この特集について
ボートレース特集 > とことん!――準優勝戦後半のピット
この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
ライタープロフィール
カテゴリー
関連リンク
競艇サポーターズ
関連書籍

 ボートレース特集

とことん!――準優勝戦後半のピット

 午前中から選手たちの動きは慌しかったが、準優勝戦が近づいていってもそれは変わらなかった。朝のうちは作業をしているところが確認できなかった選手も含めて、誰もがギリギリの時間帯まで「できる限りのことをしよう」としているのがひしひし伝わってきたのだ。

1yoshi0071  とくにすごかったのは、毒島誠と吉田俊彦だ。毒島は9R直前という段階で、モーターを外して整備室での作業を開始! この整備については「結局、元に戻しただけなんです」と笑っていたが、モーター整備が一段落つくと、そのままぺラ小屋での作業も始めたのだから、その姿勢はどこまでも前向きだった。
 10R前まで試運転を繰り返していたのは吉田だ。その後、試運転ピットにボートを着けてモーターの各所を点検すると、回転数も入念にチェック。それが済むと、毒島がボートを水面に下ろすのと入れ替わるようにしてペラ小屋に飛び込んでいったのだから本当に驚いた。
 TVキャスターの方とも、毒島や吉田の作業ぶりについてを「SGでもこんな光景はなかなか見られないですよね」「若いっていいわね」と、しきりに感心し合ったものだが、吉田のペラ調整は10Rが終わるまで続けられていたのだ。
 まさにとことん! 
 そんなムードがこちらの興奮までを掻き立ててくれる午後のピットだったのだ。

2higas0134  そして迎えた10レース――。
 若き挑戦者、岡崎恭裕や峰竜太の優出があるか、という場面も見られたデットヒートの中で、“お馴染みの選手アリーナ”では歓声と悲鳴が沸き上がる。
 大勢が決した3周2マーク。
 最後の直線で、アリーナの選手たちが1着・江夏満を拍手で迎えようとすると、その後方で、東本勝利がアリーナ真ん前の消波装置にクラッシュ! どよめきとともに「大丈夫か~?」と心配の声が飛んだが、すぐに立ち上がった東本は敬礼してニコリ。よかったあ~。一人の例外もなく、アリーナにいた誰もがほっとした瞬間だった。

3kouka0004  10レースの引き上げは、とにかく派手だった。大きな万歳ポーズで凱旋してきた江夏の歯には、お決まりの「付け歯」がキラリ!
 どこにそんなものを隠し持っていたのかとビックリしたが、本人に訊いてみると、川上剛に言われてポケットに入れていたとのことだった。
「それを使う自信はあったんですか?」とも確認してみたが、「(進入で自信がなくなった)スタート展示のあとには、置いていこうと思ったんですけどね」とニッコリ笑って返してくれた。まったくもって、愉快痛快な男なのである。
 そんな江夏も今日はプレッシャーがかかっていたとのことだが、共同会見では「明日は、今日以上のプレッシャーはないと思います」とも言っている。「1号艇なら、目にクマができるかもしれませんが……」と記者陣を笑わせてもくれたが、結局、優勝戦では3号艇に決定している。明日もまた、自然体の江夏が見られることだろう。

4ohm0137  そんなエンターテイナーの影に隠れがちだが、このレースの2着は大峯豊だ。こちらもひそかな“個性派”といえるはずで、何よりも、エースモーター24号機を引っさげている男なのである。
 共同会見で「エンジンについては訊くまでもないですね?」と質問されると、「バツグンです」とニッコリ。
「悪いところを探すのが難しいくらいです」と続けたのだから、明日も怖い存在になるのは間違いない。

5yamam0117  11R。こちらもレースに歓声と嘆息が交差したレースだ。強すぎるほどの向かい風の中で、古賀繁輝がまくり切ったようにも思われたが、大久保信一郎とともに痛恨のフライング!! 2着争いももつれて、1着・出畑孝典、2着・山本修一になっている。
 山本の優出もまた熱かった! 同じ岡山勢の森定晃史と林祐介が、まるで自分が優出したように、顔をくしゃくしゃにして喜んでいたのだ。
 今回、本当に惜しいところで準優出を逃している林に今朝、声を掛けてみたときには「本当に悔しいです」と、ポーカーフェイスの彼らしくもない表情を見せていたが、このときの表情もまた普段の彼らしくはないものだった。だが、いくらポーカーフェイスを気取っていても、こうした人間臭さを持っているのが林のいいところだ。このレース後にはとにかく、岡山勢の結束の強さに感動させられたものである。
 共同会見で山本は、しばらくモニターから目を離さず「ボクも放りました」と言っている。
 まさに紙一重のレースだったともいえようが、自分のモーターについては「10Rの二人にも負けないと思います」と自信を見せていた。明日も、森定や林の後押しをうけて、台風の目にもなりうる存在だろう。

6deba12284  勝った出畑は、レース前、かなり長い間、ペラ小屋に篭っていた選手の一人だ。こちらが見える限りは背中を見せていることが多かったが、9Rが終わったあとにペラ小屋を出ると、何度も何度もペラの具合を確認して、その後はペラについてを川上と話し込んでいた。
 江夏の勝利の陰に川上があるなら、出畑の勝利の陰にも川上ありか!? ……と書きたいところだけれども、こちらはペラが仕上がったあと、その状態を川上に伝えているだけにも見えていた。
 この11Rは、卒業組のワンツーという決着だった。見事に優勝戦の1号艇を手にした出畑は、これが「一世一代」の舞台と自覚している。負けるイメージは持たず、勝つことだけを考えます」とも言い切っているのだから、さすがの貫禄である。
「今節は流れに任せる気持ちで来ているので、リラックスできています」とも話していたが、その流れは確実に、卒業を飾るGⅠ初Vに向いているともいえるのかもしれない。

7miisr0012275  12R。こちらも2着争いが最後までもつれたために、アリーナはレース終盤まで、かなり熱い盛り上がりを見せていた。そんな中、勝ったのは、三井所尊春で、2着は石野貴之になっている。
 それぞれに仲間たちとハイタッチなどをしながら引き上げてきたが、その表情を見る限りは、三井所が淡々としていて、石野がホッとしているようにも映っていたものだ。
 午前中はあまり作業をしているところを見られなかった三井所だが、9R前の試運転から引き上げてきたあとはペラ小屋に篭って、真剣な表情で作業をしていた。
 共同会見では「今日がいちばんいい足でした」「エース機とも変わらない」「(明日の作業は)何もしないと思います」と言っていたので、足は完全に仕上がったのだろう。
 三井所とは直接話したことはないのだが、印象としては、どちらかというとクールな男のような気はする(とはいっても、選手同士で話しているときなどには、実にいい表情も見せている)。準優には5人いた佐賀勢も、一人になってしまったこともあるので、表面にはあまり出さない“心の熱さ”を、明日は見せてくれるのではないのだろうか。

8ishin0219  石野は、午前中から作業をしている場面がよく見かけられた選手だ。今日だけでもシリンダーを二度変えているのだから、そうした試行錯誤のなかで正解を見つけられたからこその安堵の表情だったのだろう。
 こちらもやはり「全体的に底上げされて、優勝戦のメンバーのなかでも、引けをとらない足になっている」と話しているので、優出6艇それぞれに、足については高レベルのところで競り合うかたちになっているものと思われる。
 コースについては「一晩考えて、一通りのコースをイメージしてみます」とのことなので、甘いマスクに似合わず、こちらも“とことんタイプ”なのには違いない。
 ……とにかくいま、競艇発祥の地、大村は熱い! アリーナ席の熱気は間近で受け止めているためでもあるのだろうが、これだけ熱い一喜一憂はそうそうないとも実感される。
 キーワードは、ライブ! そして、とことん!!
 優勝戦にむけて、大村の熱気は高まっていくばかりなのである。
(PHOTO/池上一摩+内池=出畑、三井所 TEXT/内池久貴)


| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (1)
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
新鋭王座準優、ち〜むでばっち大活躍 【ラリーズクラブ】
 4900人を集めた大村G1企業杯共同通信社杯新鋭王座決定戦5日目は準優勝戦3つの攻防。先ず94期岡崎恭裕&95期峰竜太のフレッシュな両名が登場した準優10Rは6号艇東本勝利が動いて12346/5の進入となり岡崎は大外単騎。 そんな進入でしたがイン04トップスタートをしっかり決め...... 続きを読む
受信: 2007/01/28 4:53:27
コメント
コメントを書く




※メールアドレスは外部には公開されません