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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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気合、闘志――2日目、前半のピット

2006_1024_01_145  3R。一時は2番手を走っていた淺田千亜希が、道中逆転されて、5番手にまで下がってしまった。ピットに戻ってきた淺田の表情は、明らかに苛立っていた。それはそうだろう。順位を4つも下げてしまって、穏やかでいられるわけがない。淺田の表情はひたすら硬く、目つきは厳しかった。
 ボートを片付けながら、白井英治と何かを話し合っていたが、カポックを脱いだ後も白井のもとに駆け寄って、何かを訴えるように話し続ける。そこにそーっと近寄ったのは長嶺豊さん。長嶺師匠が優しく励ますと、淺田はようやく笑顔を取り戻した。
 その数分後、出走選手控室のモニターに見入る姿があった。そこに、長嶺師匠が全力疾走でやって来る。二人は並んでモニターを見ながら、まるで反省会を開いてでもいるかのように、会話を重ねていた。長嶺さんがもろもろアドバイスしているようにも見えた。
Cimg1500 「僕はね、淺田選手とか横西選手は、いつSG勝ってもおかしくない力があると思ってる。だから、アドバイスをするんやね。彼女たちは、そういう話を理解することができるから」
 あとで長嶺さんが、そう言っていた。実力はもちろん、僕は淺田の姿勢に対して、「彼女はSGでも互角に戦える人だ」と思っていた。長嶺さんと話すとき、淺田の瞳は美しく輝いていた。ギラギラとも表現できるし、キラキラとも言えるし、ともかくあまりにも綺麗で真剣な瞳だったのだ。額から流れる玉のような汗をぬぐおうともせず、長嶺さんの話に瞳を向ける淺田は、SG戦士にふさわしいたたずまいをたたえていた。淺田の豪快なレースを、SGでもっともっと、見たくなった。

2006_1023__015  ぼけーっと突っ立っていると、後ろに選手の気配を感じた。振り向くと、菊地孝平。菊地も一見、ぼけーっと突っ立っているような感じだったが、そうではなく、一点を見つめてじっと思索にふけっているのだった。「おはようございます」と声をかけると、菊地はさっと笑顔になって「おはようございまっす!」。すぐに好青年の菊地が現われる。精神集中をしているようにも見えたので、僕は会釈をしてその場を離れたのだが、ふと振りかって見ると、菊地は再び何かに思いをめぐらせているのだった。強者のたたずまいだと思った。

2006_1023__459  またまたぼけーっと突っ立っていると、うわ、目の前に上瀧和則が現われた。近くで見ると、実にド迫力。僕はまるで軍隊の上官に出会ったかのように、「おはようございますっ」と最敬礼で頭を下げた。すると上瀧は、僕の目を見ながら「うぃっす!」と会釈を返した。男っぽい迫力とは、こういうことを言うのだろうと思った。そして、わけもなく感激してしまったのだった。
 基本的に、今節の上瀧は緊張と弛緩がバランスよく同居しているという感じがする。一人でいるときには、迫力ある顔つきで気合を溜めているように見える。そして、他の選手といるときには、笑顔を見ることが多い。今日も、山﨑昭生、深川真二、池田浩二あたりとにこやかに談笑していた。成績はなかなか思ったようには上がっていかないが、精神状態は悪くないように思える。今日は5R1回乗り、明日はさらに一段上の気合で、追撃を開始するだろう。

2006_1024_01_345  ちょっとした野暮用で、前検日に会話を交わす機会をもった作間章。礼儀正しい好青年で、真っ直ぐな眼差しをもった、きわめて真面目な男だと思った。顔つきは黙っているとなかなか迫力があるが、実際にしゃべってみると、穏やかな口調と柔らかい笑顔をもっている人でもあった。
 4R頃、装着場で彼の姿を見つけたので、近寄って一昨日のお礼をした。すると、作間の顔つきには明らかに気合が注入されていた。僕の姿を認めても、しばらくは闘魂モードを保ったままで、笑顔モードになったのは少し時間が経ってからだったのだ。昨日、森高一真の似たような一面を書いたが、勝負師とはこういうものだろう。戦いの場で、彼らはそれぞれに魂を荒ぶらせながら時間を過ごす。そんなヤツらの戦いだからこそ、競艇は面白い。

2006_1024_01_247  さて、風が緩くなろうが強く吹こうが気になる山崎智也。今日も昨日と同様に気合満点。3Rで勝った原田幸哉を祝福する姿も見かけた。6号艇での出走となる今日、果たして片目を開くことができるだろうか。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田守)


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