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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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若者たちの顔――新鋭王座、2日目後半のピット

Cimg2271  12R、イケメン選抜戦。整列! 日本を代表する6人のイケメンが、ナンバーワンを懸けて激突する。これが、競艇界が誇るイケメン6人だ!……って、ヘルメットかぶってるから、顔がわかりませんね。君島秀三は柱の陰になっちゃったし。
 などとバカなことをやっている場合ではない。イケメン選抜戦は、点増しのない予選扱い。企画レースとしてスポットは当たっているけれども、戦う6人にとってはどうでもいいことなのだ。こうして戦いが近づいてくれば、イケメンがどうとかは彼らの頭にはない。この整列のシーンも、いたって日常的な、それでいて緊張感の漂うものだった。思わず、こちらの背筋もシャキンと伸びるかのような。

Cimg2282  それでもやっぱり、外野は注目しちゃう、イケメン選抜戦。インから圧勝の石野貴之がピットに戻ってくると、出迎えた濱崎誠や吉永則雄らが「よっ、イケメン!」とからかっていた。いやいや、もちろん祝福していたことには違いないけれども、それでもからかいたくなりますわなあ。石野もヘルメットの奥で、照れ臭そうに笑っていたが、とにもかくにも、いつもの勝利とは一味違う喜びになったのは間違いないだろう。ワタクシは、生まれてこの方、一度もイケメンなどと呼ばれたことはないから、どういう気持ちになるのかはまーーーったくわかりませんが、でも悪い気はしないだろうなあ、と想像する次第。ということで、中尾カメラマン撮影の「日本一のイケメンレーサー」石野貴之の写真を……とも思いましたが、なんだか妬みが生まれてまいりましたので、私の撮影した写真を掲載します。ま、私のヘタクソな写真でも、イケメンはイケメンですよね。とにかくおめでとうございます。21代新鋭チャンプも目指してくださいね。

2007_0123_01_235 イケメン選抜戦に選ばれなくたって、痺れるような顔を見せる選手はたくさんいる。たとえば、10Rの古賀繁輝。1号艇での登場は、水神祭の絶好のチャンスだった。いや、そんな儀式は置いとくとしても、一節に一度しかめぐってこない、勝利への最大の近道である。しかし古賀は、その好機をモノにすることができなかった。2着とはいえ、笑うことなどできるはずがなかっただろう。
 古賀がピットに戻ってくると、ヘルメットの奥には鈍い光が浮かんでいた。吊り上がっているようにも見えるその目が、レース後だというのにギラギラしているのだ。歓喜があれば、キラキラと鋭い光を放っていたはずだ。しかし、悔恨の光はギラギラと輝く。彼自身が言葉を発したところは確認できなかったが、その目が「チックショー!」と絶叫していた。同期でライバルと意識する岡崎恭裕は、すでに2勝をあげて、日増しに注目が高まっている。一方の古賀は、いまだ白星をあげられていない。3・2・2着で、2日目を終えて予選7位でも、まったく納得していないはずだ。明日、その目が何を語るのか、もっとも楽しみな顔は、古賀繁輝の顔である。

2007_0123_02_115   その古賀が、10R後に駆け寄ったのは、やはり三井所尊春のもとだった。同じレースで3号艇に乗っていた先輩に、古賀は「やっちゃいました……」とでも言いたげな苦笑を浮かべて、近づいていったのだ。三井所も、それに応えて苦笑を見せる。こちらは4着、スリットで少し凹んでいたこともあり、自身も苦々しさを胸の内に残す結果に終わってしまっていた。それでも、むしろ後輩に気を配るかのように、優しい苦笑いを向けてみせた三井所の顔は、男っぽいとしか表現できないような、慈愛に満ちていた。先日の唐津53周年記念の記事で、内池が「佐賀軍団の結束力」を強調していたが、ステージが大村に変わっても、結束力にはいささかの揺るぎもない。それをまとめ上げているのが、たとえば三井所のような存在であることは間違いないだろう。6人で大村に乗り込んだ佐賀軍団、今節もそのチームワークには注目しなければならないのかもしれない。

2007_0123_02_161   どうにも消化不良の成績、機力ながら、決してめげた顔を見せないのが、毒島誠である。今日の後半は長いこと整備室にこもって、整備士さんに相談をしながら、モーターと格闘していた。とは言いながら、まるで悲愴感はない。何も心配することはない、必ずパワーは上向くと信じ込んでいるかのように、淡々と作業をしているのだ。整備士さんとの会話では、笑顔さえ見えたりする。装着場の隅でボーッと突っ立っていると、いったん手を休めてボートリフトのほうに向かおうとしていた毒島が、彼のほうから「お疲れ様です!」などと声をかけてきて、恐縮してしまったりするのだが、そのときの顔つきはひたすら優しく、ひたすら穏やか。さっきまで整備に頭を悩ませていた本人とは思えないほどである。実際にどこまで立て直してくるかはともかく、この大舞台における平常心は驚異。その顔に、明日は輝きが降り注ぐだろうか。

2007_0123_01_129  孤高と言うと、言いすぎだろうか。一人でいるところをよく見かけるのは、山崎哲司。もちろん同期などとの絡みもしょっちゅう目にはするが、闘志のパラメータが振り切れたかのような顔の山崎を目にするとき、彼は一人で水面際にたたずんでいたりするのである。ピットでの彼は、顔つきにそれほど変化が見られないのが印象的で、おそらく静かに闘志を燃やすタイプなのだと思う。ただ、ほんのちょっとの変化なのだが、目にギュギュっと力がこもる瞬間が、たしかにあるのである。まさにレース直前だったり、装着場でプロペラをモーターにつけるためにしゃがみ込んだときだったり、そんな山崎に気づく場面はさまざまだが、その瞬間の彼は一人での時間に浸っているように見えるのだ。気づけば、オール2連対で予選2位。シリーズの中心に躍り出ている。明日からも目が離せない一人である。

2007_0123_01_203  開会式で、妙に歯の出た北島三郎を演じ、ひょうきんな顔を見せた江夏満。ピットでも、イメージはそうは変わらず、そんなわけはないのだが、いつも笑っているような印象がある。まあ、親しみのある顔ではありますよね。その江夏が、12Rの始まる直前まで、ペラ室や装着場を忙しそうに行き来していた。その顔は、頬が引き締まり、精悍というほかなかった。11R1回乗りは3着、悪くない予選前半のはずだが、かといってレース後の時間を無駄に過ごすわけにはいかない。時間はあまり残されていないこともあっただろう。決して慌てたふうではなかったが、キビキビと小気味よく動いていたのである。レーサーとしての江夏の本質は、きっとコレなんだろうな、と思った。いい顔だった。

 予選も折り返し点を過ぎた。若者たちは明日から、どんな顔を見せてくれるだろうか。(PHOTO/中尾茂幸=古賀、三井所、毒島、山崎、江夏 その他は黒須田 TEXT=黒須田守)


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