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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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今日のベストパフォーマンス・初日

 風速6~10mの向かい風と博多湾から押し寄せる波が作る、福岡特有の巨大なうねり。選手にとっては大きな壁のように見えたかも知れません。特にイン選手はターンしにくそうで、万シューが8本も出るという大荒れの初日になりましたね。まあ傍観する側としては、まくり6本、まくり差し3本というダイナミックなレースが続いて、大いに楽しませてもらったわけですが。
 第3位は、そんな凄まじいうねりに巻き込まれた悲運のレーサーに捧げます。

7R/泣くな俊介、明日があるさ!

2006_1024_01_159  見せ場たっぷりのレースが続いた中で、6着に敗れた選手を取り上げる。実に恐縮千万なのですが、この選手のことだけは書かせてくださいまし。
 7レースの守田俊介は、昨日の前検からまるで気配が違いました。SGで40%を超えるモーターを引いたのは、何年ぶりのことか。整備下手で有名な俊介は、いつも足合わせからボコボコにやられることが多いのに、池田浩二とタメで競り合っていたのですよ。
 いや、単に機力だけの問題じゃないんです。気力が違うんです。
「ユーユーのMB記念は心の底から嬉しかったし祝福もしたけど、ウイニングランを見てたら『嗚呼、ええもんなんやな~』ってしみじみ思いました。ユーユーからペラを教わって(笑)、ボクももうちょっと頑張りますよ」
 先月、電話取材でこう話していた俊介。その言葉通りの気迫が、試運転から感じられて私は小躍りしたものです。まだ競艇の記事を書く前から、「ストーカーかよ」と馬鹿にされるほど俊介を追っかけ続けて10年。ついに、「その時」が来たのだ!! と私は確信したのです。
2006_1024_01_216  で、7Rの展示タイムは他艇と遜色のない6秒62。これまた驚きの数値です。俊介はいつも、0・1秒くらいは他艇より遅れますから。もちろん、私は全財産のほとんどを③の頭決め撃ちでブチ込みました。
 スリット。4コースの俊介はトップSからス~~~ッと伸びました。こんなにスリットから伸びる俊介を見たのは、6年ほど前の常滑周年の優勝戦以来です(+0・01秒のFでしたが……)。もう、こうなりゃ簡単なハコまくりですわ。内の3艇を楽々と飲み込んで、後はバックで突き抜けるだけです。温泉気分の私は、颯爽とまくる俊介を見ながら<ダービージャケットを羽織る俊介→黄金のヘルメットをかぶる俊介>まで思い浮かべていたものです。
 が、1マークのうねりが、私の妄想を一瞬にして吹き飛ばしました。本当に、私には俊介の周りだけいきなり2m級の渦潮になったように見えたのです。艇が浮き上がり、転覆を必死に防ぐ俊介……なんとか身体を踏ん張って艇を立て直したときには、他の5艇ははるか前方を駆けておりました。幻の一撃ハコまくり。10点のはずのポイントが、1点に。でもって私の財布もジャラ銭だけに……。
 で、でも今節の俊介はこのまま終わりはしませんぞ。モーターは上位級で気持ちも西島級(言いすぎですかね、はい)となれば、SGをいつ勝ってもおかしくない天才なんですから。2日目は4号艇の1回走り。明日こそ、持ち前の電撃スタートから一気にまくりきってしまうはず。そう信じて、私も今晩から資金集めに奔走します。
 諦めるな俊介、お前はダービーを獲れる逸材なのだよ!!!!!

 はい、すいません、つい興奮してしまいました。続いて第2位は、皇帝・智也と王者・松井を子ども扱いした44歳の「安芸の闘将」に贈りましょう。

12R/本番5日前のガッツポーズ!

2006_1023__259  見事なまくりでした。ドリーム戦の西島義則。今日はまくりが6本(&俊介の「幻のまくり」ね)も決まっているので、もう観衆も目が慣れていたことでしょう。
 それでも、このまくりは凄まじいものでした。なんたって相手が智也と松井ですから。2コースの松井がやや凹んだとはいえ、インの智也と3コースの西島はまったくの同体でした。智也は外からの攻撃を牽制してあえてターンマークを外し、開き気味にターンしようとしましたね。西島には、機敏にまくり差しに入る選択もあったはずなのです。
 が、一瞬の迷いもなかった。松井の艇を擦るようにしてツケマイで沈めた西島は、そのまま全速で智也の大外をぶん回しました。
「あそこで半端に動くとダメ。思いきって行きました」
 冷静な判断で大胆な行動。将たる者の資質を十二分に兼ね備えた45歳は、一気に独走態勢を築いておりました。
 それにしても、いったい何歳までこの驚嘆すべき闘魂は続くのでしょうか。3年前の夏、私はB1級に降格した西島をこの福岡で目撃しています。一般戦で当然のように前付けに出た西島は、そのたび外の艇にまくられていました。B級の選手にも叩かれていたのです。その悲惨な姿を見て、「西島、終わっちゃったのかな…」などと思ったものでした。今、この場で西島には謝罪しなければいけませんね。終わる人じゃないんです。終わらない歌を歌い続ける人なんです。
「レース前に山室が『1等取ったらガッツポーズしろ』って言うんで、やっちゃいました。もう二度とないでしょうね」
 が、初日のガッツポーズは、西島にとっては最終日の予行演習たったかも知れません。
「今回はちょっと気合いが入ってるんで、応援してください!」
 勝利者インタビューの最後に西島はこう言いましたが、このセリフ、もうSGでは3回ほど連続で言ってるはずです。気合いの入っていない西島義則が存在するなら、1度だけでも拝んでみたいものですな~。
 あ、このレースではもうひとつの素晴らしい見せ場がありましたね。2周のホーム、内の智也と外のユーユーが競り合うようにして1マークに向かいました。そのすぐ後方には王者・松井が控えています。うねりがある上に、2艇がやり合っている。松井としては、絶好の差し場を期待したことでしょう。
 ところが智也は競り合いながらも、ターンマークを1ミリたりとも外さずに「松井を差させない」超絶モンキーを繰り出したのです。当然隙間が開くものと想定していた松井は、驚いたように失速して艇を外に持ち出しました。なぜ、あのうねりで、なぜ、あの2着争いで、あんなターンができるのか……それは、山崎智也だから。そういうことなんでしょう。私はただただ唸ることしかできませんでした。

 さて、栄えあるベスト・パフォーマンス賞は、水面だけでなく番外でも“絶口調”ぶりを披露した45歳に授けるとしましょう。

11R/「ダービー」は俺のもんじゃい!!

2006_1024_01_089  今日の11レースには「全日本選手権覇者」という隠れタイトルが付いておりました。過去にダービージャケットを羽織った6選手が集結して、確かに「裏ドリーム戦」とも思えるほどの豪華&接戦カード。参加選手にしてみれば、光栄とは思いつつも「なんでこんなキッツイ面子と戦わなきゃならんじゃ~!」と番組さんを恨んだかもしれません。
 で、このレースを4コースからひとまくりして、「ダービー・オブ・ダービー」に輝いたのが、山室展弘でした。ここ1年半ほど一般戦回りで徹底的に弱い者イジメ(失礼!でも、本当に泣く子も黙るほどの強さでしたな)をしてきたヤンチャな中年レーサーが、等身大の力をSGで見せつけたのです。
 そして、迎えた勝利者インタビュー。記者席では10レースまで何人かの記者がのんびりとインタビューを眺めている程度だったのですが、このときばかりは黒山の人だかり。みんな山室の無口さと毒舌に苦しんできたはずなのに、目を爛々と輝かせています。もちろん、期待を裏切るような山室ではありませぬ。
――1マーク、思いきって行きましたが、このあたりは?
「無事故完走、それだけです」
――朝から凄いうねりでしたが。
「練習してないんで、わかりません。他の選手はつらそうだったね。可愛そうだった」
――あの、朝からいろいろ調整しているように見受けられましたが……(このあたりからインタビュアーの声が震えはじめる)
「してました。整備が好きですから」
――山室選手を応援しているファンもたくさんいます。
「いや、期待されると、やる気をなくする方なんで」
――最後にひとこと、お願いします。
「はあ、無事故完走だけで、いっぱいいっぱいです」
 嗚呼、なんと可愛そうなインタビュアー。手のひらにじっとりと脂汗をにじませていたかもしれません。私なら逃げ出してますって。モニターの前では爆笑、また爆笑でしたけどね。
2006_1024_01_100  山室展弘、45歳。不思議な男です。無愛想で鉄面皮に見える山室の口調には、どこか人間味溢れるユーモアが感じられるのですよ。マスコミやファンに対して非協力的だと批判する人もいるようですが、心の底からは憎めない。憎めないどころか「ホントはものすごく優しいんだろうな~」と思わせる、不思議な魅力を感じるのは私だけではないはずです。
 今日の6選手の中で、SGを1度しか獲っていないのは山室だけでした。唯一のSGがダービー。今日の「ダービー・オブ・ダービー競走」を勝った勢いで、そのまま優勝戦まで突っ走ってもらいたい。そして「ダービー男」として表彰台に立った山室の優勝インタビューを聞いてみたい。インタビュアーに同情しつつ、私はステージの下で笑い転げていることでしょう。(Photo/中尾茂幸、Text/畠山)


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