この特集について
ボートレース特集 > 女子王座決定戦 準優ハイライト
この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
ライタープロフィール
カテゴリー
関連リンク
競艇サポーターズ
関連書籍

 ボートレース特集

女子王座決定戦 準優ハイライト

10レース 『焦り』 

①海野ゆかり
②谷川里江
③徳増宏美
④濱村美鹿子
⑤水口由紀
⑥栢場優子

2006_0304_10r_016やはり進入で誰も動く気配はない。そうなると、インで存在感を示しているのが海野だけに、ほかの選手たちは生半可なスタートでは彼女の逃げを封じることができない。誰がメイチで握って行くのか。一昨年、海野に女王の座を阻まれた谷川里江か? それともバンビターンの濱村美鹿子か?
 大時計が回り、白い航跡が水面に描かれる。全速で行ったのは他でもない海野自身だった。コンマ06の全速トップスタート。100分の6秒といえども、それはまったく不安を感じないスリット。後続に1艇身の差をつけて、さらに伸びていく。エンジンに死角がなく、腕も折り紙つき。この瞬間、1着は決まった。

2006_0304_10r_036 焦点は2着争い。レース前「差すのか、マクるのかどっちだ」といわれていた谷川も、海野に行かれてしまうと差しに構えるしかない。外から伸びてきている艇はない。海野と同様に、これまた安定感抜群の差しを決めて、順当に決まる……かと思われた。

 そのとき。赤いカポックが急に谷川の視界に入った。徳増がスピード感溢れるターンで外から飛んできていたのだ。その勢いは鋭い。が、2着に突き抜けるには少し足りない。ただ谷川にとってこのマクリはプレッシャーであった。心に生じた焦りからか、艇をバタつかせる。谷川は失速し、2番手に徳増が上がった。
 2マーク。今度はお返しとばかりに、谷川がツケマイを放つ。内からは水口も差してきている。GⅠ初優出が徳増の目の前にブラ下がっているというのに、追っ手は追撃をやめてくれない。このままでは2周1マークがもつれるのは必至。
 だが彼女は焦らなかった。徐々にインを締めていって、水口を外に持ち出させることに成功する。地味な技だが、これはファインプレー。2着を狙う谷川と水口がヤリ合う形になったのだ。最終マークまで谷川は諦めなかったが、徳増はなんとか2着を死守した。
 なぜ徳増は焦らなかったのか。それは地元の恩恵だけではないはずだ。21年間積み重ねた技と精神力、みなが見過ごしていた資質が、この大舞台でついに発揮されたからである。

11R 『安泰ガール』

①横西奏恵
②角ひとみ
③池千夏
④永井聖美
⑤五反田忍
⑥高橋淳美

2006_0304_11r_037 準優当確なのに、4日目にコンマ01のタッチスタートを切った、ギリギリガール・横西奏恵。伸るか反るかの挑戦で手に入れた宝物の1枠をフルに生かして、逃げる。コンマ15のスタートでも、今日はむしろ安泰ガール。彼女のエンジンは出ているし、2コースの角ひとみが早々と差しに構えてくれた。1マークを回ったとき、夢を〝かなえ〟るための階段を一歩上った。

2006_0304_11r_042  そしてこちらも2着争いが大激戦。ブンまくる永井聖美に、トップスタートを切った高橋淳美。ターンマークにキスするような差しを繰り出す角ひとみに、さらに隙間なんてほとんどない角ひとみの内を差してくる五反田忍。1マークでは都合4艇に2着の権利があった。
 デッドヒートから最初に脱落したのは五反田忍。さすがに角ひとみの内を突くのは無理があった。振り込んでしまって失速。
 残ったのは3艇。バック水面を内から②⑥④の3艇がビッシリと併走状態に。だが、その美しくも激しいランデブー航走は、2マークで終わりを告げる。思いっきり握って、内2艇を沈める強ツケマイを永井が繰り出し、2着に抜けだしたのだ。
 ピットでは女子高のようなホンワカムードが流れている女子王座戦だが、水面には激しい火花が散る。自分のため、家族のため、そしてファンのため、彼女たちは魂のレースを魅せてくれる。明日、彼女たちの学園祭は、フィナーレをむかえる。

12R 『焦点は〝はじまり〟にすぎない』

①日高逸子
②淺田千亜希
③定野久恵
④山川美由紀
⑤鵜飼菜穂子
⑥寺田千恵

2006_0304_12r_010  焦点は進入だった。女子王座3連覇の実績をもち、徹底的なイン戦でここまで戦ってきた旧・女王の鵜飼菜穂子。かたや昨年の女子王座クイーンで、獲得賞金・勝率・1着回数・優勝回数すべての部門で女子選手の頂点に君臨する日高逸子。鵜飼が沽券に賭けてインを奪取するのか、それとも現女王のプライドがインを守るのか。進入が淡白になりやすい女子戦で、ここまで進入に注目が集まるのも珍しい。
 ファンファーレが鳴り、6艇が解き放たれる。抜群のピット離れを見せたのは、日高でもなく、鵜飼でもなく、山川だ。しかしインを奪うまでには至らない。結局、鵜飼が超深イン覚悟で、大きく回りこんで進入は固まった。日高は2コース。この体制なら、おそらく日高がまくって、外から誰かが差してきて、レースは終わる。しかし焦点と思われていた進入は、レースの序章にすぎなかった。
2006_0304_12r_029  初日からコンマ13~23の普通のスタートだった鵜飼が、コンマ06の超抜スタート。あの起こしから、なぜそんなスタートが切れる。しかし現・女王は奇跡を具現化するコンマ01スタート。しかも2艇とも伸びている。まったくアジャストしていないのだ。
 1マーク。日高は差すかマクるか躊躇する。マクリを選択すると、鵜飼に張られるのは間違いない。ここは差ししかない。少しスピードを落として、差す体制を作る。
 現・女王の選択は正しかった。1マークを回ったところで先頭。開催前半なら、これで勝負があったはずだ。日高と鵜飼の間を、ズバッとまくり差してきた淺田千亜希が2番手にあがっているが、恐れるにたらない。

ただ初日2日目は平凡な足だった千亜希のエンジン。平凡な女の子が、いつか手の届かないカワイイ子に化けるように、彼女のエンジンは超抜の足に化けていたのだ。
 バックで女王・日高との差を詰め、2マークで差し。先頭が並の選手なら、ここで決まっていたが、日高はまだ先頭を譲らない。2周目ホームでギリギリと内に艇を寄せて抵抗する。しかし2周2マーク。千亜希が先マイを打って、勝負は終わった。千亜希は、現・女王を仕留め、新女王の座へ立候補したのだ。

(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/姫園淀仁)


| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (1)
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
浜名湖競艇第5日観戦 【競艇ブログ『あばれうち』】
浜名湖競艇第5日観戦記 続きを読む
受信: 2006/03/05 3:52:05
コメント