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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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笑顔が見たい――2日目、後半のピット

2007_0627__0007  今日も今日とて、徳増秀樹にご迷惑をかけている私です。整備室の前を通りかかったら、ちょうど整備室から出てこようとした徳増選手と鉢合わせ。ほんと、連日の邪魔なデヴ、ごめんなさい。徳増選手の成績がもうひとつなのは、私のせいでしょうか……。いや、徳増選手とはご縁があるのだと思いたい。明日は舟券バッチリ買って、応援させていただきますよ!
2007_0625__0158  てな話で始めさせていただいた、後半のピット。今日はツラいこともあったので、それ以外はできるだけ明るくいきたいと思っていたりするのです。というわけで、まずは山下和彦。12Rが終わると、一部の艇は整備室の中に格納される、戸田のピット。狭いがゆえの独特なシステムなのですが、その作業にあたる艇運の方々は、これがまあ、実に手際がいい。12R前になると、作業がしやすいように艇を整備室に近くにずらりと並べ、レース後にはすぐに作業に取りかかれるよう、準備をしている。そのテキパキとした仕事ぶりには、プロフェッショナルを感じずにはいられないわけですが……って、あら? なんでその輪の中に、山下和彦がいるの? どういうわけか、山下が艇運の方たちとともに艇を運んでいるのであります。ニッコニコに笑いながら、お手伝いをする山下、なんだか楽しそうだぞ。成績がいまひとつなのは残念ですが、その笑顔を見れば応援せずにはいられない。明日は1着で上がってきて、今度は堂々と艇運の方たちに自分のボートを託してほしいものですね。

2007_0627__0472  12R2着の菊地孝平。前検、昨日と機力についてはかなり苦しい様子だったのだが、2日目が終わってみれば、1・2着で予選3位。「出てません」なんて言葉がとても信じられない成績であります。今日は朝から本体を整備していて、その効果があった模様。レース後の菊地は、エンジン吊りの静岡勢に囲まれて、ひたすら笑顔を見せていた。菊地が笑うと、坪井康晴、重野哲之も、笑顔が弾ける。気分の良さも、流れが来ている喜びも、とにかくポジティブな思いがドバドバと伝わってくる、静岡軍団の様子を遠目に見ながら、なんだかこちらも頬が緩んできたぞ。おっと、ボートのヘリのあたりに付き添っていた服部幸男も、思わず、といった感じでニマーッ。それまではクールに後輩の様子を見守っていたのだが、そんな服部をも笑顔にさせる、菊地が醸し出す幸福感、なのでありました。そんなハッピーな空気が、明日も明後日も続きますように。

_u4w7424 ハッピーといえば、今日の時点ではこの男以上の幸福感はないでしょう。湯川浩司だ。なんとここまで3連勝! 超抜です。すごいです。どのコースからでも、抜け出せそうな勢いがあります。現段階では、間違いなくダントツの存在。SG初Vも充分に見えてきそうな、それほどまでの強さと言えるでしょう。
 そんな湯川だから、さすがに笑顔でいる時間が多い。もちろん、レース後などに装着場あたりに顔を出せば、たちまち報道陣が寄ってくる“時の人”であり、そこでネガティブなコメントなど出てくるはずもないから、自然と笑顔をたくさん見かけることになるのだろうけど、そんな湯川がとても頼もしく思えて仕方がないのだ。エンターテイナー湯川には、笑顔こそがよく似合う。レース後のコメントは「気を引き締めていくだけ」。好事魔多し、という。明日からもたくさんの笑顔を見られるように、コメントの通りの鋭い走りを見せてほしいものであります。

_u4w7445  さて、ツラいことも書かねばならない。11Rをご覧になった方は、その容態をご心配されているのではないだろうか。2周目1マーク手前の直線で、上瀧和則が西島義則と接触して転覆、これに秋山直之も巻き込まれて、3艇が失格となった。もっとも危険だったのは、ありえないような格好で突如転覆となった上瀧で、結果から言えば、途中帰郷となった。落水した秋山は、少し頭を打ったとのことだが、まったく心配のない状態で、レース後は元気に走り回っていた。形としてはエンスト(ジャッジは妨害失格)の西島も、身体には問題なく、秋山ともども、明日も出走する予定になっている。上瀧だけが傷を負ったわけで、医務室に運ばれたあと、救急車で病院に搬送されている(これを書いている時点では、検査中とのこと)。
2007_0627__0751 救急車に乗り込む上瀧を見ていて、僕はなんだか涙が出そうになっていた。上瀧といえば、いろんな意味で、強者の象徴的存在である。どんなときでも力強く振る舞い、選手仲間のなかでは底抜けの笑顔で、周囲を牽引する。リーダーシップと男気にあふれ、確実にピットの空気を形成していく一人であるのが、上瀧和則。そんな上瀧の痛々しい姿が、なんだかたまらなかったのだ。心配して寄り添っていた選手や、周囲の関係者の様子から、極端に危険な状態ではないようではあった。上瀧も、首に巻かれたコルセットとキツそうな表情がひたすら悲しくはあったが、自足歩行はしていた。だから、それほど悲観する必要はないものと思われる。しかし、そこにいるのが上瀧だという事実は、どういうわけか、僕にはかなり受け入れがたいことのように思われた。上瀧和則も競艇選手という人間である以上、こうした局面とは常に背中合わせなのだが、しかしどうにも信じられない、だから悲しすぎる、という心境になってしまったのだ。
 選手の皆さんの安全を祈るのは、何もこうした事故が起こったときだけではなく、いつだってその思いは抱いているつもりだ。また、レースという競技の性質は、競艇ではなくとも、こうした場面がいつでも起こりうる宿命を内包していることも覚悟している。そして、僕は選手たちに、“激しい”レースを切望する。いろんな思いが複雑に同居しながら、僕は競艇を見つめている。そんななか、上瀧が負傷するという考えたくない場面と向き合って、僕はただただ悲しくなった。月並みだが、選手のみなさんの無事を、心から祈ります。そして上瀧よ、早く水面に戻ってきて、強き上瀧和則を再び見せてください。また、ピットでは僕らを震え上がらせてください。上瀧が、力強く復帰してくることを、僕は信じている。そして、競艇からハッピーな空気が二度と途切れないことを、本気で願っている。上瀧選手、まずはお大事になさってください。

2007_0627__0903  さてさて、どんな事態になろうともやっぱり気になる山崎智也。ドリーム3着に続いて、今日は1着。予選2位、である。さすが戸田SGの帝王。しっかりとポイントアップしているのだから、素晴らしい。気分が悪かろうはずもなく、智也スマイルを振り撒くところも何度か目にした。そんな智也の表情が曇ったのは、やはり11R時。後輩の秋山直之が事故に巻き込まれ、神妙な表情でボートリフトにやって来た。その後は、秋山を気にかけながら、率先してボートの片付けなどで後輩をヘルプ。こうした智也は、思えばあまり見かけることのない智也なのだった。智也自身も、これは他人事ではない、事故には気をつけてください。(PHOTO/中尾茂幸=徳増、山下、菊地、上瀧、山崎 池上一摩=湯川、テレビ画面 TEXT/黒須田守)


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