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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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真摯な男たち――初日後半のピット

 午後に入ると、選手たちの動きもいっそう激しくなった。ペラ小屋に出入りしている選手などはチェックしきれないくらいで、入れ代わり立ち代わり状態が12R頃まで続いていたのだ。前回の女子王座でも報道陣の数が多いと思ったが、やはり1年最初のSGでは、それ以上の報道陣が詰めかけてきており、SG独特の「重い空気」になっていた。
1r0013367b 選手同士で談笑している場面も、午前中にくらべれば、かなり減った感じだ。
 石野貴之が、4Rで顔を合わせていた寺田千恵に声を掛けていったときにも、寺田は真剣な表情でアドバイスのような言葉を返していた。
 石野と別れたあとの寺田が、同県の川﨑智幸に対して、“おらっ、刺すぞ!”というような<恫喝>をしていたところも見かけられたが(そういう雰囲気に見えたというだけで、実際にそんな言葉を聞いたわけではない。……念のため)、それもまた、ほんの一時のご愛嬌。全体として、ピットの雰囲気はピリリと引き締まっていたのである。

2r0013375  9R後、本日2連勝でインタビューを受けていた仲口博崇がとても感じのいい笑顔を見せていたが、インタビューが終わったあとにはほとんど笑顔も見かけられなかった。
 いつものクールな感じでピット内を闊歩していただけでなく、12Rが近づいた頃にもペラ小屋でペラ調整をしていたのだから、明日以降に向けて、その姿勢は少しもゆるめていないのだ。
 今節は、久しぶりに“強い仲口”が見られるのは間違いないし、“SGにもっとも近い男”という代名詞を返上することだって、充分考えられる。

3r0013381b            10Rで、見事なまくり勝ちを決めた植木通彦は、レースから引き上げてきたときから、とても自然な笑みを浮かべていた。引き上げの手伝いに来てくれた上瀧和則や深川真二らと話をしているときにも、植木自身が笑みを浮かべ続けていただけでなく、上瀧や深川も自分のことのように喜んでいるように見えたのが印象的だった。
 勝利者インタビューで植木は、「平和島で1着をとれたのは何年ぶりかな、という感じで非常に嬉しいです」と、本音で話し、ファンへのメッセージを求められると、「体に気をつけて、明日からもいいレースをしていきたいと思います」と“童心”に帰ったような言葉で締め括っている。
 そんな植木とて、もちろん、いつまでも喜びにひたっていたわけではない。
 午前中も整備室内にある「機械室」に籠もって作業をしていたが、レース後には「ペラ小屋」へ行き、さらに12R前には「ペラ加工室」で姿が見かけられたのだ。
 最近の植木は、ピットで少しの時間のムダもなく作業をしているが、久しぶりに複勝率45・2%という好機を引き当てて、前検で一番時計を出したうえ、こうして結果を出してもさらに作業を続けているのだ。こちらもまた、明日以降にさらなる期待をかけていきたい。

 11Rでは、午前中のピットで熱心にモーター本体に手をつけていた瓜生正義が勝利している。中堅機かとも思われていたが、「足的には悪くない」と言っており、明日以降は「外回りの調整」になるという。総理杯では“SG初優勝”が出やすいこともあって、下馬評では本命扱いもされていた瓜生からも目が離せない。

4r0013398b  ドリーム戦は混戦になったが、これを制したのは魚谷智之である。
 ドリーム戦の出場6選手は、午前中からそれぞれに甲乙つけられないレベルで、ひさむきさとリラックス加減を融和しながら作業しているように見えていたので、この段階では、ドリームメンバーの誰が抜けていて、誰が落ちるとは言いづらい。
 ただ、そんな中でもレース後に目についたのは、ヘルメット越しにも納得の笑みを浮かべていたように見えた濱野谷憲吾(2着)だった。

5r0013384  10R後、何度も何度も自分のペラを確かめて、足早にペラ小屋に行き、ギリギリの段階での最後の調整をしていたが、そんな成果がきっちり出たのかもしれない。
 そのうえ、今回の濱野谷はやはり、いつもにくらべて非常にいいムードを漂わせているように見えるのだ。ホームで総理杯を迎えている濱野谷憲吾は、自身の分身といえる“波多野憲二”(もちろん平和島のイメージキャラクター、『モンキーターン』の主人公です)に負けない活躍を見せてくれることだろう。
 ……レースもピットも、やはりSGは熱い! 今日一日で、今節が最高のシリーズになっていくことを予感させられたものである。
(PHOTO&TEXT/内池久貴)


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