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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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万谷章、63歳の挑戦④

2007_0317__355  今日は多くを語るまい。いや、語れないというべきか。3レースの万谷親ビンは潔く枠なりの6コースを選択。春の嵐よと吹き荒れる水面になす術もなく、大差の6着に敗れ去った。レース後の親ビンは、やはりちょっと寂しそうだったな。
――潔く6コースでしたね。
 聞くと、うんうんうん、3度頷く。
「水面がなぁ……あの水面じゃあ、変なことはできんわ」
 なるほど、と納得する。下手に前付けに動けば進入が乱れ、事故の原因になるかもしれない。そう配慮しての6コース据え置きだったのだろう。SG準優への欲よりも、フェアプレーを遵守する道を選んだのだ。ほんに頭が下がる。親ビンは力なく笑いながら、一言でレース回顧を片付けた。
「なぁんもできんかった。できる水面じゃなかったな」
 それ以上、突っ込みようがなかった。そして、この6着ですべての望みが絶たれたわけでもない。今日までの得点は19点。明日の1回走りで1着を取れば節間勝率5・80、滑り込みセーフもありえる数字なのだ。
――親分、明日は1着取って万歳してから、結果待ちっすね!
 こう伝えると、万谷親ビンは歯を剥き出しにしてナハハハハと豪快に笑った。笑ったままで、答えはなかった。
 ひとしきり笑ってから「ほんなら」と背を向けた親ビンに、「万歳してくださいね、待ってますよ~!」としつこく追い討ちをかける。親ビンは振り返らなかったけれど、小さくゆっくり右手を挙げてくれたのだった。明日の2レースは1号艇。イン逃げを決めて万歳すれば、後から奇跡が付いてくるような気がしてならない。

万谷章 3・3・3・6着 節間4・75 目下33位(Photo/中尾茂幸、Text/畠山)


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