この特集について
ボートレース特集 > キリリ――準優勝戦 午前のピット
この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
ライタープロフィール
カテゴリー
関連リンク
競艇サポーターズ
関連書籍

 ボートレース特集

キリリ――準優勝戦 午前のピット

SANY0788  1R、松井賢治、転覆。3R、吉村正明、転覆。何やら朝から波乱ぎみの、5日目。準優勝戦を数時間後に控えて、ピットはキリリとした緊張感と、嵐の予感に包まれている。たとえば昨日の勝負駆けデー、意外と穏やかな雰囲気だったように、今節はわりとほんわかとした空気だったような気がするピット。もしかしたら、同世代が集まる気楽さもあるのかなあ、などと考えてみたのだが、もしその通りだったとしても、今日は少しだけムードが変わっている。ガラリ一変というほどではなくとも、昨日までよりもキュッと引き締まった感覚があるのだ。やはり準優勝戦、ということなのだろうか。

SANY0780  たとえば、予選1位で1号艇をゲットした、GⅠ初出場の岡部大輔。どうしたって、プレッシャーがあるのかどうかが気になるわけだが、やはりやや堅い表情に見える。整備士さんたちの控室で姿を見かけたのだが、選手たちの輪から離れることで、少しずつ緊張感をそぎ落としているようにも見えた。うがった見方なのかもしれないけれども、昨日までの弾むような様子がないのは確か。もっとも、この状況に100%の平常心でいられるわけがないのであって、むしろ自然な姿とも言える。時間が経つごとに、岡部がどう変わっていくのか。ある意味で、最注目の存在と言えるだろう。

SANY0785  反対に、驚くほどリラックスしているのは、吉永則雄だ。きっと胸を張りつつ、笑顔連発。このあと準優を控えているとは、とても思えない。今年が最後の新鋭王座というわけではないし、地元でもないし、艇番は4。緊張から逃れられる条件がいくつもあるのは確かだが、それにしてもこの落ち着きはどうだ。1Rで今節初1着の益田啓司を出迎える際には(同期ですね)、九州勢とともにはしゃいでもいるのだから、ほんとにすごい。尻上がりの成績もあわせて、俄然、注目度は高まったといえる。

SANY0822  岡部と吉永の中間くらいの雰囲気で、闘志を静かに高めているように見えるのは、荻野裕介。男っぽい風貌が、今日は一段と凛々しくなっている。機歴簿を時間をかけてチェックしていたが、この後、何らかの整備をするのだろうか。撮影する際、初めて言葉を交わしたが、小気味よく、また実にしっかりした口調で、うーむ、やっぱり男っぽいぞ。一発カマすとすれば、彼だろうか……。

SANY0809 整備室でモーターの調整を施していたのは、松本博昭と三井所尊春。三井所は地元ということもあり、特別な気合を胸にたたえているように見えたが、松本は実に落ち着き払っていて、最年長選手の貫禄を感じさせる。もともとピットでは常に淡々とした振る舞いではあったが、今日もほとんど変わらない様子で、黙々と作業に集中している。もしレースがもつれたとき、怖いのはこの冷静さではないだろうか。

SANY0824  銘柄級たちは、さすがのたたずまい。丸岡正典はゆったりと、非常にいい時間を送っているようだし、中村有裕もこれまでのビッグレース経験で身につけたのであろう、自分なりのペースで準備を進める。地元の威信を背負う森永淳も、いい気合で臨めそうな雰囲気で、顔つきにもキレがある。中野次郎もまた、適度に気合が乗った表情で、迫力すら感じる。井口佳典は、もともと目力が強力であるが、今日は一段と強烈な光を放っている。やはり中心を担うのは、彼らということになるのだろう。好枠を得た彼らがレースを作るのは必至。格上の意地を見せてくれるだろうか。

SANY0795  準優組以外で唸ったシーン。1Rで転覆した松井賢治を出迎えた、同県の先輩・山本隆幸。心配そうに松井を出迎えると、無事な様子にホッとしながらも、ピットに上がってきた松井に近寄っていく。そして「大丈夫か? とにかく風呂に入って、ゆっくりしろ。あ、(次は)5Rだからゆっくりもできんか。まあ、いい。とにかく風呂に入って来い」と、力強い励まし。今節、山本がリーダーシップを発揮しているシーンを何回か見たが、それを裏打ちしているのが、この優しさだろう。準優に進出する吉田俊彦にとっても、きっと精神的支柱になりうる存在。その男気に、痺れました。(黒須田守) 


| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
コメント
コメントを書く




※メールアドレスは外部には公開されません