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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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魂たち――4日目、前半のピット

 勝負駆けの朝は、意外にも静けさが漂っていた。レースが始まってからはなおさらで、選手の賑わいを見られるのは出走選手のボート引き上げ時くらい、という感じである。ペラ室も、相変わらずの盛況ぶりとはいえ、昨日までと比べれば空間が見受けられるような気がする。整備室にいたっては、ほとんど人影が見当たらず、装着場にもわずかな選手の姿が確認できるくらいだ。もうやるべきことはやった。あとはレースに専念するのみ。そんな心境に至っているということだろうか。ともかく、ゆっくりゆっくりと時が流れる、前半のピットである。

2006_0620_01_048   1レースから条件駆けだった選手が出走していて、すでに結果が出た者もいる。3Rを1着で乗り切った田中信一郎は、やはり顔が明るい。普段も堂々とした振る舞いの男ではあるが、心なしか胸をぐいっと張って歩いているように見えた。JLCの準優進出インタビューを早々と受けていたが、そこでもジョークが飛び出すなど、心は軽い。このところのSGでは、彼らしい存在感を発揮し切れていなかっただけに、この予選突破は何かを吹っ切れさせてくれたのかもしれない。なんだか、こちらも嬉しくなってしまったぞ。

2006_0622_01_114  一方、同じレースで大敗を喫してしまった安田政彦は、肩を落としているように見えた。もともと飄々とした風情の男だけに、振る舞いからは心の内を読み取りづらいが、しかしややうつむき加減の背中が、浮揚した心を表わしているわけがない。田中信一郎とは、まさに明暗、である。今日は2回乗りで、後半戦を控えて、もうひと準備を施してはいたが、しばらくは悔恨に身を委ねる時間があっても仕方がないだろう。スイッチを切り替えて、後半も頑張れ!

2006_0621_01_395 派手な走りを見せていたわけではないのに、気がつけば予選3位の森竜也。きっちりと着をまとめる戦いぶりは、技巧派の本領発揮といったところだ。2走6点という勝負駆けは、4Rの2着で早々とクリアした格好。さぞかし、気分もよろしかろう……と思いきや、ピットに引き上げてきた森はむしろ、渋面を作っていた。4Rは1号艇、今節未勝利とあらば、なんとしてでも先頭ゴールを決めたかったのだろう。準優がシリーズにおける目標であることは当然としても、勝負師としてはやはり勝利こそが心を癒す薬なのだ。見かけは優男と見えるが(取材班・M記者は「モリタツは男前です!」と力説してます)、森の胸の奥のほうでファイターの炎がたしかにたぎっている。

Cimg0404  2Rを1着、見事に勝負駆けを成功させた池田浩二は、レース後、延々とボートのハンドルを点検していた。こういう姿を見ると、予選突破は最初の大きな目標でありつつも、単なる通過点でもあるのだな、と思わされる。準優に乗れるからといって、仕事は終わったわけではないし、満足もできない。当たり前のことではあるが、激烈な勝負駆けを目の当たりにしていると、自分が明日のことをついつい、頭の隅に追いやっていることに気づくのだ。すでに準優へのスイッチを入れている池田に、思わず頭が下がった。
 その池田に歩み寄ったのは、同期の佐々木康幸。地元SGながら、不本意な成績に終わりそうな現状でも、同期のことはやはり気になる。目をキュイッと細めて池田に声をかけて、しばしの会談。地元勢にとっても、同期勢にとっても、佐々木が心の支えになることがあるのかもしれない。

2006_0621_01_053  午後に向けて、昂ぶっているように見えたのが西島義則だ。7Rと11Rの出走となるが、基本的には控室で過ごしている様子。ボート引き上げに出てくるときにしか、迫力十分の姿を見かけることはできないが、その際の西島は気合満点である。とにかく、歩様がめちゃくちゃ力強い。そして、歩幅も大きく、ズンズンと歩いている感じだ。その地響きが、やや離れたこちらにも伝わってきそうな勢いで、西島は地面を踏みしめる。間違いなく、魂の完全武装に成功した、ということだ。そんな西島は、文句なしにカッコいいっす。これが男だ、という気がするな。

2006_0621_01_095  さて、記者席で我々の世話をしてくれているユッキーも応援している、気になる山崎智也。「7Rは4-1!(智也-山本浩次)諭吉勝負しなさい!」と強要されている私ですが、うむ、今朝の智也はそんな気にさせてくれる、いい雰囲気。今日も顔を合わせると、会釈してくれるのが嬉しい限り。そして、その表情は昨日に引き続き、澄み切っているのであります。JLC解説者の松田雅文さんに声をかけられると、最高の笑顔を見せていて、状態はサイコー!のはずである。まずは7R、ユッキーの見立てどおりに、ピンで決めてくれるだろうか。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田=池田&佐々木 TEXT/黒須田守)


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