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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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和やかに――新鋭王座、初日後半のピット

 SGのピットとあまり違わないぞ、と書いた前半ピット記事。しかし、後半のピットに足を踏み入れ、選手の様子を眺めていると、やっぱりSGとは違う若々しさ、そして和やかな空気を感じずにはいられなかった。先輩後輩の礼儀は厳然としてあるものの、やはり世代の近い者同士、話しやすいのは間違いないだろう。競艇学校時代はもちろん、新鋭リーグなどでも、同じ時間を長く過ごしてきたのだ。そうした者たちの集合体が、どこかほのぼのするのは当然のことかもしれない。
Cimg2138  大村のピットには、アリーナのような水面際のレース観戦地帯がある。ここには、2マークの攻防を撮影しようとカメラマンも集まっているが、ベンチに腰掛けているのはやはり選手たち。たしかにここはレースが非常に見やすく(これまで訪れたピットの中でも屈指ですね)、僕もその後方からひそやかにレースを眺めているわけですが、選手たちの様子をこっそり後ろから撮影したのが右の写真であります。あっ、峰竜太にこっち見てるじゃないか。撮ったときには、まったく気づきませんでした。

Cimg2167  和やかといえば、やはり1着を獲った選手の周辺は、笑顔ばかりが溢れている。10R、吉永則雄が2コースから差して今節初勝利。出迎えた近畿勢は、声をあげて笑っていた。吉田俊彦や君島秀三を中心に、ボート片付けを手伝っている間もみなニッコニコ。吉永も、ヘルメットの奥で目をキュキューっと細めていた。思わず、こちらも頬が緩んだ。
2007_0123_02_176  一方、同じレースで2着は大峯豊。エース24号機、そして1号艇。水神祭の絶好のチャンスだったわけだが、吉永に捌かれてしまった。ちょっと悔しい初陣だったわけだが……あらら、大峯も笑顔です。多少の苦笑いも含みつつ、それでも肩を落とすことなく、仲間と笑い合う。吉永に駆け寄って挨拶をするときも笑顔。手応えを得ることができたのか、あるいは無事1走目を終えられたことにホッとしたのか。ともかく、明るく輝く顔を見ていると、今後も着実に得点を重ねられそうな雰囲気に思えた。機力は文句なし、なんだし。

2007_0123_02_060  レース直後は見られなかったのだが、印象に残ったのが8Rをカドマクリで勝った市橋卓士。前半3Rは転覆、最悪の出だしとなってしまったものを、見事にリカバーした走りだったわけだが……これが、けっこう淡々としているのだ。もっともっと興奮が伝わってきてもよさそうなのに、クールに目元だけで微笑んでいる市橋。僕が目撃できなかったピット帰還直後には、仲間とともに沸き立っていたのかもしれないけど、それほど時間も経っていないのに、すでに平静を手に入れているのだから、その落ち着きは尊敬に値する。こういう選手が、混戦になったときに怖いぞ。追いかける価値はありそうだ。

2007_0123_01_003  気合充実は、出畑孝典だ。身長170cmと大柄な彼の、その身体を気合という名のガソリンで満たしている、といった感じ。軽快であり、同時に重厚。笑顔と、次の瞬間のキリッとした目つき。メンタルは完全に仕上がっていると見たぞ。11Rを差しで制して、初日は2着1着の絶好発進。そりゃ気分が悪かろうはずがないが、それにしても伝わってくるものがあるのは間違いない。最後の新鋭王座、デバッチが一気に突っ走るかもしれないから、要注目だ!

Cimg2164  装着場でツーショット、岡崎恭裕と全モ連・生水(しょうず、と読みます)氏だ。生水氏は広報担当で、いつも我々が取材時などでお世話になっている方。そして、広報に異動する前は、やまと競艇学校で教官を務めており、そうです、岡崎は教え子なのです。全モ連の職員は、入会と同時に競艇学校に送られて、選手候補生たちとともに1年間の研修期間を過ごすのだが、その間には操縦課業もこなし、研修を終えると今度は学校の教官になったりするんですね。全モ連の職員のほとんどが教官を経験しているんですよ。僕は、これって素晴らしいシステムだと思っている。競艇を運営する人たちが、教え子たる選手に思い入れを持ち、選手と競艇全体に愛情を注ぐ。単に“仕事だから”というだけで競艇に関わる、といったことがありえない業界なのだ。公営競技では、唯一無二の特徴と言えるでしょう。こういうところも、競艇の好きな部分なんだよなあ。ご存知の方も多いでしょうが、競艇学校の訓練は、それはそれは厳しい。生水教官もビッシビシと岡崎をしごいてきたわけです。そこに愛情があったから、こうして絆も生まれる。ピットなどで再会すると、お互い本当に嬉しそうにしているのであります。ほんと、いいなあ、と思いますね。「岡崎? まだまだですよぉ」なんて教官が照れているのも含めて、ね。

2007_0123_01_290  さて、最後に残念なことを書かねばならない。中村亮太が10Rで転覆、負傷により途中帰郷となってしまった。前半2R後、モーターはかなり上昇していたらしく、10R直前には明るい笑顔を見せていたのだが……。悔しすぎる新鋭王座の終幕となってしまったが、リベンジの機会は他のGⅠ、そしてSGにとっておこう。後ろを振り向くな。早くケガを治して水面に帰ってきてくれ。そして、亮太スペシャル旋風を巻き起こすのだ!(PHOTO/中尾茂幸=大峯、市橋、出畑、亮太 その他=黒須田 TEXT/黒須田守)


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