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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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万谷章、63歳の挑戦⑤

2007_0320__034  6着4着。今日も勝ちきることができなかった万谷親ビンだが、5Rが終わってピットに戻ってきた顔には「互角に戦えるぞ」という気迫が感じられた。このレースは4カドを選択。握って回ったが届かずにバックでは4、5番手争い。相手は新鋭王の石野貴之だ。

 63歳の親ビンと24歳の石野……39歳差のマッチアップ。石野からすれば「お爺ちゃんのターンスピードには負けられない」という思いがあるだろうし、親ビンからすれば「ワシャあなぁ、お前の親父の石野美好と戦友なんじゃ。まだまだヒヨッコには負けられん!」といったところ。まあ、そんなイケイケの性格じゃないですけど。
 で、軍配はなんとなんと、親ビンに。常に先手を握って回る親ビンの若々しいこと。コーナーごとに石野との差を広げた親ビンは、さらに全速ターンを連発して3番手の堤を追い詰めていた。3周1マーク、ぴったりと堤の外に貼り付いた親ビンは20代も真っ青のフルスロットルモンキー!!!! 記者室もスタンドも「うひゃ~~!」みたいな歓声と拍手で騒然。決まったか……惜しくも届かず併走までがやっとだったが、周回するごとに上位との差を詰めたパワーとテク、そして何より若々しい気合いは見処満載だった。
01_0367 ――新鋭王に競り勝ちましたよ!
 この一言に、親ビンは照れ笑い。
「いや~最初に新鋭の引き波にハマってもうたからなぁ。勝ったわけやない」
 言いながら、ニンマリの照れ笑いが続く。
――そのあとの全速ツケマイ。スタンドは大騒ぎでした、カッコよかった!
 ニンマリニンマリ。
「ほうかなぁ、結局は負けたけどなぁ…」
 ニンマリニンマリニンマリ。と、急に真顔になって親ビンはこう言った。
「うん、悪いところはわかっとる。わかっとるんや」
――どこですか? じゃあ、これから整備っすか?
 親ビンは私をジ~ッと見つめ、それからまたニンマリ笑ってこう言ったのだった。
「悪いのはな、ワシの腕じゃ~」
 4着とはいえ新鋭王を突き放し、堤に肉薄した。節間1勝の大目標へ残りはあと1日だが、今日のレースを見る限り夢物語とは言いきれない。明日の2Rは1号艇を割り当てられてもいる。岡山支部の後輩・山室が3号艇にいて、アウト勢を一掃するようなブロックをしてくれるかもしれない。最終日に勝ってゴール万歳、さらには山室の企みで水神祭、なんてことになったら、私はきっと優勝戦よりも感動してしまうだろうな。
 頑張れ、親ビン。63歳でSG勝利、たとえギネスに登録されなくても、ファンの心に一生残る大記録になるだろう。

万谷章 3・3・3・6・4・6・4着 明日の2Rが、ラストチャンス!
(Photo/中尾茂幸、Text/畠山)

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