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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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戦士たちの勇気に乾杯!――新鋭王座、4日目後半のピット

2007_0126_02_133  突如、突風が吹き荒れた。12R直前のことだ。記録を見てみると、風速10m、波高9cm。しかしピットで感じた風の強さはそんなものじゃなかったし、水面の荒れ方はハンパじゃなかった。発走を遅らせたことで、少し風は収まったように思えたが、しかしほとんど想定もしていなかった荒れ水面に、12R出走選手だけではなく、すでにレースを終えた選手たちも、心穏やかではいられないようだった。
2007_0126_02_136  最初はアリーナ席にまで出てレースを観戦しようとしていた選手たちが、風とともに降り始めた雨を避けるように、競技棟の軒下に避難する。どの選手も、「本当に、この状況でレースをやるのか?」と口々に話し、その付近は一気にざわついた感じになった。今日一日、晴れたり降ったり、風が吹いたり止んだり、とにかく天気は落ち着かなかった。勝負駆けの日だというのに、天候が選手たちを悩ませ続けたのだ。そんな空の神様が、最後に見せた顔が「大荒れの天候」。ふと見ると、対岸の仕切りの向こうで荒れ狂っている波が、仕切りにぶつかっては破裂して、レース場側の水面にしぶきを撒き散らしていた。
Cimg2357  エンジン始動の合図がかかった。選手たちが「おぉぉぉぉっ!」と声をあげる。やるんだ。この天候のなかでやるんだ! そんな感じの雄叫び。少しだけ落ち着いた風、雨もいつの間にか止んでいる。選手たちは再びアリーナ席に殺到する。心なしか、さっきよりも選手の数が増えていて、柵沿いは鈴なりの状態だ。こんな天候の中で、どんなレースになるのかという興味。仲間が無事にレースを終えてほしいという祈り。両方の思いを抱いた選手たちが、かぶりつきでレースを観戦しようとしていたわけだ。
2007_0126_02_141  ピットアウト。この水面に飛び出していった、三井所尊春、大峯豊、濱崎直矢、東本勝利、江夏満、山崎哲司の勇気を、まずは称えよう。「かわいそうに……」。僕の隣で見ていた佐藤正子さんが呟く。「だって、怖いですよ、これは……」。正子さんは、完全に選手たちのお母さんの顔になって、彼らの身を心配していた。
 スタート。激しい風に、気になるのはやはりスタート事故である。誰かが、「早い!」と声をあげた。実際は、大峯と濱崎がコンマ10のトップスタート。1艇身より出ているけれども、危険なほど早かったわけではない。選手たちは、それを早いと感じてしまうくらい、心配をしていたということだろう。スタート正常の表示がついたのは、1マークに近づいてからのことだが、かすかに聞こえてくるレース実況がそれほど慌てた雰囲気でなかったことを、選手たちも感じて、まずは安堵を覚えたはずである。
2007_0126_12r_016  1マーク。さあ、問題はここからだ。風は、バックからホームへ向かっての強風。1マークは風に突っ込んでいく形になるわけだ。舳先が煽られる可能性があるから、ヘタをすれば大事故になる。「ゆっくり、ゆっくり……」、呟いていたのは正子さんだったか、それとも僕自身だったか。レースにおいて、ゆっくりターンしてほしいなどと願うことはありえないのだが、このときばかりはさすがにそんな心境になっていた。もういちど、選手たちを称えよう。彼らはただ順走したわけではない。三井所尊春はしっかり逃げ、大峯はきっちり差し、他の選手も展開を見極めて走った。もちろん、100%のターンではなかったはずだが、しっかりとレースを作り上げたことは、拍手に値する。実際、6艇が無事に1マークを乗り切ったとき、選手たちは歓声をあげていた。
2007_0126_12r_034  2マーク。ここも大変だ。1マークとは反対に、今度は風に押されてターンをしていく形となる2マーク。サイドのかかり次第では、大きく流れてしまう危険性をはらんでいる。その魔にはまりかけたのが山崎と東本。山崎のボートは大きくジャンプ! 一方、風に大きく運ばれた東本の航跡は、明らかに消波装置に向かっていた。つまり、アリーナ席に突っ込んでくるような形となっていたのだ。しかし、そこからぐっとサイドをかけて、東本は必死にハンドルを切った。消波装置ギリギリ。そう、まさにギリギリのところを(すなわち、アリーナ席ギリギリのところを)、東本は鮮やかな引き波を残して、凌ぎ切っていったのである。その瞬間、アリーナ席は一斉に大歓声、大拍手。そして、安堵感が巻き起こった。
 その東本は、2周目バックで転覆。その瞬間、緊張感が走る。救助艇の上で、東本は普通に座っているから、それほど心配はなさそうだったが(結局、ほぼ無傷。ピットに戻ってきて、みなが駆け寄ったが、本人はむしろ照れ臭そうに「大丈夫」と言っていた)、それでもしばらくは、何とも言えないどよめきが漂っていた。その後、5艇は無事に波を乗り切って、ゴール。誰もが、溜め息をついた。
「見ているだけで、疲れるわ」
 誰かが、冗談っぽく言った。誰も反応はしなかったけれども、きっと心の中でうなずいていたに違いない。もちろん、僕もだ。もしかしたら、こんなに集中して水面を見ていたのは初めてではないだろうか。そんなふうに思うくらい、厳しい厳しいレースは終わったのだった。
2007_0126_02_149  勝った三井所も、負けた他の選手も、転覆してしまった東本も、ナイスファイト! 濱崎以外は準優にも残ったぞ。この悪条件を凌いだ5人には、運がついたのだと思いたい。この水面に比べれば、多少の風や波はどうってことないはずだしね。とにかく、みなケガもなく、良かった! ご苦労様!

2007_0126_02_117  今日はもう、12Rがすべてって感じになってしまったので、あとは駆け足でいかせていただきます。整備室を覗いたら、出畑孝典、石橋道友、山崎哲司が何か話し込んでいた。おっと、87期軍団じゃないですか。そのすぐ横、2~3m離れたところには、山本修一、幸田智裕、市橋卓士が同じように話しこんでいる。おっと、こちらは86期軍団。ともに、新鋭卒業期である。このなかからは、出畑、山崎、山本が準優進出。その激励だったのか、それとも調整の方向性の伝授だったのか。今回は「同期の桜」最強決定戦の企画をお送りしているが、やはり同期の絆は強い。86期も87期も、この空気を味わえるのはあと2日! 全員が悔いなき戦いをしてほしい。

2007_0126_02_095  一方、最若手の3人、岡崎恭裕、古賀繁輝、峰竜太が、仲良く並んで歩いていた。向かうはペラ小屋。どうやら、新兵の仕事である掃除をしに行ったようだった。その次には、整備室内で整理整頓中の3人を発見。いやあ、若々しくて、ハツラツとしています。一人、装着場内の鉄屑拾いに出てきた古賀と話した。
「今節は、落ち着いて過ごすことができて、それがよかったですね。準優には出られたので、あとはアタマだけです。まあ、いいとこ(準優、優勝戦)で獲れれば(笑)。足は悪くないので、頑張りますよ!」
 予選を終えてもまったくテンパってないのは、好材料。というより、準優に乗ることができて、ひとまずホッと一息といったところだろうか。
2007_0126_01_097  そう、古賀も、岡崎も、峰も、見事に予選突破! 後半は着を落としてしまった岡崎も、堅実に上位着順を獲ってきた峰も、とにもかくにも関門を超えた。おめでとう。今節をかき回し、盛り上げるのはやはり君たち。準優も若々しく、激しいレースを期待しているぞ!
2007_0126_02_017  あと、宣伝! アリーナあたりをぶらぶらしてから装着場に戻ると、長嶺豊さん、山本泰照さん、そして古賀&峰が何か話し込んでいた。そして、長嶺さんが何か僕のほうを指差して、みながこちらを振り向く。ん? ん? ぼ、僕? な、何でしょう? 近づくと、古賀があるものを差し出した。えっ、く、く、くれるの? こんなレアなお宝を! すなわち、そのとあるものをBOATBoyの読者プレゼントにしたら、と長嶺さんが二人に進言してくれて、古賀も峰もそれはいいとばかりに、僕に手渡してくれたのであります。これ、すごいよ!2007_0126_01_119  二人のサインが入ったもので、峰のサインの横には、「これ、僕が書いたんですよ!」と嬉しそうに教えてくれた峰竜太・作のドラえもんのイラストも! Nifty読者の皆様には大変申し訳ないのですが、BOATBoyの読者プレゼントにということなので、詳しくは3月9日発売予定の4月号をご覧ください。よろしく!(PHOTO/中尾茂幸 黒須田=アリーナ TEXT/黒須田守)


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『しげ爺の新鋭王座決定戦予想』 2007/01/27 【しげ爺の競艇予想】
管理人のしげ爺じゃ。 当ブログは、『人気brogランキング』  『にほんブログ村』 に参加してるぞ。 読者の皆さんの協力が必要なので、下記画像のリンク先をポチっと頼むぞ。 わしの予想で楽しめた方は、是非ポチっと・・・ 新鋭王座決定戦。難しいのう。... 続きを読む
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