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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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変わらぬ空気――準優勝戦、前半のピット

Sany0621  準優勝戦の朝だというのに、昨日より気温が高く、冷たい風が吹き込んでこないということを除けば、予選道中と何も変わらない。これが、名人戦を戦う者たちの貫禄なのか。もちろん、まだまだ準優までは時間があるということもあるのだろうが、ベスト18戦士にしても、一般戦回りを強いられてしまった選手たちも、平常心で過ごしているように思える。
 たとえば、石川正美。予選の間も、鋭い目つきが目立っていたが、今日もまるで変わらぬ貌で調整に精を出す。その気合の立ち上り方は、決して準優に臨むからというわけではなく、それが石川にとっての当たり前の振舞い方のように思える。それほどまでに、自然体であり、決して作った気合ではない、ということだ。もちろん、カタくなったようなところは見当たらないから、見ているこちらとしてはただただ、唸るしかない。

Sany0623  昨日までとの違いがあるとするなら、準優の今日は報道陣が多いということだろうか。それほど広くはない尼崎のピット、にわかに人の気配が増えたような気がするのは確かである。取り囲まれるのは、やはり準優進出選手たちなのだが、ここでも彼らは何一つ変わることなく、作業にいそしむ。昨日は見事な勝負駆けを決めた池上哲二も、一斉に向けられたレンズなど気にすることなく、黙々とモーターを点検しているのだった。迫力すら感じさせるその風貌が、テレビカメラやら中尾氏のどでかいレンズやらを恐れるはずがなく、そして準優へのプレッシャーに怯むわけもない。年輪というものはこうも強いものなのかと、改めて畏敬の念を起こさせる名人たちのたたずまい、である。

Sany0645  何人もの名を連ねても仕方ないだろう。とにかく、ベスト18のすべてが自然体で午前中を過ごしているのだ。もう一人あげておくなら、平野勇志。ピットでは寡黙であるように見受けられるのだが、もちろん今日も同様である。仲間のボートを引き上げる際もほぼ無言。報道陣に写真撮影を頼まれても、無言でうなずく。男は黙って勝負! レースで見せる果敢なマクリは、こんな風情から生まれているのか。平野選手、渋いっす。

Sany0618  準優を外してしまった選手たちも、ピットでの姿はもちろん、勝負に賭ける思いもまた、昨日までとは変わらない。2R、原由樹夫は3周2マークで1艇身ほど前を走っていた吉田稔の内に激しく突っ込み、大競り。原自身は消波装置に激突するほど流れてしまった。一般戦だろうと何だろうと、1つでも前を走りたい! これは3等争いだったのだから、彼らはどんなときでも魂の荒ぶりを止められないのだ。レース後、ボート交換を強いられることになった原は、なぜか報道陣に囲まれるなか作業をすることに。「うわっ、ギャラリー多くて、恥ずかしいなあ」とバツが悪そうにニッコリ。実際は、たまたまそこに報道陣が固まっていただけなんですけどね。ともかく、原選手、その作業は勝負にこだわったプロフェッショナルの証としてのものです。まったく恥じることはありません!

Sany0642   2Rでついに初日が出た立山一馬。初日から徐々に成績を上げていって、やっと先頭ゴールをゲットした。ピットでは人懐こそうな、また人の良さそうな穏やかさを見せているが、勝利をあげた今日も、やはりほんわかムードであります。そして、ゴキゲンな様子でもあります。ピットに現われた大阪の先輩・長嶺豊さんに声をかけられて、さらにニコーッ。なんだか、見ているこちらも幸せな気分になりますな。引き続き頑張れ、立山選手!

Sany0655  惜しいところで準優を外してしまった古谷猛もまた、非常に人の良さそうな雰囲気がある。場内実況でも「ジェントル・レーサー」と呼んでいたが、そうそう、まさにそんな感じ、と頷いてしまった。逃げ切った3R後は、足早にボートに戻ってきて、ペラを外す。まだまだ戦いは終わってないですから。爽やかにそう語り出しそうなムードで、後半レースへの準備に向かっていった。勝負駆け失敗の鬱憤はしっかり晴らしてください。後半も、期待してます!

Sany0662  さて、準優進出を決めて実に嬉しく、思わずホッとしてしまったほど気になる大西英一。早い時間帯は比較的ゆったりと過ごしていたようだが、4Rが始まる10分ほど前、ペラを持って整備室に消えていった。おそらく、整備室内にあるペラ室で調整をするのだろう。もちろん、表情に変化はなく、4Rで加藤峻二のボート引き上げに出てきた際には、金井秀夫らに大きく通る声で話しかけてもいた。準優は6号艇だから、プレッシャーとは無縁のはず。一発決めて、まだまだ僕を楽しませてください!(TEXT&PHOTO=黒須田守)


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