。
 まずは湯川浩司。優勝候補の筆頭ともいうべきこの選手が、まさかの6着6着でV戦線から脱落してしまいました。昨日は吉田拡郎の強ツケマイで艇が浮くほどの煽りを食い、今日の11レースでも福島勇樹の突進ツケマイをモロに浴びて万事休す。展開的に貧乏くじを引くようなレースが続きましたね。無念とは思いますが、そこは去年の最多勝選手。明日からの心機一転の走りに期待しましょう。
 一方、3日目にして早々に準優進出を決定付けた選手もおりました。第3位はこの方です。

9R/丸ちゃん、オール連対で準優一番乗り!

SANY0574  2着2着1着1着。文句の付けようのないオール2連対で、丸岡正典選手が3日目にして準優への当確ランプを点しました。この9レースは5号艇からひとつ潜り込んで、スローの4コース。3コースの森永淳がスリットから一気にまくりに出たところを、焦ることなくまずは5カドの江夏にしっかり艇を合わせます。外を完封してから、すぐに内に切れ込んでの豪快なまくり差し。1マークを回ったときには、すでに2艇身ほど森永をチギッておりました。この冷静さ、したたかさ、迅速さ。去年、3度もSGという修羅場で揉まれてきた経験が、このスリット~1マークに凝縮されていましたね。
 私の見立てでは、丸岡のモーター58号機はよくて中堅上位まで。回り足はありそうですが、直線で競ったときにモッサリとしていて伸びはお世辞にもいいとは言えません。つまりはパワー頼みではなく、腕一本での4走36点。準優に向けてエンジンも上昇させたら、これはもう鬼に金棒、V候補のNO1と呼ぶべき存在になることでしょう(もちろん、今でも十分に優勝候補ですが)
 ちなみに自力まくりから、2着を取りきった森永淳は4走33点。明日は1回走りですから、こちらも丸岡から1秒ほど遅れて準優へのキップを手にしました。丸ちゃん、淳ちゃん、とりあえずのノルマ達成、おめでとさん!

 続いて第2位。行くと決めたら、他艇なんか関係なく突き進む。スリットの段階で勝利を決定付けたこの選手です。

12R/スリットを出し抜いて、悠々ひとまくり!

SANY0573   コンマ02。4カドからただひとり張りこみました、最終レースのユーユーこと中村有裕選手。唖然としてしまいました。何しろインの吉田俊彦がコンマ29で、5コースから中村をマークすべき三井所尊春でさえコンマ31……ほぼ2艇身近い差です。唯一カド受けの石野貴之だけがコンマ15まで踏み込みましたが、カドからコンマ02をやられてしまっては、ユーユーの艇尾を拝むヒマさえありません。月並みな擬音で表現するなら
 ドッカ~~~~~~ン!!
 元々が平均コンマ13というスタート勘抜群の選手ではありますが、このコンマ02は勘や動体視力の限界を超えているはず。それでもあえて踏み込んだのは、やはりこれもSG常連のプライドというしかありません。この12レースのメンバーの中では、明らかにパワーは劣勢。ユーユーはそう感じていたようです。
SANY0617  ならば、勝つにはカドからのS一撃しかないな。
 そう戦法を決めて、迷うことなく決行したのですね。さらに言い換えるなら
 お前たちには、負けてはいられない!
 ということなのでしょう。ピットに張り付いているK記者は「ユーユーはいつも寡黙に作業していて、ほんっとに孤高な戦士って感じなんだよ~」と毎日のように報告してくれるのですが、そんなピットの光景が目に浮かぶような孤高のスリットでありました。ひとつ間違えばF。他艇をまったく無視し、ギリギリの境界線まで突き進んだこのスリット写真に、ユーユーという男の空恐ろしさが垣間見えるような気がします。

 そして、今日のベスト・パフォーマンス賞は、さらにギリッギリの亜空間まで到達したこの選手に捧げます。

10R/まくり水面を蹴散らした「最も危険なイン逃げ」

SANY0604  ユーユーも凄かったが、このレースの中野次郎も凄かった! ヤバかった、と言うべきでしょうか。1号艇からインを取りきってのスリット。そのタイミングは、韋駄天カクローも真っ青のコンマ01!(あ、別にカクローは驚きませんかね) 中野次郎はユーユーほどにはS勘がいいわけではないので、本人も相当ドッキリしたことでしょう。それに、節間成績もかなりの上位でしたから、勝負駆けに近かったユーユーより精神的にも余裕があったはず。単なる勘違いの踏み込みだった可能性もあります。ただ、
 唐津でインから勝つにはどうするか?
 こう自分に問いかけた答が、この危険なスリットにつながったのだと私は思います。唐津でインから勝つのは、本当に難しい。今日は1コースの選手が4勝しているのですが、そのうちの2勝は「抜き」。「逃げ」で勝ったのは、4艇がコンマ26~31と遅れた中でコンマ07を決めた8Rの柳沢一と、この次郎だけ。その他は、差されたりまくられたりで、みな他艇の引き波に沈んでいるのです。
SANY0602  もちろん、コースの有利さで2着や3着には粘ることができる。でも、勝ちきれない。勝ちきるには何が必要か……もちろん、怪物級の出足があれば勝てるでしょうが、そんなモーターが一節にそうそうあるわけもなし。結局はスタートで他艇よりも張り込み、そのお釣りを使い切る前に1マークを回るのが勝利への最短距離。中野次郎は、この最もシンプルで最も危険な戦法を、実戦で試したのではないでしょうか。今日だけではなく準優、そして、その次のレースを見据えて(コンマ01は想定外だったとしても……)。
 中野次郎は首の皮一枚でスリットを通過し、鮮やかに逃げきりました。運良く生き残った、と言い換えることもできます。でも、チャレンジカップを制した上瀧和則は、予選でコンマ01の薄氷を踏んだレースをこう振り返っているのです。
「SGを優勝するような時って、予選の途中で必ず一度はあんなギリギリの危険とか強運とかがあるもんですよ。あれで助かってから、追い風が吹いたのがはっきりわかった」
 それぞれ立場や境遇は違うけれど、今日、ユーユーも次郎も「ギリギリの危険とか強運とか」を身を持って体験しました。あの瞬間、唐津特有の強い追い風が、ふたりの背中に憑依したかもしれませんね。もちろん、最後の最後に勝利の女神が微笑む相手は、たったひとりなのですが。(畠山)


| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
コメント
コメントを書く




※メールアドレスは外部には公開されません