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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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不動――優勝戦前半のピット

B1img_0026 1R前にピットに行くと、作業をしている選手の姿は少なかった。ペラ小屋には、峰竜太、古賀繁輝ら9人ほどの選手がいたが、優出メンバーは見当たらない。

 最初に見かけたのは、記者と笑って話しながら歩いてきた出畑孝典だ。「リラックスできていそうですね」と声を掛けてみると、「そうですね」とニッコリ。「今日の整備はどうですか?」とも確認してみたが、「このまま行きます」と、迷いもなく答えてくれている。
 その直後にボートのもとへ行き、比較的、長い間、ボートやモーターを見ていたが、基本的にこれは確認作業に近いものだったと想像される。おそらく検査のためなのだろう。

B2r0012324  1Rが始まろうとする頃、レースが見やすいピットの“アリーナ”へと行くと、エースモーターを駆る大峯豊の姿を見かけた。
 こちらも今日の作業の予定を訊いてみると、「なんもしないです」との回答。人見知りをするような朴訥な印象もあるのだが、実に礼儀正しく、話してみても、本当に気持ちのいい選手である。
 この大峯は2R頃からペラ小屋での作業をしていた。これについては迷いのためとも取れなくはないのだが、気温に合わせた微調整の可能性が高いだろう。
 午後の天気がどうなるかは微妙なところだが、今朝の大村は好天で、昨日に比べればだいぶ暖かくなっているので、こうした作業はほとんどの選手が行なうことになるものと考えられる。

B3r0012330  レースが始まるとともに、やはりアリーナに出てきたのは三井所尊春である。
 こちらは、「あっ、また、前付けいったあ!」(1Rの5号艇・島田一生のこと)と笑いながら、実にリラックスした様子でレースを観戦していた。その後も片付け作業を手伝いながら、「おつかれっした!」と大きな声で島田に声を掛けている。
 実をいうと、今朝、ピットに着いた段階で、優出メンバーのなかでは三井所のモーターだけが外されていて、整備室の片隅にぽつんと置かれていたので、どこかを触るつもりなのかと確認してみたが、「何もしません。もう少しで(ボートに)載せます」と答えてくれている。
 その後、ペラ小屋に行ったので、やはり調整をするのかとも思われたが、峰のペラを見て何かのアドバイスをしたあとは、自分の道具を片付けて引き上げていた。場合によってはこの後の動きもあるかもしれないが、現段階では微調整をする気もないのだろう。
 今朝の三井所は、峰のほかにも、稲田浩二などにもアドバイスしていたが(この後、稲田は4Rで水神祭勝利を挙げている)、優勝戦が近づいている緊張感はまるで感じられない。そんな「不動ぶり」が、なんともいい感じなのである。

B4img_0138  1Rの片付けの際には、江夏満も顔を見せていた。パッと見た感じでは、少し表情が硬い気もしたのだが、江夏の場合は、レース後の「出っ歯付き笑顔」の印象が強すぎて、なんとも判断しにくいところがある。
 片付けのあと、しばらく姿が見えないと思っていたが、2R頃には、整備室の奥にあるプロペラ加工室で作業をしている様子が見かけられてる。
 ペラ小屋と違い、こちらは「削り」などの作業をする場所なので、優出メンバーのなかでは、この江夏がもっとも動きを見せていた選手といえるだろう。

B5img_0115  2Rのアリーナでは石野貴之が見かけられた。こちらは長野壮志郎や赤坂俊輔と話しながらの観戦だった。今回の優出メンバーのなかでは、唯一人のGⅠ優出経験者であるだけに、その様子はやはり、かなりリラックスしているものと見受けられた。
 このリポートをUPするため、お昼前にピットをあとにするまでの間では、石野の姿を見たのはこのときだけだった。昨日は一日、モーターと格闘していたこともあり、こちらの「不動ぶり」も実に印象的だ。
 昨日の格闘によって「正解」は出せているのだから、あとは“レースを待つばかり”に近い状態になっているのだろう。

B6img_0150  2R後、片付け作業のために出てきたのが、最後に姿を確認できた山本修一だった。出走表を手にして歩いているときには、少し表情が硬いかとも思われたが、仲間たちの輪に加わり、作業を始めると、“普段着の表情”になっていた。
 片付け作業のあと、山本は自分のボートのもとへ行き、エンジン回りを見ていたが、これについてを確認してみると、「検査のため」のもので、「いじるわけじゃないです」とのことだったので、山本もまた、朝の段階では不動組の一人といえるだろう。
 この優勝戦では、6選手のモーターがかなり高い段階で競り合う状態になっているということは、昨日の後半戦リポートでも書いていたが、やはりそれは間違いないようだ。1Rが近づいていた頃などには、ピットにペラ小屋から洩れてくるカンカンカンという音しか聞こえないような静寂の時間もできていたが、あとは静かに優勝戦を待つようなムードになってきている。

 ……なお、昨日の準優勝戦で痛恨のフライングを切ってしまった古賀繁輝には、「立ち直れましたか?」と確認してみた。「大丈夫です」と答えながらも、「やっぱりへこみました」と顔をしかめた。それでも古賀は、「また来年、出られるように頑張ります」と言葉を締めてくれている。
 若者たちのドラマの終幕は近づいているが……、彼らの戦いに終わりなどはない。卒業組も、もちろんそれは変わらないことである。
(PHOTO/山田愼二+内池=2枚目・3枚目 TEXT/内池久貴)


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