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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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光り輝く選手たち――準優勝戦後半のピット

 午後になると、ピットの空気はまた変わっていた。さすが今年最初のSGである。空気がピンと張り詰めているような静粛なムードになっていたのだ。こうした場所にいると、取材をしているこちらも自ずと気が引き締まる……。

1img_0128  10R。勝ったのは吉田弘文で、2着が三嶌誠司だ。
 レースから引き上げてきたときには、メット越しに、それぞれの笑みも確認されたが、その後の様子は対照的だった。三嶌がいかにも“ひと仕事をこなした”といった雰囲気を醸し出していたのに対し、吉田のほうは“心ここにあらず”といった感じになっていたのだ。
 ただ、そうはいっても、勝利者インタビューをこなしたあとに共同会見に臨んだ吉田は、その時点では相当、饒舌になっていた。
「周りからの評価も含めて、90%くらいまで落ちている感じもある」ようにほのめかしていながらも、それでもやはり「出ている」と強調!
 また、初のSG優出についてを訊かれると、「ほっとしただけです。……よし、やってやろう!となると空回りするんで、普通にやります。だから、あんまり入れ込ませないでください」と記者たちを笑わせてもいた。
 さらに、年末の賞金王決定戦が地元で行なわれることを指摘されると、「そのために走っています」とも言い切っている。
2r0013482  レース直後には放心状態に見えたのとは打って変わり、こうした饒舌ぶりを見せていたのは不思議な気もするし、これができていたのが「平常心」を取り戻せたためなのかといえば、わずかながらも疑問符は付けられる(人間というものは、緊張していたり、気持ちが昂ぶっていたりするときにも、饒舌になったりすることはあるものだ)。
 だが、今日一日はそれほど作業をしているところは見かけられなかった吉田も、会見などをこなしたあとには、12R直前までペラ小屋に籠もっていた。その姿勢はどこまでも前向きなのである。「SG初優勝」が出やすい総理杯では、伏兵以上の存在になってくるはずだ。

3r0013460b_1   今日の三嶌は、展示後かなり長い間、ピットの隅でストレッチと精神集中を繰り返していた姿が印象的だった。正座の状態から後ろに体を反らせていって仰向けになったり、正座の状態に戻ったり……。そうした動作を素早くしているのではなく、ひとつひとつの体勢で、長く動きを止めているのだ。
 三嶌がこうして精神集中しているところはよく見かけられるが、見るたびにこちらは息を呑まされる。人けのない場所を選んで行なっていることもあり、当然、声をかけられないのだが、「プロの姿勢」というものが、遠目で見ていてもハッキリと伝わってくるのである。
 共同会見で、「コースは行きます」「練習どおりやれたら」と、再三繰り返していたのも、プロの姿勢といえようか。
 このNIFTY競艇特集の主宰・黒須田に対しても「1等を狙える位置につけたいですね」と話していたが、温厚な人柄でありながらも、勝負に賭ける気持ちはまっすぐなのである。

4img_0214 11Rを勝ったのは濱野谷憲吾で、2着は井口佳典だ。
 この両者もやはり、レース後から対照的な表情が確認されている。「ホームでの優出」に安堵したような会心の笑みを見せていたのが濱野谷ならば、憔悴の色が見て取れたのが井口だった。
 この2人はともに、今日の午後はプロペラに取り組んでいる時間が長かった。
 とくに濱野谷は、9R前にカポックを着たままペラ小屋でペラを叩いていたのだから、かなり珍しい光景といえる。
 井口は、装着場の隅で、何度も何度も自分のペラをかざして状態を確認していたあとに、ペラ小屋に向かう姿が見られたが、ペラ小屋へ向かう途中には、取材陣に対して“OK!”というようなサインも見せていた。そうして納得の状態にまで持ってこれていながらも、最後の仕上げを行ない、万全の状態でレースに臨めていたということなのだろう。

5u4w0112  共同会見で濱野谷は「去年はここ(優出)でホッとしてダメだったんで、今年はホッとはしないで最後までいきます」と話していたので、レース後に見せていた安堵の表情からは一転して、気持ちの切り替えはできているのだろう。それでいて、気負いは感じられないのだから、やはり「主役候補」の一人といえる。
 井口にしても、スタート勘についてを訊かれると「丸見えです!」という力強い返答!! 「優勝は厳しいですか?」という質問も出ていたが、それに対して「厳しいかもしれませんが、優勝しに行きます!!」と返していたのだから、その姿勢はなんとも力強い。

6img_0253  12R。勝ったのは“艇王” 植木通彦で、2着は瓜生正義である。
 こちらはさすがに優出慣れしている2人だけに、取り立てて特別な表情や発言は見られなかった。
 ただ、植木の場合は、“自然体”を貫けているからこそ、これだけの強さを発揮しているのだといえるだろう。共同会見においても、「復調の手応えみたいなものはありますか?」と訊かれて、「とくにそういうのはないです」と答えたうえで、“モーターの手応え”ばかりを強調していたが、ピットでの様子を見ている限り、昨年前半戦とは、佇まいからして明らかに違うのだ。
「明日はスタートを遅れないようにして……。結果は気にしすぎず、思いっきりいきます」「プレッシャーとかは、とくにないです」
 とも話していたが、貫禄のイン逃げを見せてくれる可能性はかなり高いはずである。

7u4w0077  優勝戦では、福岡勢が3人入ることになったが、共同会見でそのことを指摘された瓜生は、「そのうちの誰かが優勝すれば……」と笑っていた。
“無欲さ”と“スマートさ”が瓜生の魅力でもあり弱点だともいえようが、そろそろ「無冠」を返上してほしいというのは、誰もが願うところだ。
 レース前、展示ピットにボートを着けたあと、ペラを外してピット内を駆けている姿が見かけられたので、何か異変があったのかと追いかけてもみているが……、そのときはどうやら、わずかにペラを磨いただけのようだった。
 そうして、わずかなことにも「やり残し」を出さずにレースに臨むのが瓜生の信条なのかもしれない。その態度はどこまでも真摯なのである。

8img_5873  なお、今日の準優勝戦の前には、競艇場内のイベントに登場していた武豊がピットを訪問して、報道陣に取り囲まれていた。
 ……念のために書いておくと、武豊とは競馬のジョッキーである。
 いくら念のためとはいえ、書く必要はないのかもしれないが、なにせピットは、競艇の仕事場である。その場において、武豊よりも光り輝いている選手たちが50人もいるのでだから、本来はリスペクトすべき対象である武豊であっても、ここでは影が薄いのだ。
 そして明日、この平和島競艇場で、光り輝く50人の頂点が決められる!
(PHOTO/山田愼二=1、4、6、8枚目、池上一摩=5、7枚目、内池=2、3枚目 TEXT/内池久貴)


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