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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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気分上々で行こう!――総理杯、前検のピット

 う~、寒い。ピットではいつも暑いの寒いのと大騒ぎの私、今日は当然、「寒いっ!」のです。新鋭王座以来の再会となった長嶺豊師匠との挨拶も「いや~、寒いっすね~」。東京はここ数日、季節が逆行している感じで、長嶺師匠も驚いている様子。明日は、東京に初雪、という噂もチラホラとあり(もちろん降らないという説も有力)、今年も何やら荒れ模様になりそうな平和島・総理杯(昨年は、嵐の総理杯、でしたね)。そんな気候ということもあるのか、早くも調整に忙しそうな選手も見かける、前検日である。

2007_0315__295  そんななか、非常にリラックスした表情が目立つのは、何と言っても艇王・植木通彦である。競艇場入りの際もご機嫌な風情だったが、前検作業中も笑顔が多く、いろんな選手と談笑している姿も目についている。出た、“悠然たる艇王”! 悠然という言葉は、競艇選手では絶好調時の植木にのみ使われるべきだと僕は勝手に思っているのだが、前検日から早くもこの単語を打ち込めるとは、今節の植木は早くも艇王モードに突入していると見ていいだろう。もちろん、ただ弛緩に身を任せているだけの植木ではないわけで、スタート練習を終えた後はしっかりとモーターに向き合う時間を過ごしていた。鋭い視線で。
2007_0315__017  一方、王者・松井繁も実にいい雰囲気。昨年でいえば、オーシャンカップやMB記念などで見せていたリラックスと、賞金王決定戦で見せていた鬼気迫る感じの、ちょうど中間くらいのたたずまい。いちばん近いのは、昨年ダービーで見た松井、だろうか(優出しましたね)。水面を走った手応えも「まあまあ良さそうな感じ」と、機力向上へのメドも立っているようで、まずまずの前検日といったところ。
 ともかく、両巨頭が非常にいいムードを漂わせていることが、シリーズを締める活気となるのは間違いない。強者の振り撒くオーラは、この総理杯を珠玉のドラマに導く最高のスパイスなのだ。明日からの戦いに胸ときめかせてくれる、艇王と王者のたたずまい。まずは、それを感じ取れたことが何より嬉しい。

2007_0315__039  植木&松井以上に、今節を引っ張っていかねばならぬ存在。言うまでもなく、濱野谷憲吾だ。装着場や整備室ではあまり姿を目撃することはできなかったが、ドリーム戦共同会見に登場した濱野谷は、絶好の精神状態に見えたぞ。昨年の総理杯で、特に優勝戦共同会見で、濱野谷はやけにジョークを飛ばしていたのだが、同じような受け応えを今日も見せていたのだ。「コースは、思い切って前付けか、6コースか」と、潔さをズバリと口にするあたりも、心中に一点の迷いもないように見受けられる。また、そのコース取り関連をもう少し突っ込まれて、ちょいと口ごもって見せたあたりには、手の内を明かしたくない=心中、期するものがあるようにも思えて、これまた好もしく見えるのである。
 今日の彼の体重は52kg。前節とほとんど変わらないウェートで平和島入りしているのだが……いつも初日あたりは54kgくらいですよね、濱野谷憲吾って。会見で「体重もうまく絞れてこれた」と証言しているが、明らかに今節に照準を合わせて、彼は減量に励んできた。この気合も脅威! 普段の濱野谷憲吾よりも2~3割増しで考えたほうがいいかもしれないぞ、今節は。

2007_0315__086  いい雰囲気に見えた選手を、もう数人。まずは、何と言っても、エース機を引き当てた赤岩善生だ。現在、ピットは工事中であり、装着場への通路がやや狭くなっているのだが、その入口で装着作業を行なっていた赤岩は、まるで「ここから先は、俺を倒してから行け!」とでもいうような(って、そんなわきゃないんだけど)、ド迫力の表情を見せていた。苛立っているとか、何かに怒り狂っているとかではなく、早くも最高の気合乗り、という感じですね。キリリッとした目つきの赤岩に気合が乗ると、強烈な男らしさをまとうのだ。SG連覇、そんな予感すら覚えてしまう赤岩の好兆。何はともあれ、明日の赤岩は見逃せない。
 太田和美もわりと気分が良さそうに見えた。比較的早めに作業を終えたようだったが、控室に戻っていく歩幅が心なしか大きく見えるのだ。顔つきも穏やかで、こちらが軽く会釈すると、目元に笑みがほのかに浮かんだ。後輩のエンジン吊りを手伝っている際には、鎌田義と何か大声で話し合っており、あれれ、こんな太田を初めて見たような気がする(二人の距離が若干離れていたとはいえ)。似たような空気を金子龍介にも感じたが、賞金王シリーズで見たときも同様だったから、それがキンリューのいつもの様子、なのかもしれない。
2007_0315__096  新鋭王座Vで平和島への切符を手にした石野貴之は、SGの雰囲気にまったく臆した様子を見せていないあたりに、末恐ろしさを感じた。何しろ最年少の“新兵”だから、とにかく忙しそうに動きまくっていたけれども、その姿もむしろ堂々としたもので、こりゃタダモノではないぞ、と。SGはこれが初めてではないけれども、しかしこれだけの振る舞いができるのは大物の証であろう。台風の目になることを期待したい一人だ。
2007_0315__284  石野に比べると、女子王座Vでここにやって来たテラッチのほうに、むしろ緊張感を見たような気がする。手足を呪縛するような緊張感ではなく、舞台の大きさに気を引き締めている緊張感、というか。そして、名人戦Vで乗り込んできた万谷章親分は、いやはや、さすがの貫禄。しっかりとした足取りで、胸を張って闊歩している姿には、思わず拝みたくなるような後光を見た。頑張れ、万谷親分!

2007_0315__253  さて、もしかして今年初?の気になる山崎智也。唐津周年で会ってはいるけど、私、ピット担当ではなかったですからね。実質的に気になるのは2007年最初、と言っていいんでしょう。今年もよろしくお願いします。スタート練習終了後、控室から整備室に向かう彼とバッタリ出くわしたので、会釈をすると、「おっ!」といった感じで目を見開いて、微笑みを返してきた智也。これは、けっこういい雰囲気の智也であります。ドリーム戦会見でも、試運転で1枚良さそうなペラがあったそうで、そのあたりの手応えに気分をよくしているのだろう。ただ、前節の戸田グランプリが悪すぎたそうで、それに比べれば……という点があることを智也自身も否定していない。明日も引き続き注目……いや、気にしなければならないだろうが、今日の時点では上々だったと判断していいのではないだろうか。昨年総理杯では準優進出も果たせなかった智也。今年は頼みますよ!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田守)


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