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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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緩めない男たち――新鋭王座、4日目前半のピット

 なんだか天気がハッキリとしない。H記者が前半の予想をアップしたときは無風だったのに、1Rが始まる頃には強い追い風が吹いて、雨まで降ってくる始末。ピットまではそれほど遠くないので、ダッシュで向かう。水滴を払って一息ついていると、3R出走5分前くらいには太陽が顔を覗かせたりする。勝負駆けの日だというのに、選手たちにとっては調整が難しい、天候の変化である。気温は昨日とはそうは違わないが、湿度が上がっている今日。特に条件勝負のある選手たちには忙しい一日になりそうである。

2007_0125__517  勝負駆けが関係ない選手だって、忙しい。予選1位の出畑孝典が、ペラ室にこもって、懸命の調整を続けていた。準優はもちろん当確、しかし緩めるつもりは毛頭ない。ペラと対峙する視線には、なお勝利を熱望する気合がうかがえている。太陽が顔を出したときには、いったんペラ小屋から出て、日光にペラを透かしていた。これは、実はよく見かける光景で、ペラの反り具合や形状、滑らかさなどを、光を当てることによって確認する動作だ。とはいえ、外に出てこれをやっていたのは、今日のところは出畑だけだった。その視線もまた、ペラ小屋の中と変わらない、鋭いものだった。

2007_0125__561 昨日、中尾カメラマンのカメラを使ってレースを撮影した山崎哲司は、その中尾氏と談笑していた。いいなあ……と羨ましがってる場合ではありませんが、近づいて「すっかり仲良しですね」と声をかけると、「だって、師匠ですから」と山崎。中尾氏、山崎のカメラの師匠に就任!……って、何をしているんでしょうか、まったく。しばし談笑していると、一段落ついたところで山崎が立ち上がった。ん、どうした?
「そろそろ、行ってきまーす」
 中尾氏によると、一カ所だけ気になるところが残っているんだそうだ。そこをどう調整しようか、あるいはそのままレースに行ってみるのか、思案している。リラックスしているようで、山崎もまた緩めるつもりはこれっぽっちもないのだ。今日は12R1回乗り。時間はたっぷりあるだけに、納得いくまで考え込むのだろう。ふと水面を見ると、さっそく試運転で感触を確かめていた山崎。12Rは6号艇といえども、侮れない。

2007_0124_08r_019  1Rで痛恨のフライング……石橋道友である。コンマ01の勇み足。6号艇から前付けの3コース、そしてメイチのスタート。フライングとはいえ、地元ビッグに懸ける思いは十分に伝わってきた。彼にとっても、大村競艇場にとっても、あまりに痛いスリットオーバーではあるが、勝負を懸けて渾身の走りをした結果は、責めるべきではないと個人的には思う。むしろ、石橋のガッツに敬意を表したいくらいである。
 レース直後は、さすがに表情を硬くしていた石橋だが、4R前くらいにすれ違った際、挨拶を交わすと、むしろスッキリした表情だったのが印象的だった。悔いのない勝負をした。結果はともかく、やるだけやった。そんな清々しさを感じたのは、気のせいだったか。うつむく必要はない。この経験は糧になる。今後の石橋が楽しみになってきた。

2007_0124_05r_032  3Rの2着で後半に望みをつないだ益田啓司。7Rは好枠だけに、さらに気合が入るところだろう。レース後、ヘルメットを脱ぎかけて、頭にちょこんと止めたままで整備室へ。さすがに安堵感が見えたぞ。もちろん、勝負はまだまだこれから。安心してはいられない。それでも、まるで風呂上りに深呼吸をするかのような、ホッとしたような姿は、益田だけにいい表情と見える。普段は比較的ひょうひょうとして、穏やかで人の良さそうな表情をほとんど崩さない益田なのだ。こうした、結果やレースを終えたことへの一喜一憂が珍しい。だからこそ、益田のいい顔を見て、小さく唸ったりしている僕なのである。

Cimg2342  さて、昨日の水神祭、間に合わなくてごめんなさい。大峯豊だ。装着作業をしている大峯に、「昨日はおめでとうございます」と声をかけると、照れ臭そうに顔がクシャクシャになった。「最高でした!」と声を弾ませた大峯は、さらに「(足はいいだけに)まだまだ楽しみですよね」と力強い宣言。いやあ、大峯、いいっすね。背も高いし、すでにお子さんもいるそうだし、印象はカッコいい大人なのだが、実際にしゃべってみると、若者らしいかわいらしさも感じたぞ。水神祭を見損なったのは、ほんと、痛恨だ……。その大峯、今日は朝から丁寧に丁寧に、時間をかけてモーター装着をしていた。相棒への愛情を込めて、戦いの前準備に励む大峯からは、ひとつ上の舞台に臨む気後れなど、少しも感じなかった。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田=大峯 TEXT/黒須田)


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