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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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快哉&痛恨――4日目、後半のピット

2006_0303_4_010  予選最終日。他の日以上にレースの結果が気になる日。選手たちも、ボーダー近辺にいる選手なら特に、他の選手の結果は非常に気になる。浜名湖の整備室内にはモニターがあって、ここでレース観戦をしている選手も多い。ズラリとモニターを囲んで並び、上のほうにあるモニターを見上げるのだ。あの選手の走りは、そして結果は……。みな、固唾を飲んで見守っている。(写真は左から小杉志津江、角ひとみ、栢場優子、宮本紀美、藤田美代、濱村美鹿子、吉原美穂子、日高逸子)

2006_0303_4_186  結局、ボーダーは寺田千恵の6・33。通常の6・00には収まらなかった。12R、向井美鈴が6着。4着で予選突破だったのだが、まさかの大敗……。3勝をあげ、シリーズを引っ張ってきた一人だったはずなのに、昨日の待機行動違反が響いてしまった。足色からすれば余裕とも思われたボーダークリア。しかし、6着という思いもしなかった着順で果たせなかった、その悔恨……。ピットに引き上げてきた向井のヘルメット越しの目には、さすがに落胆が色濃くにじみ出ていた。出迎えた角ひとみや海野ゆかりも、どんな言葉をかければいいのか、見失っている様子。ボートを片付ける間も、彼女たちには笑みのかけらもなかった。肩を落としながら、控室に向かう向井。顔なじみの記者に声をかけられて、ニッコリ笑ってはみせたものの、瞳に力はない。無理して笑った、そうも見える表情は、結果に対する悔しさ、自分に対する苛立ち、そんな哀しい思いにあふれていた。
SANY0510  向井よ、戦いは今日で終わったわけではない。振り返らず、前だけ見て進め。今日のツラい思いだけを記憶に刻み、いつかその哀しみの痕跡の上に歓喜を打ち立てるのだ。こういう痛みを経験してこそ、人は強くなる。来年は、もっともっと強い向井に会えるのを楽しみにしよう。

2006_0303__071  一方、8Rで5着に敗れてしまった寺田千恵は、9R以降の結果次第では勝負駆け失敗に終わる可能性もあったが、結果、6号艇ながら準優進出に成功した。12R終了後、記者に囲まれる寺田は、平静な表情を見せてはいたが、言葉の端々に「ホッとした……」という気配を漂わせていた。機力が思うように向上しなかった今節、寺田はいつも以上に渾身の走りで着順を上げていった。時に、強引とも思えるレースすら目についたくらいで、つまり、寺田の武器は、ただただ気迫のみだったと言ってもいいだろう。だから、準優進出が決まり、本来なら表情が緩んでもおかしくはない場面である。勝負駆けに失敗した選手たちを気遣っての平静さ、僕はそう見たが、だからこそ、一発勝負となる準優は(もしかしたら優勝戦も)、渾身というよりは大胆なレースができるはずだと思う。そう、むしろ明日のテラッチは怖いぞ。ま、12Rのメンバーを知ったときには(ベテランがずらり!)、さすがに絶句してましたが。

2006_0303__180  寺田と同様、6号艇の準優進出となった高橋淳美。8Rを逃げ切って、勝利者インタビューでは、早々と「準優に乗れました」と発言。しかし、実際はその時点では、予選敗退の可能性もあった。寺田と同率だが、着順点では高橋のほうが上位だったため、予選突破が確実となったのは、11Rで吉原美穂子が勝負駆けに失敗したとき。9、10Rの結果から、おおよそ大丈夫との見方ではあったが、11R後にようやく、安心の時を迎えた。記者に声をかけられて、「やっと確実になりました」と笑ったが、やはり心からの笑顔には見えない。いつ自分が逆の立場に置かれるかわからない。そんな思いが、複雑な心境を生むのだろうか。高橋ほどのキャリアになれば、すでに悔やみ切れない勝負駆け失敗というケースは何度も経験してきたはず。もちろん準優進出が嬉しくないわけはないが、相手の気持ちを思うと……。18個のイス取りゲームのしんどさを、改めて痛感した、高橋の表情であった。

2006_0303_4_062  正直、ここまでまったくノーマークだったのが、定野久恵。いや、もちろん堅実に着をまとめる確かなレースぶりには注目していた。だが、ピットではまるで視界に入ってこなかったのだ。それもそのはず、ピットでの定野はマスクをしていることが多かった。実際は整備室でよく姿を見かけてはいたのだが、顔が隠れているため、ついつい見逃してしまっていたのだ。今日はマスクを外している時間が長く、整備をしている彼女を発見すると、おぉ、やはりお美しい。水面のフランス人形とも言われたその美貌を、なんで今まであっさり見過ごしてきたかなあ……と、自分の不明を恥じたのでした。言うまでもなく、注目すべきは、ルックスだけではない。たたずまいに毅然としたものを感じるのは、ここまで培ってきた実績と経験の賜物であろう。成績がいいこともあるのかもしれないが、存在感も清々しい。強烈という感じではないが、透明感のあるオーラを噴出している。ほんと、なぜ今まで見過ごしてきたんだ? 思えば、定野も地元軍団の一人。明日は日高逸子、鵜飼菜穂子、山川美由紀という大御所たちと剣を交えるが、決して怯むことはないだろう。

2006_0303__191  今日もまたマクリ一閃! 谷川里江が、昨日の12Rに続いて、外から豪快なレースで1着を獲った。そして、昨日に続いて、レース後は比較的淡々としている。うーん、谷川って、もっとキャピキャピな印象があったんだけど。女子リーグに出場していた頃、開会式の谷川はパフォーマーの一人だった(多摩川だったか、「私のレーシングスーツ欲しい人~」と観客に呼びかけ、希望者に本当にあげていたのを見たぞ)。そのイメージが強かったせいか、ピットでも笑顔満開ではしゃぎまくり、ってな想像をしていたのだけれども、実際はむしろ正反対である。整備などのときに真摯な表情なのは当然としても、レースで勝利を収めても、また真摯。強者の品格とはこういうものなのではないか、谷川を見ていると、そんな思いまで浮かんできてしまうのだ。

2006_0303_4_094  前半でも注目した徳増宏美。後半は4着、得点率は7・00で準優進出を決めた。彼女が出走したのは10R。3時30分前後のピットアウトである。12Rのピットアウトは4時40分前後。つまり、10R終了後から作業終了までは、正味1時間程度しかない。だというのに、レースを終えた徳増は整備室に直行、本体を整備し始めた。その日のすべてのレースを終えた選手が整備室に直行するのは当然のことで、格納のための点検などを全員が行なっている。徳増もおそらく格納作業のはずだと、整備室に入っていく彼女を眺め、やり過ごしていたのだが……10分後くらいに整備室を覗いてみると、そこには本体を割っている徳増がいたのだった。驚いた。もしかしたら、それも単に点検のためだけだったのかもしれないが、10R後のわずかな時間だというのに、整備にかかるその姿勢には尊敬の念を抱くしかない。後半4着は、気づいてみれば、今節最悪の着順。それだけに、不安点が生じて当然ではある。それでも、明日に回すことをせず、少ない時間を有効に利用して、即座に解決をはかろうとする徳増は、実に美しいと思う。うむ、明日は応援せざるをえないですな。女子王座を優勝して、総理大臣杯には静岡の徳増が二人(徳増秀樹も出ます)、そんな夢想をしたくなるのだ。

SANY0502  さて、予選2位での準優進出おめでとう! 明日も気になりそうですよ、の横西奏恵。11Rの発走前、出走選手控室の近くで永井聖美がJLCの準優進出選手インタビューを受けていたのだが、永井の視線の向こうでニヤニヤしている奏恵がいるではありませんか。最初に永井をからかうように笑っていたのは、11Rに出走する中谷朋子だったのだが、そこにやって来た奏恵も一緒に、インタビューの様子をケラケラと笑って眺めていたのでした。そんな余裕を見せながら、12Rは悠々と逃げ切ってみせたのだから、さすがです。明日も1号艇、今日のようなスカッとしたイン逃げを期待していますぞ。 (PHOTO/中尾茂幸=レース観戦、向井・単独、寺田、高橋、定野、谷川、徳増。黒須田=向井レース後、横西 TEXT/黒須田守)


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コメント

栢場優子は6.40で、ボーダーは寺田千恵の6.33ですよ。

投稿者: りゅうじ (2006/03/03 22:59:39)

大変申し訳ありませんでした。
ボーダーは、寺田千恵の6・33です。
何を勘違いしていたのか、栢場優子の6・20(実際は6・40)と記してしまいました。
さっそく訂正させていただいております。
本当に申し訳ありませんでした。

りゅうじ様
ご指摘ありがとうございました。
以後、留意いたします。

投稿者: 取材班・黒須田 (2006/03/04 0:47:32)