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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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静寂――2日目、後半のピット

_u4w5443  12R、妙に脂っこいメンバーだなあ、と感心しつつ、よくよく眺めてみると出走全選手が笹川賞覇者。実は企画レースだったのだ。今節は、あと山崎智也と今村豊が参戦しているわけで、笹川賞を制覇することがどれほど偉大なことか、よーくわかる。そして、この12レースは戦う本人たちにとっては、難儀なメンバーだっただろうなあ、と想像する。
_u4w5467  そんな激烈な一番を制したのは、上瀧和則。これで負けナシの3連勝! 絶好調である。レースから引き上げて、まずはエンジン吊りの仲間たちと大声で笑い合うと、報道陣の前ではいつも通りの迫力タップリな厳しい表情だ。うーん、怖い。だが、心なしか、いつもより明るい厳しさに見えるのは気のせいか。4号艇4着の濱村芳宏と顔を合わせると、「ヨッ!」とばかりに右手をあげて、レース後の交歓。そんなときにも、瞳に力があるのだから、ジョー様は乗りに乗ってきたぞ!

_u4w5461  2着の服部幸男は、これまたいつも通り、レース後は顔を引き締めて、特に表情を変えることなく、淡々と振舞っている。哲人の面差しは、こと仕事にあたる際には崩れることがないのだ。そして3着、松井繁。このメンバーで3着なら、まずまずの成績のはずだが、なんだか瞳に怒りの炎が見えるように思えた。勝つことでしか癒されないという、勝負師の本能が、そこには現われていた。
_u4w5479  三者三様の表情ながら、そこには激戦を終えて、勝負の余韻に支配されている男たちがいた。触れれば斬れるかのごとき、鋭い刃を胸に秘めた、そして戦いの後にいったんは鞘に収めたはずでも、あふれ出す殺気を抑えられない、真の勝負師たちがいたのである。

2007_0530__322  面白いのは、その直前のピットは、ここが勝負の場とは感じさせないような静寂に包まれていたことである。優勝戦直前の静けさは、神聖ささえ感じさせるものだが、2日目の静けさは、多くの者が今日の仕事を終えているからか、一段落感があったりするのだ。そんなピットを、時折行き交う若手選手たち。もっと早い時間帯には、走り回って仕事に向かう彼らも、残されているのは12R組のエンジン吊りと、装着場内やペラ室などの片付け、翌日の艇旗艇番付けくらいのものなので、そんなにドタバタとする必要はなく、静かな足取りで動いている。したがって、空気の攪拌され方も、どこか穏やかな感じなのだ。
2007_0530__316  岡崎恭裕&峰竜太の、スーパールーキーコンビ。石野貴之。中野次郎。さらには銀河系軍団。あ、菊地孝平や坪井康晴も。いわゆる若手に属する者たちが、粛々と己の仕事に邁進している。突っ立って見ているこちらとしては、手伝いましょうか、と言うわけにもいかず、しかしまじまじと観察しているのも忍びなく、なんとなく所在ない気分になって、仕方なく穏やかな水面をなんとなく眺めていたりする。
2007_0530__332  そんななかで、目についたのは、田村隆信と井口佳典だ。ピット内には、装着場の整備室前と、競技本部方面、選手控室入口あたりに、モニターが設置されている。取材班は装着場モニターでレースを観戦することが多く、レース中もレースの合間も、僕がもっともうろうろしていることが多いのがその付近なのだが、レースの合間にはリプレイなども流れているそのモニターに、しょっちゅう見入っていたのが田村と井口だったのである。85期5名のなかでも、もっとも行動をともにしているのを見かけるのは、この二人。その何割かは、こうしてモニターを眺めている姿だったりする。12R前の静かな時間、田村と井口はやはり、モニターを長い時間見続けていた。流れていたのは、まさにリプレイ。自分の出ているレースでもなく、先輩などが出ているとも限らないのに、二人はレースを見ながら会話を交わしているのである。2007_0530__076 かつてある一流のアスリートに、自分のプレイをチェックするという意味ではなく、ひたすら多くのプレイをビデオなどで観戦することが、ある種のイメージトレーニングになりうるのだという話を聞いたことがある。その量が多ければ多いほど、知らず知らずのうちに自分の血肉となるというのだ。田村と井口がそうした目的でモニターを見ていたかどうかはともかく、そんな姿が頻繁に見かけられたというあたりに、彼らの強さを見て取りたい気分になったのである。いや、そんな大げさなことではないかもしれないけどね。しかし、そこにレース映像が流れていれば、立ち止まって眺めるということは、誰もがやっていることではない。それだけでも彼らにアドバンテージがあると考えることは、決して的外れではないだろう。

2007_0530__308  そうした装着場の空気とは、まるで無関係な時間を過ごしていたのは、田中信一郎と三嶌誠司である。信一郎は昨日に続いて、レース後は整備室に飛び込み、再び本体を整備していた。今日は10レース4着で、一歩後退。まだまだ納得のいく機力ではないということか。一方、怪物モーターを駆る三嶌誠司は、同じく10Rでまさかの6着。やはり、レース後に整備室に駆け込んで(なぜか装着場の棚に牛乳を置いてから、整備室に入っていきました。飲む時間も惜しい、ということだろうか)、調整をしているようだった。2007_0530__154 そういえば、今日の三嶌はいつもに比べて、表情が硬かったように思う。怪物といわれるほどの手応えになく、だからその威力を引き出すべく慌しい時を過ごす。そんな感じだったのだ。シンガリ負けという屈辱を喫してしまったことで、決心もついたということだろうか。どんなに大急ぎだったといっても、今日は残された時間が短かった。明日の彼の動きは、気にしなくてはなるまい。

2007_0530__252  さて、今日も攻めるレースを見せたけれども5着に惨敗してしまった気になる山崎智也。前半の本体整備は、シリンダケースの交換だった。果たして、どこまで機力向上がかなったかと注目したのだが、レースでは結果につながらなかった。レース後は、何しろ11R出走だったから時間もほとんどなく、後点検の後は格納して、のんびりしていた智也。休憩室のようなところで、ヘッドフォンを耳に当てて、休息しているところを見かけている。明日からの戦いは厳しくなりそうだが、こうした時間も必要だ。気分を変えて、明日に臨め!(PHOTO/中尾茂幸=丸岡&石野、中野、田村&井口、田中、三嶌、山崎 池上一摩=12R、上瀧、服部、松井 TEXT/黒須田守)


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