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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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優勝戦回顧

Img_0365_1 ①坪井 康晴
②辻  栄蔵
③森  竜也
④山崎 智也
⑤烏野 賢太
⑥向所 浩二

 垂直に。力強く。ゴールを通過したと同時に、坪井の拳が天高く突き上がった。SG初優出、地元選手の唯一の生き残り、1号艇、圧倒的1番人気……。心の中に澱のように溜まっていた重い物を、一気に吐き出すかのように。
 坪井はたったひとりで戦った。支えてくれる仲間はいたが、水面ではひとりだった。SG初優出初優勝を、坪井は成し遂げた。
 地元の英雄誕生の瞬間を、観衆は大歓声で讃える。それに応えるよう坪井は拳を上げる。また観衆が声をあげる――。ガッツポーズの力強さと、歓声の大きさは、グルーヴしながらどんどん大きくなっていく。坪井とスタンドが一体となった。

Vs3i0054_2前日12レースを逃げ切ったあとから、坪井には無形のプレッシャーがかかっていたはずだ。さらに優勝戦のスタート展示では、コメントどおりに烏野が動く。山崎もスローの5コースを選択する。スローに入った4人は、坪井にワンミスがあれば襲い掛かる腹づもりだ。坪井はさらなる憂いを抱え、本番に挑むこととなった。
 長い長い締め切りベルが鳴り終わり、スタンドに一瞬の静寂が訪れる。眼前で動いているのは、水面を打つ雨だけ。そこに6色の艇が放たれる。
 坪井はしっかりしたピット離れで、インの死守に成功する。烏野は展示どおりスロー4コースに入り、展示でスロー5コースを選択していた山崎が5カドを選択。グラチャン決勝の進入は1235/46で固まった。
 インの坪井は、さほど深い進入ではない。しかし、さほど深い進入ではないのにスタートミスをしてしまうのが、SGの恐ろしさだ。どうなるか? みな固唾を呑んで見守る。 アウトの向所が勢いよく加速する。山崎もそれについていく。内4艇は似たようなタイミングで艇を起こす。残り85m、45m、5m、スリット。

Photo_9  艇が横一線に並んだ。いや。正しくは2号艇の辻が外の4艇より、4分の1艇身ほど。さらに1号艇が辻より6分の1艇身ほど抜けていた。プレッシャーを振り払うように、全速スタートを決めた。乾坤一擲のコンマ03。これじゃ、プレッシャーも追いつくことができない。
 坪井が勢いのままに伸びていく。1コースから、超抜エンジンが全速トップスタートを決めたのだ。ターンマークさえ外さなければ、間違いなく勝てる。同じく好調機の山崎智也が追いすがってくる。

「ん……んっ」
 ピットにいた、静岡勢は息を呑んだ。
「あぁぁ……」
 記者席にいた数人はため息を漏らした。
「え……」
 対岸から1マークの写真を狙っていた、Iカメラマンは一瞬戸惑った。

 
Photo_10  坪井が大きくターンマークを外したのだ。まくりから、差しに切り替えた、山崎も大きくブイを外す。大きな差し場が、ポッカリ口を開いている。
「肝心かなめのところで、坪井はプレッシャーに負けた」
 本来ならこのような原稿になるはずだった……のだが、ほかの4選手もターンマークを外したのだ。レース前、ひときわ坪井のプレッシャーに関する話が語られていたが、じつは他の5選手にも、大なり小なりプレッシャーがあったのではないだろうか。それが1マークにあらわれたのではないだろうか。
 失敗をリカバーするため、思いっきり体重を移動させ、サイドをかける坪井。すぐに艇は立ち直り、内の山崎、最内を突いた向所を置き去りにする。
 2周1マーク。失敗から復活を遂げた坪井は、こんどは完璧なターンを決めた。第16代グランドチャンピオンが決まった。

Photo_11  スターの資質。それは『勝つべきときに、勝てること』だ。今日の優勝戦は、坪井にとって掛け値なしの『勝つべきとき』だった。
 資質を備えていることは、きょう証明された。次のSG、若松オージャンC、グラチャン優勝で権利を取ったMB記念、そして賞金王決定戦。資質だけでなく、正真正銘のスターであることを証明してくくれるのは、どのSGになるのだろうか。

(PHOTO/1・2枚目 山田慎二 3~4枚目池上一摩 TEXT/姫園淀仁) 


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コメント

二重TBやらかしてしまい申し訳御座いませんでした。


近江びわこを制した坪井なら遠江浜名湖でもやってくれると思いました。
今回はFに泣きましたが、同期の菊地孝平も次は得意水面の若松SGなので坪井と切磋琢磨して共に競艇界を盛り上げて欲しいですね。

投稿者: ラリーズクラブ (2006/06/25 23:42:19)
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