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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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穏やかなゴング――初日、前半のピット

Cimg1744  レースをすると、特に2着以下のボートには水が入る。ターン時の絡み合いで水しぶきを受けるからだ。ピットに引き上げてくると、この水をまず取り去らなければならない。2回乗りの後半レースを控えている場合は、大型の掃除機でギュイギュイと吸い取る。その日のすべてのレースを終えた場合は、ボートをひっくり返して水をぶちまける。で、ひっくり返し方は場によって違って、選手や職員が協力し合って、いっせのせでひっくり返すこともあれば、重機を使ってひっくり返すこともある。ここ丸亀は後者、ひっくり返し用の重機が導入されている。
Cimg1745  ところが、他の場とはちょっと違う点がある。他の重機導入場の場合、ピットの片隅に設置されていて、そこにボートを運んでいってセッティング、ぐるんとひっくり返すのだが、丸亀の場合はなんと重機自体が自走できるのだ。3R終了後、装着場で選手たちの様子を眺めていると、向こうから重機登場! おぉぉ! 思わずのけぞった僕である。ボートのところまで辿り着くと、アームでがしっと挟んでクルリンパ! ボートからは水がどひゃーっと勢いよくぶちまけられたのだった。うーん、文明の利器(大げさか)。
 ……えーっと、運命の決戦・チャレンジカップの初日の初っ端から何を書いているのでしょうか、って感じですが、これがまた何と言うか、ピットは意外にも穏やか~な空気に包まれているのである。

Cimg1732  秋晴れに恵まれて、気温も上昇。陽射しが気持ちよく直撃するピットは、そこにいるだけで爽快である。気候が穏やか、なのだ。いや、本当に気持ちいいんですよ、これが。そんななか、選手たちが忙しそうに動いているのは通常の初日と変わらないけれども、そこには“勝負駆け”という雰囲気は希薄だ。想像していた激烈なムードは、それほど感じられないのである。去年のチャレンジカップはもう少しピリピリしていたような気もしていたのだが、もしかしたらそれは記憶違い(というか、日を追うごとに、ということだったか)かなあと思ってしまうような秋晴れのピット。うむ、こんな開戦も悪くはないな。

Cimg1743  とはいっても、もちろんどの選手も初日の慌しさからは逃れられない。試運転用ピットは満艇状態、レースの合間には先を争うように水面に飛び出していく。吉田徳夫など、試運転用ピットで10分以上も回転数を確かめていたりもした。ペラ室も、もちろん満員御礼。姿のある選手をいちいち挙げていたら、30名ほどになってしまいそうだ。
 整備室にも、何人かの選手が作業をしている。松井繁はギアケースを調整。辻栄蔵、上瀧和則も同様だ。松井は厳しさも感じる顔つきだが、辻と上瀧は比較的余裕が感じられる。その斜め後ろでは……今垣光太郎! 出た、整備の鬼! エンジンを開いて、懸命な表情で調整をしている今垣、最近のSGではあまり見られなかった姿が、そこにはあった。光ちゃん、本気モードだ!

Cimg1747 地位が人を作る、という。その伝でいえば、魚谷智之に感じる風格は、やはりダービーチャンプの称号がもたらしたものなのだろう。ま、こちらの視線も変わってきてるんでしょうけどね。大きな定規をもって、モーターの取り付け状態をはかっている魚谷は、貫禄十分。この人も、賞金王当確だからといって、緩めることなどないんだろうなあ、と感心して見入ってしまった。勢いに乗って、ここでも大仕事を果たすかも、と思わされる何かがあるぞ。

Cimg1734 「おはようございます!」
 ハツラツとした声で、後ろから挨拶をされた。ん? 若手選手かな……と思ったら、うががっ! 金子良昭選手じゃありませんか! ベテランに声をかけられてたじろいだ僕は、必要以上にデカい声で、「お、おはようございますっ!」と最敬礼。金子の横顔がキラリと輝いた。秋の陽を反射したのかな。
 今年絶好調の金子は、その面差しは風格タップリで、そして精悍。彫りも深くて、それはそれはナイスミドルなのであります。そのうえ、こちらが挨拶をすると、実に快活に返してくれる好人物。菊地孝平の師匠としても知られていますが、そういえば、菊地も非常に気持ちのいい好青年。この師匠にしてこの弟子あり、ということだろう。今日は金子選手のほうから声をかけられて、ほんとに恐縮でした。優勝条件となる今回の勝負駆けですが、応援していますぞ!

Cimg1741   さて、今日の気になる選手は服部幸男。3R出走前は、いつもの哲学的な表情で気合充実と感じさせられたが、6コースから勝利を決めたレース後は、出迎えた坪井康晴や重野哲之とニッコリ笑い合って、その笑顔が渋い! 実に渋い! カッコええなあ。その後も坪井と長いこと会話を交わして、時に坪井が大声で笑ったりもしていた。6号艇をピンでクリアしたのだから、気分よく予選を戦えそう。一発逆転、服部幸男にそのサブタイトルを現実化してもらいたいと思わされる次第であります。(PHOTO&TEXT/黒須田守)


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