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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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今日のベスト・パフォーマンス・女子王座4日目

 さすがに勝負駆けデー。水上の風は昨日とさほど変わらないのに、午前も午後もまくりやまくり差しがガンガン飛び交っていましたね。何かこう、ターンマークを回る瞬間や、直線での競り合いでも、昨日までとはまったく違う「気」がうごめいているようでした。
 その「気」を端的に象徴するレースを紹介しましょう。第3位は、その凄絶なレースに参戦した6選手に贈ります。

8R/オール・ザッツ・勝負駆け!!

2006_0303_1_075  これぞ勝負駆け! と、とにかくいろんなことがありました! ダラダラ書くと混乱するので、時系列に整理してお伝えします。まずは各選手の勝負駆け情況は
1高橋淳美…1着条件
2岩崎芳美…1着条件
3寺田千恵…4か5着あたり
4渋田治代…2着条件
5柳澤千春…予選落ち
6渡辺千草…予選落ち

 とまあ1~4号艇が勝負駆けで、特に1、2号艇がピン条件とあっては場が丸く収まるはずもなし。ほぼ絶対に誰かが脱落するという境遇の中で、レースは進入からもつれました。
①進入/2号艇の岩崎がピットアウトで出遅れ。回りこんで2コースを狙いますが、「もう手遅れよ」とばかりにテラッチと渋田が2、3コースを先取りです。所在なさげに4コースに入った岩崎ですが、あまりの深さに嫌気がさして回り直し。進入は想像さえできない134/562という隊形になりました。
②スタート/岩崎をブロックした反動で、テラッチと渋田も深い起こしに。特に穏やかな3コースを想定していたテラッチは、深い2コース困惑したのでしょう。思いきりタイミングを逸してコンマ56! 逆に開き直ってアウトに回った岩崎のスタートはコンマ03……もうメチャクチャです。進入の混乱が、そのままスリットにも反映したのです。
③1マーク/インの高橋もピン条件ですから決死のスタート(コンマ09)で先マイを狙います。が、すぐ内のテラッチが3艇身後ろ、3コースの渋田も遅れて2艇身ほど後ろでは、ダッシュ勢の思う壺。4カドの柳澤が内の凹みを利して、まくる勢いです。トップSの岩崎も襲い掛かります。が、そのときの高橋の迫力ときたら。
「まくれるもんなら、まくってみいぃぃぃ!!」
 みたいな風情で1マークをぶん回しました。この勢いに気圧されたように差しに構える柳澤。高橋の気合い一本の勝負駆けが決まった瞬間でした。
2006_0303_1_156 ④最終バック/今度はドカ遅れしたテラッチが火の車。6着では準優入りは絶望なのです。なんとか道中で追い上げようとしますが、コンマ56の借金はあまりに重くてなかなか差が縮まりません。最終1マークは死にもの狂いの差しで5番手・渡辺千草の内にへぱり付きます。もう、眉間に皺を寄せているテラッチの顔が見えるようでした。その鬼気迫る差しに動揺したのか、並ばれた渡辺は接触もしていないのに転覆……テラッチの執念が突風を巻き起こしたとしか思えません。
 こうして激動の1分48秒は終わるわけですが、ピットで出遅れて回りなおした岩崎、ドカ遅れから決死のターンで1点をもぎとったテラッチ、予選落ちでも果敢に攻めた柳澤、テラッチの猛追をなんとか食い止めようとして転覆した渡辺、2着を目指してガンガン攻め続けた渋田(4着)、そしてインから罵倒するような張り逃げで勝負駆けに成功した高橋……みんな必死でした。見ていて息が詰まるほど、必死でした。ポイント制の勝負駆けがあるから、競艇はたまらなく面白いのです。

 第2位は「やっぱ、アンタはすげぇぇぇよ!」と呆れて脱帽するしかないこの女性に。ホント、これだけの芸当ができる女子レーサーは、まずいないと思います!

6R、10R/至高のドルフィン2連発!!

2006_0303_10R_012  憲吾スペシャルか瀬戸内のドルフィンか。海野ゆかりが予選最終日にして最高のリズムに到達しました。
 まずは6レース、1着勝負駆けの田口節子が6号艇から捨て身の前付けに出たため、5号艇の海野は押し出されるように6コースへ。重い着さえ拾わなければ準優当確になる情況でしたが、さすがに生ぬるいオナゴではありません。スリット同体からハコまくり的に内に艇を寄せ、逃げる片岡と差す栢場のド真ん中を一瞬にして突き抜けておりました。
 なんとなく簡単に抜け出したように見えたのですが、スリット同体で6コースからのまくり差し。この大技を成功できるレーサーは少ないし、さらにあれほど簡単そうにやらかしてしまうのは、まさに濱野谷憲吾級ですわなぁ。
 などと、ほとほと感心していたら、今度は後半の10レース。2号艇だった海野は前付け鵜飼や地元の徳増にまたまた押し出されて4コースへ。今回こそお腹も一杯だし無理はしないか、と思いきや、逃げる鵜飼と差す細川の間に、またまたズバッと割って入りました。強い風で艇が一瞬浮き上がるほどのド迫力! さらには0・1秒ほど遅れてアウトの池千夏も海野の真横に切り込みます。こちらも艇が大きくバウンドして、もう凄まじい水しぶきです。
 2艇が同じ隙間にまくり差しっ!?
2006_0303_10R_002  こんな光景、はじめて見ました。たとえば4カドの選手が絞りまくって内がポッカリと開き、その広い隙間を5、6コースが通過する。それなら何度も目撃しています。が、海野と千夏は自力で狭い空間に狙いを定め、2艇して突っ込んでいったのです。そして、その2艇で1、2着……! 競艇の醍醐味である1マークの緊迫感と臨場感が、ぎっしりと詰め込まれたレースでした。
 1日にまくり差しで2連勝。これもそうそう見られるものではありません。予選前半は煮え切らないレースが続いていた海野ですが、もう心配はいりません。準優当確での艇が浮き上がるほどのまくり差し。完全に戦闘モードに入りましたね。明日はイン戦になりそうですが、この気迫なら同県の先輩・西島義則も真っ青の全速張り逃げで他を圧倒することでしょう。

 そして今日のベストパフォーマンス賞は、この方に。単なるパフォーマンスでは海野ゆかりの方が凄かったのですが、ひと味違う凄さがありました。レースそのものというより、この選手の持っている強運に捧げます。

12R/ついに出た、コンマ01秒の伝説!!

2006_0303_12R_020  横西奏恵が生死の境に踏み入って、優勝への「不思議なパスポート」を手にしました。12Rでインに居座った横西は、節間勝率ナンバー3。もはや準優は楽々の当確で、さほど無理をする必要はありません。もちろん、準優の1号艇は魅力ですが、大きなアクシデントをやらかせば6号艇の座さえ失われるのです。
 が、横西は行っちゃったんです。他のスロー艇よりもいちはやくスロットルを握り、スリットタイミングはコンマ01! フライングまで30センチほどでしょうか。
「早い、と思ったんですけど……(Fを)覚悟しました」
 と本人も観念するほどの際どいタッチS。1マークで大きくターンマークを外したのも、Fの判定が気が気でなかったためでした。が、本当にギリギリ紙一重で残していたのです。
 なぜお腹いっぱいなのに、そこまで? 他の艇に煽られて、仕方なく踏み込んだわけでもないのに……?
2006_0303_12R_030  実になんとも不思議なのですが、それが一流レーサーの性というものなのでしょう。それより何より重要なのは、コンマ01秒だけ残した横西の強運です。中野次郎もコンマ01秒で生き残った末に、新鋭王座を奪取しました。上瀧和則もコンマ01秒の予選を経験して、芦屋チャレンジカップを制しています。これは以前にも書いたことですが、上瀧は「あのコンマ01で自分に追い風が吹いたことがはっきりわかった」と述懐しています。
 コンマ01で生き残った幸運は、優勝戦での大きな味方になる。いえ、その選手を優勝させるために、勝利の女神がコンマ01だけ助けてあげたというべきでしょうか。単なるジンクスのようですが、勝負ごとの最後の決め手は運だと私は信じています。「コンマ01=優勝」という人知を超えた方程式が、今節もまた生まれたのではないでしょうか。
 2日後の最終レースで真っ先にゴールを通過するのは、横西奏恵である。
 世界一博才のない私ではありますが、胸を張ってこう予言しておきましょう。
(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO、TEXT/畠山)


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