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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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浜名湖に「言葉の玉手箱」――必聴! 柴田稔さんの場内解説

「スリットからの伸びは、4番と5番がいいですねえ」
 スタート展示時、場内にそんな解説が響いている。周回展示、レースリプレイでも同様だ。
「フトコロをあんなに開けてるから、4番がすっと入られるんですよ」
「伸びはすごいですね。ただ、回り足などはもうひとつでしょうか」
「金メダル級ですよ! イナバウアーですよ!」(昨日の8R、吉原美穂子のまくりに対して)
 的確でわかりやすく、時にやや辛口。さらには、思わず絶叫! 解説としても素晴らしく、しかもちゃんと血が通っているから、決して聞き飽きることはない。こんな解説が、浜名湖競艇場では場内放送で流されているのだ。取材班も、記者席でついつい聞き入ってしまうSANY0347この解説、声の主は柴田稔さんである。

 登録番号1884。通算勝率6・40。通算2262勝。優勝83回。記念優勝12回。SG優出3回。
 そう、柴田稔さんは、元選手だ。昨年まで現役を続けていたが、引退。地元・浜名湖で場内解説「キバタのなるほどレースナビ」を今年から始めた。正月レース、2月のオール女子戦で試運転をこなし、この女子王座が本格的なスタート。4月からは開催中は毎日、全レースを解説するそうだ。
 水面を見下ろす部屋で、選手たちの走りを見守る柴田さんは、元トップレーサーならではの見解を、小気味よく、ズバズバと繰り出していく。たとえばスタート展示では、その並びから、選手の心理や駆け引きをふまえたうえで、本番での並びを推測していく。初心者にもわかりやすく、またキャリアを重ねたファンをも唸らせる、痛快な解説だ。また、吉原の走りに感嘆してみせたように、レースの見どころもきっちり押さえて、スポットを当てていく。機力の見立ても確実だから、予想の参考になるのはもちろん、レースを楽しむツボも教えてくれているわけである。
 これを4月からは常時聞くことのできる浜名湖のファンは、幸せ者だと思う。

SANY0348 2Rの解説を終えた後に柴田さんを訪ねると、柴田さんはまず、情報の重要性に関して熱弁を振るった。オートレースを楽しむこともあるという柴田さんは、ファンとしての立場から、「ファンにわかりやすく」「情報をきっちり伝えることが、ひいては売上にも結びつく」と考えている。それはどちらかといえば、競艇界への提言のようでもあったけれども、その底を貫く考え方が、柴田さんの解説に現われているのは間違いない。解説の根源は、選手の視点にあることは当然だが、それを言葉として発するときにはファンの立場を見据える。しかも、無意識にかもしれないが、「ファンが本当に欲している情報」とでも言うべき“無難にまとめるだけではない解説”を実現させているのだから、このクオリティは本物である。
 けっこう辛口になることもありますよね、と訪ねると、柴田さんは「いやあ、今はまだちょっと遠慮してるんですよ」と笑った。この企画が始まって、まだ3節目。本領発揮はこれから、ということなのだろう。4月からの解説は、さらに冴えまくるはずで、いやあ、本当に楽しみの一言。浜名湖でしか聞くことができないのは、あまりにも惜しいよなあ、というしかない。

SANY0354  浜名湖にお越しの際は、スタート展示、周回展示、レースリプレイでは場内放送に耳を澄まそう。そこには、競艇ファンを熱くさせるお言葉が、あふれんばかりに並んでいるはずである。浜名湖の場内スピーカーは、柴田さんがプレゼントする「言葉の玉手箱」なのだ。(TEXT&PHOTO/黒須田守)

←右が柴田さん。左は“相棒”の工藤浩伸さん。


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