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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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今日のベスト・パフォーマンス・女子王座3日目

 今日は追い風がやたらと強くてFや転覆などの事故が相次ぎましたが、レースそのものは穏やかな展開が多かったですね。強い追い風でインが強かったことが、平穏な印象を強くしているようです。しかし、妙に安泰なイメージを与えていたのは、このお方たちが圧勝したからなのです。第3位は、美しい3人のオバ……お姉さまたちに捧げます。

9、11、12R/まだまだオバハンとは呼ばせませんわよ!

2006_0302_2r3r_033 もう、貪欲すぎるというか節操がないというか……この人たちの勝ちっぷりには、ただただ脱帽するしかありません。
 まずは9レースのテラッチ36歳。インから圧勝です。レース回顧はこれで終わりでいいでしょう。インから圧勝。前半の2レースでは平然とアウトに構えて、道中5番手からあれよあれよと2着でゴール。むしろこちらの方が書き甲斐もあるわけですが、このお方の追い上げの凄さは初日に詳しく記しました。モーターもかなり仕上がってきた今日は「はあ、やっぱりね~」って感じです。普通ではありえないことが、当たり前なんです。
 でもってイン圧勝。今節は3日目にしてはじめて勝利者インタビューを受けたのですが、もうその貫禄たるや、あなた。
「いや~、黄色いの(淺田千亜希)が飛んでくるとばっかり思ってたんですけどね~、来ないんで回っちゃいました、うふふ」みたいな。
 続いては11レースのディフェンディング・クイーン日高逸子44歳。3コースまで潜りこんで、コンマ18の無難なスタート。ならば、とコースを奪われた片岡恵里がコンマ05の超絶スタートで、すぐ外からまくりに来ました。普通はひとたまりもないっすよ。コンマ18とコンマ05。それをですよ、日高姉さんときたらもたれるように片岡艇に舳先を預けながら同じタイミングで旋廻し、そこで片岡に勝手にまくらせながら、自分は角度を変えてまくり差し。まくらせながら、まくり差してるんです。でもって圧勝。はい、これももう多くの言葉は用いません。
2006_0302_1012r_043  そして極め付けが、12R歴代女王決戦の谷川里江38歳。枠なりの5コースからドッカ~~ンとコンマ04、おそらく全速。39歳の山川美由紀がインからコンマ07で抵抗しますが、中が完全に凹んでいるのだから太刀打ちできるわけもなし。豪快に絞りまくりを決めてしまいました。コンマ04、おそらく全速。そして勝利者インタビューのこの一言が圧巻でした。
「(スリットで飛び出して)もう、万歳しながら締めて行きましたよ、キャハハハハ」
 痛烈ですね~、諸手を挙げての絞りまくり! そんなことでけへんがな~~、なんてツッコミは怖くて入れられませんってば。オヤジギャグならぬオバハンギャグ? 水中に咲くウバ桜? も、もっと言えません!! 「艇界のアイドル・花の3人娘」の大活躍、しかとこの目で見させていただきました、はい~。

 第2位は、陸上も水上も全力で突っ走る、天然アスリートに。

3R/コンマ01にドッキリも準優一番乗り!

2006_0302_2r3r_316  らしいような、らしくないような3レースでした。栢場優子りんは昨日の2日目まで2・2・2と2着3発。「一撃ピンロクまくり勝負の優子りん」は影を潜め、道中では差して差して着をまとめてきました。ホントにこれほど2着を揃える選手じゃないんですよ。まくりきったら圧勝、まくり不発で揉まれたらズルズル下がって惨敗。全速ぶん回ししか知らないような、実になんとも不器用で、それが優子りんの魅力なのに……。
 とにかく不思議なオナゴなのですよ。だいたい、この大事な大事な女子王座の前検の前日に、ハーフマラソンに参加しちゃいけませんってば。しかも当日は氷雨が激しく降り続き、大雨洪水注意報まで出ておりました。私はスタンドで観戦してましたが、寒くて寒くて死にそうでしたよ。
 こら優子りん、風邪でも引いたらどうする、即刻辞退しなさいっ!!
 私は心の中で強く命令してみましたが、友達でもなんでもない私の心の叫びが届くわけもなし。優子りんは笑顔でスタートし、1時間50分後くらいに笑顔で戻ってまいりました。まあ、不器用というか破天荒というか、水面でも陸の上でも掴み所のない選手なのですよ。
 それが、今節は「東洋の魔女」よろしく、拾って拾って拾いまくってポイントを稼いでます。やはり氷雨にやられて変になってしまったのではないか。私は本気で心配しておりました。
 が、そこは天然の優子りん、この3レースではお茶目なことをやってくれました。コンマ01のタッチスタート! Fを切った小松原に引っ張られたとはいえ、これでこそ不思議ちゃん。私の好きな優子りんなのです。
 そして結果はといえば……差して3着。お世辞にも差しが上手いとはいえない優子りんは1マークでまったりと差してズブズブに抜き去られたのです。う~ん、らしいような、らしくないような。初日からアタマ決め撃ちで舟券を買っている私は、ほろずっぱい気持ちでこの拙い差しっぷりを眺めておりました。
 ま、それはともかくタッチ差でFを逃れた優子りんは、この3着で節間30点を獲得。明日は1回乗りなので、準優当確(ボーダーが6・17以下ならですが)の一番乗りを果たしたわけです。これで明日は怖いものなし。きっと明日は2、3コースから豪快な全速ぶん回しを見せてくれることでしょう。ひとまず、おめでとさんです!

 そして、今日のベスト・パフォーマンス賞は、この3日間でこれ以上ない喜びとこれ以上ない無念さを感じたであろう新鋭レーサーに贈ります。今節2度目ではありますが、是非とも記念しておきたいのです。

5R/大器の証「明日に架ける激突」

2006_0302_1012r_118  初日、水神祭を含むピンピン発進を切ったニューフェイス・金田幸子(カナダユキコですよ)。このまま準優街道を突っ走るかと思いましたが、2日目はキッツ~いメンバーに揉まれて6着。予断を許さぬ情況になってしまいました。
 そして、今日の5レースは絶好枠の2号艇。定野久恵を入れて3コースに入った金田は、コンマ14と理想的なスタート。インの岸恵子がコンマ28と遅れたので、まずは2コースの定野が豪快にまくっていきます。その時でした。
 さあ、金田はどうする……?
 私は金田に視線を移したのですが、そのときにはもう全速でまくり差しの体勢に入っていました。3コースのまくり差しはもっとも難しい。何度も記したことですが、まさに金田はそのイナバウアー級の技を繰り出そうとしています。しかも、凄まじい全速で! レースをご覧になった方は、わかってくれると思います。あのスピード、あの鋭い旋廻!まるで路上のエサを見つけたカラスが急降下して一瞬でかっさらうような、とんでもない速さでした。本当に、黒いカポックも手伝って、私の目にはカラスが定野と岸の間を飛び交ったように見えたのです。
 突き抜けた~~っ!!!
 で、そう思ったのも一瞬でした。ボートがブイに激突し、真っ黒いカポックはポ~ンと跳ね上がって水中へ……。その激突は1マークとの目測を誤ったというより、スピードが速すぎたために艇が流れなかった。そんな感じでした。自動車もそうですが、急カーブでブレーキをかければ車体は大きく流れます。一定の速度で回れば流れない。金田の3コースまくり差しも、スピードがありすぎるがゆえに引き波をまっすぐに超えてブイに至ってしまったと思うのです。もちろん、その航跡を予測しえなかったこと自体がすでにターンミスなのですが……。
2006_0302_1012r_133  レース後、救助ボートの中の金田は何度も何度もスタンドに向かって土下座し、おそらくはピットでも大目玉を喰らったことでしょう。まだ技術が伴っていなかった、と深く自省すべきターンでもありました。それでも、決断力の速さと度胸満点のレースぶりには目を瞠るものがありました。見る前に飛んだ彼女の鳥人的な資質は、やがて熟すであろう技術とともに大きく開花すると思うのです。
 後半の10レースでも奮闘して3着に入った金田ですが、減点が響いて予選突破の夢は消えました。5レースであのまま突き抜けていれば……などと死んだ子供の歳を数えたくもなります。でも、金田にとって今回の女子王座ははじまったばかり。今回の自省と教訓が、また来年につながることでしょう。
 初日から大いに(もっとも)このGⅠを盛り上げてくれた金田幸子には「後世、恐るべし」という言葉を捧げたい、です。
(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO、TEXT/畠山)


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