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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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男の中の男――4日目、前半のピット

2007_0530__310  またこの男のことか、と言われるかもしれないが、やはり書かないわけにはいかない。
 田中信一郎だ。
 まず、ピストン、ピストンリング、シリンダケースを交換という大整備を施してきたことに驚いた。たしかに昨日、3日連続でレース終了後即整備、という姿を見かけていたが、まさかここまでとは。何しろ、F後のレースなのである。痺れた。
 続いて、スタート展示で4号艇からインを強奪したことに、慄えた。昨日は、このパターンでFを切ったのである。にもかかわらず、この動き。勝負を捨ててなどいないという意思表示に見えて、もういちど慄えた。
 結局、レースでは5コース。インに入ることはかなわなかった。ところが! 4カドの井口佳典がマクって展開ができた幸運もあったけれども、狭い艇間にズバリと突っ込む、信一郎らしいマクリ差し一閃。見事に勝利を手にしたのだから、もはや慄えは止まらない。すごすぎるでしょ、この男!
 ピットに戻ってきた直後の、信一郎は笑顔も見せず、鋭い表情を崩さずにいた。その後、勝利者インタビューを終えた後の顔は、まさに充実感いっぱいの、凛々しい表情。これで挫折がチャラになったわけではないけれども、努力とガッツを実らせたことに、ひとまずは満足感を覚えているように見えた。
 まさしく、男である!
 ちなみに、信一郎は2R1回乗りにもかかわらず、艇を片付けずに「試」のプレートをボートに取り付けている。もっともっと機力を上向かせ、勝利を追求するつもりなのだ! もう優勝には届かない。しかし、信一郎に痺れっぱなしの笹川賞。今年後半、この男からは目が離せないぞ。

2007_0530__493  石野貴之が、1Rで1着をあげた。今日の勝負駆けは、1・2着条件。まずは、後半レースにしっかり望みをつなぐ、価値ある1勝である。
 石野が、次代のスーパースター候補であることは、誰もが認めるところ。その要因は、実力や素質はもちろんのこと、その甘いルックスにもあると言えるだろう。ベビーフェイスの石野は、たしかに笑うとアイドル顔だと思う。ところが、1R後、少なくともピットでは石野の笑顔は一度も見ていない。レース後もそうだし、勝利者インタビューなどを終えて、自分の艇のもとに向かう際も、表情はキリリと引き締まったままだ。気合が顔に貼り付いて、瞳にぐっと力がこもる。視線は真っ直ぐ前、足取りは一歩一歩が力強い。どこからどう見ても、気合乗りがバツグンなのだ。若いだけに、これが入れ込みにつながらなければいいなあと心配もしてしまうのだが、しかし闘志を露わにすることは悪いことではない。後半9Rは6号艇だが、この男っぽさは決して軽視できない。

2007_0531__019  昨日の11R前、展示ピットにボートを移動させるギリギリ直前まで、係留所で調整をしている辻栄蔵を目撃した。作業にキューっと集中したときの辻栄蔵は、とても話しかけることなどできそうにない、バリアのようなオーラに包まれる。気さくでサービス精神旺盛な素顔のイメージとはかけ離れた、勝負師の匂いを発散するのだ。今節は、機力がもうひとつということもあってか、まさにそんな辻が出現しており、昨日の11R前というのは、まさにそんな辻の真骨頂といえた。
 今日も同じだ。選手仲間と会話をしているときには、底抜けの笑顔を見せたりするが、自分の世界に入ってしまえば、目つきがぐっと厳しくなる。辻と朝の挨拶を交わすときのパターンは2つあって、リラックスしているときにはニッコリ笑って、元気よくおはようございます! そして今日のような日には、目だけを緩めて、小さくおはよっす。そのどちらも僕は大好きなのだが、後者のほうにより男っぽさを感じるのはたしかだ。2着2本の勝負駆け、その男っぽさで乗り切ってほしい。

2007_0530__378 男っぽさなら、忘れちゃいけない白井英治。彼の鷹のような目には、いつも射すくめられるような気がして、内心ちょっとビビったりもしている僕である。彼は身長もあるから、迫力あるしね。いや、実際は好青年ですよ。挨拶をすれば、小気味よく返してくれるし。今朝も、装着場を移動している白井とバッタリ会って、思わずビビりながら挨拶をしたら、キッと僕を見据えながら、「おはよございまっす!」と小さく会釈を返してきた。3・6着という勝負条件は、今節の白井にはそれほど厳しいものではないだろう。むしろ、ここへ来て2連勝と波に乗った感もあり、気分が悪かろうはずもない。そんな爽快な心中が伝わってくる、白井の表情と言葉に、彼の好調ぶりが現われていると僕は感心するのだった。

Cimg2858  珍しい光景を目にしました。この写真、わかりますか? 2号艇のプレートをつけながら、艇上のカポックは黄色。初めて見ました、こういうシーンは。1Rに5号艇で出走した鎌田義、今日の2走目はたった2レースしか挟んでいない4R。レースを終えてピットに戻ると、いったんリフトで陸に上げるのだが(場によっては、2走乗りの選手などは直接試運転用係留所につけることが許されているところもある)、鎌田はチェックを手早く済ませて、艇番艇旗を仲間の協力を得て付け替えると、すぐに再び着水して、艇を移動させたというわけである。5号艇のカポックを着たまま。いやはや、カマギー、ご苦労様でした。その甲斐あって、というわけではないけれども、4Rでは見事に1着! あと2日、楽しませてくださいね、カマギー!

2007_0530__297  さて、ピンピンの厳しい勝負駆けに臨む気になる山崎智也。前半3R、5カドからS踏み込んで(コンマ05)ツケマイを放ったものの、届かず……。道中、3番手には追い上げたが、予選突破はかなり厳しい状況となってしまった。レースぶりは、さすがであったが……。レース後の智也は、顔に笑みすら浮かんでいた。力のない笑みだが……。それが智也である、ということは何度も何度も書いてきた。ボーダーなど、いくらでも変わりうる。後半、もういちど智也らしい、男っぽいレースを見せてほしい。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田=鎌田 TEXT/黒須田守)


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