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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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強風!――3日目、後半のピット

2007_0318__234  寺田千恵が冴えない表情で歩いてきた。たまたま彼女のボートの近くにいた僕と池上カメラマン、まず池上Cが挨拶をすると、顔をしかめながら会釈する。ん? ご機嫌斜め? 続いて僕が挨拶。するとテラッチ、声を出さずに唇を動かした。
「さ・む・い」
 そう言って(いや、言ってないか)、また顔をしかめるテラッチ。平和島に突如吹き荒れ始めた強風。冷たい風がビュンビュンとピットに吹き込んできて、身体も表情も硬くなる、3日目の朝である。それもあるのだろう、やはり装着場に人影はあまり見当たらない。試運転ピットにも、係留されているボートはまばらだ。では整備室? 安田政彦の姿が見られただけ。じゃ、ペラ室は? あら、今日は人口密度が薄いぞ。昨日のような大混雑には程遠い人数だけが、ペラと向き合っているようだ。
Cimg2583  1Rから安定板が装着された、総理杯3日目。戦略や調整方針の変更を余儀なくされた選手たち。だからこそ、慌しいピットを想像していたのだが、ちょっと肩透かしを食った感じだ。ただ、ひとつ付け加えておくならば、整備室内にはたくさんのモーターがあるのを確認しております。そして、装着場にはまだモーターを装着していないボートも。風と気温の様子を見極めて、それに合わせた調整を施そうとしている、ということだろうと思う。(写真は、寒風にも負けず、装着場で懸命の作業をしていた平田忠則です。頑張れ!)

 選手にとって、本当の敵は寒さではない。レースに大きく影響する風、そして波。昨年の総理杯のときのような、まるで激しく波立つ海で行なっているように見えるほどの(平和島は海水ですけどね)強風と高波にはなっていないけれども、空中線は激しくなびき、水面には白波が立っている。これが、選手たちを手こずらせているのだ。
 昨日書いたように、レース後のカポック着脱場は控室入口の脇にあるのだが、ここに帰ってきた選手たちの口からは、風&波、そしてお互いへのいたわりばかりが飛び出したりする。
01_0163 「こえー」
 2R終了後、江口晃生がここに戻ってきて開口一番、苦笑いとともにそう口にする。2番手を走りながら、烏野賢太、深川真二らに抜かれてしまっている江口。そこに苦笑いを浮かべて深川が登場、江口に「すみませーん」と右手を挙げた。江口はさらに苦笑いを深くする。烏野賢太は戻ってくるなり、金子龍介に「ごめんな」。ターンマークに接触して大きく遅れをとった金子は、「いやいやいやいやいや~、こちらこそ、すみません!」と恐縮している。金子は、江口や深川らにも申し訳なさそうに謝り倒していた。さらに、最後に戻ってきた辻のもとには、駆け寄って詫びる金子。実はレース後、辻は「危険回避」を称えられて技能賞を贈られているのだが、つまりは金子の失速の影響をもっとも受けたということ。辻はむしろ金子を気遣いつつ、笑顔を向けていたのだった。
Cimg2585  強風が吹き、波が荒れたのは、自然の神の気まぐれである。普段のようなレースができなくても仕方がない。失敗があっても、誰が責められようか。お互いの身体を気遣う選手たちの姿を見ると、ただただ事故のないことを祈るのみだ。

01_0184  それでももちろん、戦いの手を緩めるわけにはいかない。3R、会心のスタートで2コースマクリを決めた原田幸哉は、レース後ニッコリと笑顔を見せていた。実は、2R発売中、つまり3R出走選手は展示ピットにボートを移動すべき時間帯、原田はすでに着水していたボートをいったん引き上げている。その直前には、2マーク奥で握り込みをチェックしているのを見かけているが、何か気になることがあったのだろう。装着場までボートを戻すのももどかしいのか、ボートリフトのすぐ間際で工具を取り出して再度調整を始めた原田。大急ぎで調整を終えると、素早く着水して、展示ピットへと移動していった。果たしてこれが実ったかどうかはともかく、その執念がレースに大きく影響したのではなかったか。こんな荒れ水面のなかでのレースでは、何よりも精神力がモノを言うような気がするのだ。

01_0249  さて、こんな気候のせいもあってか、エンジン吊りのときくらいしか姿を見かけることができなかった、気になる山崎智也。あまり笑顔が見られないのは、機力の不安か、寒さのためか、それとも闘志を燃えたぎらせているのか。何しろ、目にした時間が短すぎて何とも言いがたいのが正直なところなのだ。後半、もう一度気にしなくちゃなあ。(PHOTO/中尾茂幸=寺田 池上一摩=金子、原田、山崎 黒須田=平田、カポック着脱場 TEXT/黒須田守)


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