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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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気合は、淡々と――2日目、前半のピット

Cimg3330  不思議と、淡々としていた――。
 前半のピットを一言で表わせば、そうなるだろうか。
 激しい動きがあるでなく、しかし選手の姿は多く散見され、それぞれが静かに調整をしている。今日の蒲郡は、朝に雨があった。それもあって湿度が上がっており、気温はそれほどでもないが、蒸し暑さを感じる。昨日とは、やや違った感じの湿った風が吹いているのだ。だから、もっともっと慌しい雰囲気を想像してピットに向かったのだが、考えていたよりずっと穏やかなピットだったことに、少し驚いたのだった。
2007_0828__0403  とはいえ、初日を終えて、それぞれに機力の手応えを得た彼らが、ただただのんびりと過ごしているわけではないことは、当たり前だ。たとえば、ひとつのレースが終わり、スタート展示が終わる頃には、係留所に多くの選手が姿を現わし、ボートのかたわらで、あるいはすでにカポックとヘルメットを着用のうえ乗艇して、試運転可能の青信号が点るのを今か今かと待っている。そんな一人が、川﨑智幸。青信号とともに試運転に飛び出した。いったん戻ってきたあとも印象的だった。はた目にもそうだとわかるほど、視線を下に向けて、何かをじっと考え込みながら歩く川﨑。いったん装着場のど真ん中で立ち止まると、控室のほうへ足を一歩踏み出し、止まって、また何か考え込んで、今度は正反対の整備室のほうに足を踏み出し、止まって、またまた何か考え込んで、ようやく整備室に向けて歩き出した。彼の頭の中に、どんな光景が浮かんでいたのかは知る由もない。ただ、川﨑がこれまでに積み重ねてきた経験が導き出した、彼なりの方程式や公式が渦巻いていたのは間違いのないことだと思う。その思索で、川﨑はどんな答えを見出したのか。

2007_0828__0287  整備室には、中村有裕が一人、整備士さんにアドバイスを受けながら、ギアケースの調整をしていた。心配そうに見つめる整備士さん、真っ直ぐな眼差しでギアケースと向き合うユーユー。その調整はかなり長い時間続いて、3R前くらいだろうか、ようやく装着。整備士さんはその作業にも立ち会って、その間じゅう、会話を交わし続けていた。その姿が、なんだか兄弟のようにも見えて(整備士さんが、弟を心配する兄、というか)、ユーユーには申し訳ないが、ちょっと微笑ましかった。二人の思いが、結果に反映すればいいのだが。
2007_0828__0188  整備室と装着場の行ったり来たりを繰り返していたのは、“整備の鬼”今垣光太郎。いわゆる電気一式の部分を手に、整備室に駆け込んだり、装着場に戻って調整をしたり。まあ、いつもの光ちゃんといえば、いつもの光ちゃんである。ただ、雰囲気はいつもの光ちゃんではなかった。こうした鬼モードに入った今垣は、その集中力が並大抵ではないから、周囲が目に入っていないのではないかと思えるほど、思い詰めたように見えるものである。ところが、今日は柔らかい。集中力はそのままに、肩の力がポーンと抜け切った感じで、それこそ好調時の植木通彦さんを彷彿とさせるムードなのだ。ぼけーっと突っ立っているこちらに、「こんちはっ!」と挨拶をしてきたりもして。鬼モードの彼は、こちらが挨拶をしても、心ここにあらずの返答をしてくるだけのこともあったから、うーむ、やっぱり何かが違う。そして僕は、これをいい変化だと思うのだが。
2007_0827__0367 装着場を見回すと、ここで調整をしている選手がいつもより多いようにも思えた。吉川元浩は、ボートのへりに腰掛けて、ペラをじっと見つめている。時に光にかざし、時に顔にぐっと近づけて、5~10分ほどもペラと向き合っていたのだ。すこし近寄りがたいものがあった。整備室入口の近くでは、田村隆信がなんだか大きな整備をしているように見えた。ユーユーと同様に、整備士さんが付き添っていて、キャリィボデーを交換しているようにも見えたのだが、気のせいか。あるいはギアケースの整備かもしれず、このへんは確認し切れなかった。ただ、ドリームを制した田村が、それほどまでの大きな動きを見せていたのに、少し驚いたのだ。後半、機会があれば聞いてみよう。

2007_0828__0442  昨日の「熱闘!競艇甲子園」の記事で、「気合みながる愛知勢」というネタがあったが、ピットでもたしかに愛知勢の動きは目立つものである。もっとも気合乗りがすさまじいと思えるのは、原田幸哉。レースが始まる前から試運転に励んでいて、ピットに戻ってくるやすかさず調整に取り掛かっていたが、その眼力が強烈なのだ。もちろん、単にガチガチに気を張っているわけではなく、仲間と語らう際には笑顔を見せている。理想的な緊張と弛緩と言えるだろう。2007_0828__0115 赤岩善生も、闘志を感じさせる……というか、彼はいつだって、気合満点の男だ。今節は、そこに透明感すら覚えさせるほどで、顔つきにはむしろ穏やかさを見ることもある。挨拶を交わしたりすると、ほんと痺れるんですよ、これが。とにかく、気分が乗りに乗っている感じだ。
2007_0828__0126_2   まったく機力が上向かないらしい都築正治にしても、懸命に整備と試運転を続けていて、表情や仕草には現われない気合を感じることができる。これを書いている今も、目の前の水面を「都築」というネームプレートのボートが走り回っているのだから、なんとか彼の思いが天に通じて……いや、モーターに通じてほしいと心から願う。
 原田にしろ、赤岩にしろ、都築にしろ、(もちろん仲口もテツも大嶋一也も)こういう姿を見ると、地元SGっていいなあ、と思う。そして、地元有利という定石を「なるほど」と思ったりするのだ。

2007_0828__0219  さて、ムシムシした空気の中でも気になる山崎智也。先ほど「試運転を今か今かと待つ」と書いたが、そのなかに智也の姿がありました。都築と同様、智也もまた、整備と試運転を繰り返している前半。ここから劇的に変わったりすることもあるのが、智也だと思うのだけど、今節は果たして。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田守)


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今節は、是非とも幸哉くんに優勝してもらいたいです!
この「SG MB記念」に向けて頑張って来たはず、あの選手紹介を見て私まで熱くなりました。
愛知支部頑張れ!幸哉くん頑張れ!!

投稿者: うさ子 (2007/08/29 17:18:25)
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