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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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それぞれの笑み――優勝戦、前半のピット

1r0010801_1 優勝戦の朝にしては珍しく、優出選手全員が熱心に作業に励んでいる姿が見かけられた。
 公開インタビューのあとにピットに行くと、まず目についたのが重野哲之だ。
 装着場でボートの各所をチェックしていたところだが、多くのカメラマンたちに囲まれていたため、その表情は少し硬いようにも思われた。だ が、取材の声をかけられると、作業の手は止めないままに丁寧に回答していた。そして、満面の笑みを浮かべているところも見かけられたのだから、一人で水面を見つめていることが多かった昨日とは、雰囲気がちょっと違う。
 朝のインタビューでは「エンジンは600点」とも答えていたが、やるだけのことはやって、午後になってから静かな時間を過ごすことになるのかもしれない。昨日と同様に、この後に水面を見つめているような姿が見かけられたなら、600点以上のモーターと精神状態でレースを迎えられることだろう。

2r0010789_1   筆者がピットに着いたときからずっと、ペラ小屋に閉じこもって、ペラと向かい合っていたのは魚谷智之である。
 こちらには背中を向けていたかたちだったので、その表情や作業の様子はわからなかったものの、とにかく作業時間は長かった。ボートの引き上げに出てくるとき以外は、ずっとペラ小屋にいたままだったのだ。それでも、ボートの引き上げで吉川元浩と一緒になったときなどは、顔をくしゃくしゃとゆるめて、しばらく談笑していた。とにかく笑顔がよく似合う男である。

 相手の吉川も、公開インタビュー直後からずっと作業をしていた一人だった。インタビューでは「やることは全部やります」と答えていただけのことはある。
 ギアケースを外しての整備などをしていたあとに2R後には早くも水面に出て行き、試運転を行なった。ちょうど他の選手は出ていない時間帯だったので、水面を独占するかたちでスタート勘などを確かめていた。そして、引き上げてくると、すぐにプロペラを外してペラ小屋に向かったのだから、今日は一日、とことん作業を続けるものと予想される。

3r0010822  松井は1R後にちょっとプロペラを叩いていたあと、装着場でボートの各所をチェック。取材の声をかけられたときには、やはり重野同様、笑顔を弾けさせていた。
「今日は暑い?」などと記者に尋ねていたりしていた松井だが、そのいでたちはTシャツ一枚である。そして、その背中に書かれている文字は「やるしかないねん」。
 今日の優勝戦では、人気を集める立場にある松井は、まさにそうした気持ちでレースを迎えるのだろう。

 坪井康晴は、2R後にボートごと整備室に引き入れて、モーターを熱心に磨いていた。
 また、優出メンバーのなかでは、公開インタビュー後の動き出しがもっとも遅かった中村有裕も、3R前に整備室に行って、モーターの整備を開始していた。
 この二人にしても、なかなかいいムードを醸し出していたのはいうまでもない。

4r0010812  優出メンバー以外で目に付いたのは、田村隆信と植木通彦だ。
 田村は装着場の隅のペラ作業場で、とにかく真摯な表情でペラと向き合っていた。ボートにはペラが付いたままだったので、昨日の失格にもめげずに、その目はしっかり明日に向けられているのだろう。
 植木もまた、かなり長い時間、ペラ小屋に閉じこもっていた。2R後には日高逸子のボートの引き上げを手伝っていたが、それが済むと駆け足でペラ小屋に戻っていったのには驚かされた。優勝戦進出はかなわなかったといっても、今日の特別選抜A戦では地元のスターとしての意地とプライドを見せてくれるに違いない。
(TEXT&PHOTO/内池久貴)


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