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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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手馴れた慌しさ――初日、前半のピット

Cimg2689  ドリーム戦に出走する高山秀則が、早々と着水しようとボートをリフトへと運んでいく。3R後のことだ。すると、装着場で今まさに作業を終えた原由樹夫がそれに気付き、「お願いしまーすっ!」と大声で叫んで、小走りでボートをリフトへと運んでいこうとした。惜しい。タッチの差で昇降ボタンが押されたところだった。あはは、ごめんごめん、と言った感じで笑いながら、高山の姿は水面へと消えていく。あー、残念、と原ユーは速度を緩めて歩き出す。リフトの係員さんも、にこにことそんな原ユーを見る。(写真は、原ユーを撮ろうとしたのに、背中しか取れなくて、こんな写真ですみません)
 ようするに、どの選手もみな、慌しく動き回っているということである。昨日は大荒れ水面で、多くの選手が手応えを完全には掴みきれなかった。初日というのはいつも慌しいものだが、今日はいつにも増して、調整に駆け回る選手を多く見かける。
 もっとも、名人戦出場選手にとって、こんなことは一度や二度ではなかっただろう。こんな状況は、すでに何度も経験して織り込み済みのはずである。だからだろう、忙しく動いてはいても、焦燥感の種はどこにも見当たらない。穏やかに、平常心を欠かさず、淡々と作業に励む選手たち。キャリアというのは、本当に偉大なものだな、と思う。

Cimg2683  前半レースを走った面々も、一度走ったからといって、まだまだ納得の手応えであるわけがない。レース後も、カポックを脱ぐと、すぐさまボートに戻って、素早く作業を始める。3R後、石川正美が小走りでボートに戻り、その場でモーターをいじり始めた。ボートからは、まだ水滴がぽたぽたぽたと垂れている。レースで浴びた水しぶきを乾かす間もなく、石川は作業を始めたわけだ。ペラを外すと、小走りでペラ室へ。その数分後くらいには、再びボートのところで姿を見たりした。手を休めるヒマなどない、そんな感じだ。
Cimg2678  装着場から外へ出てみると、係留所にボートがずらりと並んでいるのが目に飛び込む。ボートの上には、調整に励む選手の姿が。たしかに、装着場にボートは数えるほどしかなく、ほとんどがついさっきレースを終えた選手のものばかり。この後にレースを控えている選手のもので見かけたのは、ドリーム戦の小林昌敏のものくらいだっただろうか。実を言えば、今日のピットはけっこう寒い。気温はそれほど低いわけではないと思うが、風が冷たいのだ。そんなことを気にする男たちではないことは言うまでもないが、しかし、素直に頭が下がるというものだ。こちらも、気を引き締めなければ。

Cimg2676  さて、これは去年はあまり気にもしていなかったのだが、整備については、ペラよりもモーター、という傾向があるように思えるのだが、いかがなものだろう。1月に新鋭王座で訪れた大村のピット、明らかな違いはペラ室の人口密度だ。ふと覗き込むと、加藤峻二、吉田重義、吉本正昭の姿しか見えなかったりして、ペラ優先主義のSGクラスや新鋭を見慣れていると、不思議な光景に思えたりもする。もちろん、いつもいつもこんな光景なのではなく、何よりこの時間帯は係留所にいる選手が多かったし、その後に覗き込むと人数が増えているわけだが、それでも大混雑という状況は昨日からほとんど見かけていない。持ちペラ制が導入されたのは、平成元年。ベテラン勢は、それよりもずっと前から強かったわけで、その頃のスタイルというのが今も染み付いている、ということなのだろうか。

Cimg2687  で、我らが気になる大西英一。3Rは2着と上々の滑り出しだが、レース後は本体を外して、整備室に駆け込んだ。大西も、ペラよりもまず、本体を整備していたわけだ。大村の整備室は、装着場からも至近で見られるため(整備室は通常、取材できないエリア)、じっくり眺めさせていただいたのだが、大西はピストンリングを外していた。よくよく考えれば、こんなにも間近でリングを外すのを見たのは始めてかも。今まで何百回もリングを外したことがあるはずの大西だけに、やはり手際の良さが実に見事でした。

最後に自慢です。ぼけーっと突っ立っていたら、原田順一がにっこにこで挨拶をしてくれたので、こちらも慌てて挨拶をしたのだが、すると順ちゃん、「本当にありがとうございます」とさらにお礼を言うのだ。実は、BOATBoyの名人戦展望で、僕は原田順一を特注としてあげていたのだが、それをご覧になったそうなのだ。「ほんと、嬉しかったし、切り抜いてとってあるんですよ」。そ、そんな、恐縮っす……。「期待に応えられるよう、頑張りますよ!」という順ちゃん、俄然、応援させていただきます!(PHOTO/黒須田 TEXT/黒須田守)


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