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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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準優戦回顧

10レース 『やるべきことを』

2006_0422_5_1_032 ①石川 正美(愛知)
②西  和則(佐賀)
③小林 昌敏(山口)
④井川 正人(長崎)
⑤平野 勇志(愛知)
⑥池上 哲二(広島)

 進入は4対2の枠なり。今シリーズ安定した成績を残している1号艇の石川は、1コースに陣取った。出足と回り足が良好なエンジンなので、インはまったく申し分がない。ただ、一点だけ不安要素があった。スタートである。
 初日がコンマ35と23、2日目がコンマ27、3日目にもコンマ22。石川はスタートタイミングが合っていなかったのだ。それに対して、2号艇の西は5走すべてがコンマ09~19の間に納まっており、5号艇の平野もコンマ10~19の範囲内。少しでも遅れれば、外から一気に飲み込まれる。
 大時計が回りボートが加速していく。アウト2艇が勢いよく伸びるが、それよりもイイのは2コースの②西。スタート勘バッチリだった男が、コンマ02のスタートを決めた。
 だが石川も負けていない。コンマ06のスタートで、西についていく。結局、1マークを最初に回ったのは石川。キッチリと逃げ切って、優出を果たした。
「やるべきときに、やれる男」
 名人になるための必須条件だ。選手生活27年で、優勝54回を誇る石川だが、尼崎での優勝経験はない。
 あすも石川は、やるべきことをこなす。尼崎初優勝と名人の称号を受け取るため。

2006_0422_5_1_064  抜群のスタートを切った②西だったが、石川をまくれるだけの体勢にはなかった。しかも1マークで少しだけ流れてしまう。それを見逃さないかのように、ターンマークギリギリを差したのが3号艇の小林だ。
 デビュー5年目で制した85年の徳山「中国地区選手権」が、小林にとって最初で最後のGⅠタイトル。
 あすも小林は、渾身のハンドルさばきを魅せてくれる。「最初で最後の」の文字を取るために。

 お化けモーター16号機を引き、優勝にもっとも近いと思われていた西は4着に敗れた。SG・GⅠの優出がない経験の浅さが、メンタル面に影響したのかもしれない。しかし(私が生まれる前から走っている選手にいうのは失礼なのだが)西はまだ若い。49歳というのは名人戦メンバーから考えれば若いし、予選道中をすべて3コースから外で攻めていたように、レース内容も若々しい。また必ずチャンスは巡ってくるはずだ。
 小林が回ったさらに内――ほとんど隙間がないような場所へ、池上が艇を入れようとする。抜ければ2着の可能性もある。失敗すればターンマークに接触して転覆は必至。池上の選択は……裏目にでてしまった。
 勝った選手からも、負けた選手からも、闘志は溢れていた。無難な表現だが、本当にそうなのだから仕方がない。そしてその闘志は、11Rにも引き継がれ、死闘になる。

 

11レース『死闘』

2006_0422_5_1_126①金井 秀夫(群馬)
②村上 信二(岡山)
③松野 京吾(山口)
④柾田 敏行(東京)
⑤林  貢 (岡山)
⑥岡  孝 (徳島)

 3コースに入った6号艇の岡が少しヘコんだが、他の5艇はコンマ10~14で並んだ。そうなると、もう金井の逃げはゆるぎない。1マークを回ると、独走態勢。そのままゆうゆうと逃げ切り、優出の切符を手に入れた。
 レース後の勝利者インタビュー。
「よく出てくれた」
 とエンジンに感謝したあと、金井はボソッとにいった。
「いままでの優出で一番うれしい」
 14歳の女の子がいったのではない。1966年デビューから40年間にわたって水面を走り続け、優出回数299回を記録する、61歳の金井の言葉である。重みがある。
 あす、金井は300回目の優勝戦に挑む。〝いままで一番うれしい〟優勝を飾るために。

2006_0422_5_1_101  2着争いは大混戦になった。1周目のバック水面で、内から4号艇の柾田、6号艇の岡、3号艇の松野が併走状態。3艇の中から抜け出したのは、柾田だ。エースモーター27号機が唸りを上げると、2マーク手前で岡に1艇身の差をつける。次のターンで勝負を決めるために、柾田は艇を外に振る。
「あっ!」
 スタンドから悲鳴があがった。4号艇が宙を舞い、青いカポックは水面に投げ出された。柾田の艇の後方が、岡の艇の前方に接触したのだろう。右大腿部頚部骨折、全治30日以上の重傷。選手生活27年目にして、はじめてのGⅠ優出が眼前にあったというのに……。無情にもそれは、柾田の掌からこぼれ落ちた。
 さらに2マークでは、6号艇の岡が2号艇と接触。その間隙を突いて、3号艇の松野が死闘に終止符を打った。ワーストモーターを自分の腕でカバーした松野が、ギリギリで優出を決めたのだ。
 エンジンが出ていない松野にとって、明日も厳しい闘いになるだろう。ただ逆説的にいうと、厳しい闘いを制すからこそ、名人たりえるのだ。
 ドリーム戦で1号艇の優勝候補は緑のカポックを着て、あすもまた死闘に臨む。

 

12R『ホッとしました』

2006_0422_5_1_186 ① 水野  要(兵庫)
② 河合 良夫(愛知)
③ 万谷  章(岡山)
④ 桑原 淳一(東京)
⑤ 山内 直人(福岡)
⑥ 大西 英一(東京)

 ディフェンディングチャンピオン。地元水面。予選トップ通過。1号艇。圧倒的1番人気。幾重ものプレッシャーが襲ってくるポジションにいるはずなのに、水野の表情はいたって冷静だった。
 4号艇の桑原と5号艇の山内が回りこんでくる進入。体勢は145/23/6。水野は1コースに入ったが、90mくらいの起こしになった。
 それでも水野は焦らなかった。トップスタートを決めたのだ。4コースから伸びる②河合が、内の艇を飲み込もうとするが、水野は素早く先マイを打つ。河合は外へ流れていった。
 ポッカリ空いた場所に入った3号艇の万谷が、一気に突き抜ける。水野は2番手追走。しかし内から4号艇の桑原が差を詰めてくる。逆転まではないだろうが、2マークでもつれればわからない。
 そのときだった。水野の顔が、左後方を向く。獲物を見るように、④桑原の動きを観察している。
「桑原は握って回る」と判断したのだろう。水野は差しのハンドルを入れた。③万谷と④桑原がヤリ合う形になって、2マークで逆転に成功した。
「ホッとしました」
 勝利者インタビューで優勝戦について語る水野。私の目からは冷静にみえたが、やはりプレッシャーは感じていたのだろう。
 あす、水野は名人の称号に挑む者たち阻む。地元のファンを安心させるために。

 2着に入ったのは、年齢を感じさせない「まくり」で観衆を沸かせた万谷。登録番号1710、年齢62歳、出走回数1万145回。
幾万の谷を乗り越えてきた男があす、悲願のGⅠ初勝利に王手をかける。

(PHOTO・中尾茂幸 TEXT・姫園淀仁)


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