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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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静かな朝――新鋭王座、3日目前半のピット

2007_0125_01_004  すっきりと晴れた3日目の朝、1Rが始まる前にピットに入ってみると、あら、意外にも静かな朝、である。試運転用ピットにも空きがあり、ペラ室にも数人の姿を見かける程度(メモを見ると、山本修一、中村尊、山崎哲司……とあります)。装着場にあるボートを見ると、ペラがついたままのものも何艇かあったりする。予選折り返し地点、一足早い勝負駆けの選手などもいるわけである。だから、もっとバタバタしているものと思っていたのだが……。
2007_0125_01_043  そんななか、朝の試運転に一番乗りで飛び出し、何周も何周も、延々と試運転を繰り返していた毒島誠が、それほどドタバタはしていないけれども、忙しそうな朝を過ごしていた。元気に挨拶してくれたので、「今朝は朝から、ずーーーっと、試運転してましたね」と声をかける。
「はい、モーター悪くしちゃったんですよー。初日はいい感じだったんですけど、ちょっと、いじりすぎちゃいまして(苦笑)。リングを4本換えたんで、乗れば乗るほどいいと思ってたんですけどねぇ……(笑)」
 あららら。そうなのかぁ。でも、その割には明るく、にこやかな毒島。「とにかく、頑張ってくださいね!」と応援すると、目がくいーんと細くなって、「はいっ! ありがとうございますっ!」。声に張りがあって、いやあ、気持ちのいい若者だ。俄然、応援してますぞ!

Cimg2291  1R、1号艇ながら6コースに押し出されてしまった吉田宗弘。しかし、意地のマクリ一閃! Sを踏み込んで、1マークまでに内を一気に呑み込んでみせた。今節初勝利!
 レース後、JLCの勝利選手インタビューに向かう吉田は……なんと、柔道着を着ている! 開会式でも着てましたね。彼は柔道初段とのこと、何を隠そう、ワタクシも柔道初段でございます。いちどお手合わせを……というのはともかく、その姿を見た長嶺豊さんが「彼は素晴らしいねぇ。盛り上げようとする、このプロ意識! 偉いなあ~」と感心していた。長嶺師匠はさっそく吉田に駆け寄って、「おめでとう!」と声をかける。「いやあ、進入は想定外でしたけどね~。このあとも1着獲れるよう、頑張ります!」と顔をほころばせた。それにしても、ピットで作業などをしている吉田は「おとなしそうな青年」なのに、根っこはエンターテイナーですなあ。昨日の転覆の分を取り返すべく、頑張れ!

2007_0125_01_045 長嶺さんは、装着場で作業をしている大峯豊を眺めながら、さらにこんな話をしてくれた。
「ええモーター引くとな、前検、初日くらいは他よりも出てるからええんやけど、3日目くらいにみんな合わせてくると、慌ててしまうんやな。ええモーター引くのも、けっこうツラいんや」
 怪物パワーの24号機を引いた大峯は、いまだ勝利はないものの、きっちり上位着順を獲ってはいる。しかし、別に長嶺さんの言葉に合わせるわけではなく、静かなピットにあって、比較的バタバタしている一人だったのも間違いないことだった。
「モーター壊すのが怖いから、触れないのも慌ててしまう原因やな。ほんまは、ええモーターってのは、少しくらいいじったところで、壊れないもんなんよ。でも、エース機になると、触るのが怖くなる」
 繰り返しになるが、静かなピット、なのである。長嶺さんと僕がいるところから、大峯までは10mほどしか離れていない。長嶺さんは小さな声で話していたのだが、大峯に聞こえているのではないだろうか……いや、長嶺さんは、大峯に言い聞かせるようにして話しているのかもしれないな、と思った。エース機は、諸刃の剣。時にプレッシャーの種となる。ましてや、GⅠ初出場の大峯である。長嶺さんの声が聞こえていたなら、ひとつ深呼吸をして、リラックスして臨んでほしい。負けてもともとじゃないか!

2007_0125_01_058  亮太は帰った。石橋はやや苦戦気味。こうなると、地元の期待は赤坂俊輔に重くのしかかってくる。などと言いながら、赤坂はそんなことはどこ吹く風、といった雰囲気で、淡々と朝を過ごしていた。いいなあ、この余裕。
 試運転からいったんピットに上がると、足合わせをしていた古賀繁輝が、全力疾走で赤坂のもとに駆けつける。たぶん今節ナンバーワンの声のデカさを誇る(笑)古賀が、元気マンマンで話しかけると(質問、といった感じでした。アドバイスを求めたのでしょうか)、赤坂は仏像のようなアルカイックスマイルを浮かべて、古賀の5分の1くらいの大きさの声で粛々と返している。古賀がどデカい声で「ありがとうございます!」、赤坂は「……」と笑顔で返す。うーん、対照的だ(笑)。ともかく、赤坂のこの冷静さは、プレッシャーがかかるはずの地元GⅠでは大きな武器になるはず。発祥の地を盛り上げるべく、快走を期待しよう。

Cimg2296  初日に、水面際の“アリーナ席”のことをちょっと書いたが、近くで撮るとこんな感じ、である。レースが間近に見える、かなりの特等席なのだ。何しろ、スリットまで85m地点を示す青白のポールがピット内にあるという、独特の形態をしている大村競艇場。2マーク近辺の攻防を見るには絶好のポイントなんですよね。僕も、レースになると、この隅っこで身体を小さくして(でも、体重は選手2人分)観戦しているのだが、2Rではいい場面に遭遇することができたぞ。2007_0125_02r_013 長野壮志郎が、GⅠ初1着をあげたのだ。1マークを差し抜けたときに、まずは「ソーシロー!」という叫びが轟いた。1周2マーク、先頭を確定させる好旋回をみせると、何人かの選手が長野に向かってバンザイ! 2周2マークを回ったときには、島田一生が立ち上がって、大拍手! 3周2マークを回って最後の150mでは、福岡勢が一斉に立って、やっぱりバンザイ! 長野も、艇の上からチラリとアリーナに目をやったように見えた。
2007_0125_01_039  アリーナの福岡軍団は、その後、ボートリフトにダッシュ! ピットに戻ってきた長野をまたまたバンザイで出迎えた。長野も、ガッツポーズ! 笑顔が満開に咲き誇ったシーンだった。最年少・岡崎恭裕を中心に好調の福岡勢。このまま一気に突っ走れ!(PHOTO/中尾茂幸 黒須田=吉田 TEXT/黒須田守)


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