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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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MB準優・私的回顧

9R “何もしない”頭脳プレー

①田村隆信(徳島)
②笠原 亮(静岡)
③菊地孝平(静岡)
④市川哲也(広島)
⑤新美恵一(愛知)
⑥田頭 実(福岡)

2007_0901_09r_0007  進入の段階で、すでに勝利の女神は市川哲也に微笑みかけていたのかもしれない。スタート展示では12346/5。6艇全員がブイに殺到し、5号艇の新美恵一が「こりゃ付き合いきれん」という風情で身を引き回りなおしていた。他の5艇はかなり深くなったが、とりあえず笠原-菊地の静岡ラインは「絶対に譲りませんよ」と先輩にピシャリと宣告したわけだ。
 そして本番。再び456の外枠3艇がピットアウトから激しく攻めたてる。静岡ラインも「譲らないと言ったじゃないですか」とばかりに抵抗する。そして、スタ展と同じような隊形で2マークのブイを回ったとき、つ、と1艇だけが一抜けした。新美ではなく、4号艇の市川だった。このままでは12356/4。内5艇は追い風に背を押されて前へ前へと進み、市川だけが悠々と逆方向に艇を流している。
 ♪そっちの水はこ~わいぞ、こっちの水はあ~まいぞ。
 そんな童歌が聴こえてくるような市川の艇団離脱。深い進入を恐れた新美と田頭は、やがて歌に魅入られたように回り直して市川に追随した。
2007_0901_09r_0022  123/456。
 字面だけ見れば何の変哲もない進入だ。が、実際には天国と地獄ほどの差がある枠なり3対3になっていた。123////456、こんな感じ。12秒針が回って外の3艇が握り、窮屈そうな内3艇は90mあたりでやっと発進する。
 スリットは6艇ともに芸術的な鋭発だった。インの田村から08、06、04、02、06、07……! 韋駄天揃いの準優の中でもひと際「ミクロ戦士」たちが集結したレースではあったが、それにしても素晴らしすぎる。そして、この直後に残酷なまでのスローVSダッシュの助走較差が生じた。4カドの市川が伸びる伸びる。

2007_0901_09r_0044  あっという間にカド受けの菊地を叩き、そのままインの田村まで呑み込んでしまった。これで一議席が確定。バック2番手には連動した新美が浮上したが、超抜パワーの笠原が2マーク全速まくりで地元選手の野望を打ち砕いた。
 市川の頭脳プレー。勝因は多々あるが、やはり進入で大勢が決したと私は思う。全選手が少しでも有利なコースを獲りたい、と躍起になる中で、市川だけは何もしなかった。「4枠なのに6コースになるかも」というリスクを背負ってまで何もしなかった。そして、何もしなかったことで、これ以上は求めるべくもない理想的な4カドが転がり込んだ。冷静で老獪で勇敢な艇団離脱。賞金王決定戦を含めてSGを4度制した男の恐さ強さを、改めて思い知らされた。

10R 恐るべきパワー差し

①池田浩二(愛知)
②魚谷智之(兵庫)
③今垣光太郎(石川)
④服部幸男(静岡)
⑤湯川浩司(大阪)
⑥濱村芳宏(徳島)

2007_0901_10r_0020  9Rが展開のレースなら、この10Rはコース&パワーのレース。進入はオーソドックスな枠なり3対3、インの池田が楽~な130m起こしでスリットはほぼ横一線。こうなると、「コースの利VSパワー差」の勝負になる。池田が逃げて、魚谷が差して、今垣が握った。多くのファンが思い描いていたであろう1マークがそこにあった。3者ともほぼ完璧なターンだ。コースの利が大きければ123、それを打破するだけのパワー差があればこの着順は変動する。1マークを見届けた私のイメージは123のままだった。
2007_0901_10r_0041  が、そのイメージには大きな誤算があった。魚谷のパワーがケタ違いなのだ。完璧な先マイを打った池田にバックで並び、交わし、2マークで置き去りにしていた。蒲郡の2コース差しは届かないことで有名だ。今節も多くの猛者がこの難題に挑戦し、そのほとんどが克服できずに散っている。巧く回ってやっと2着、という映像が私の脳内にこびり付いていた。その映像を魚谷の凄まじいパワーが蹴散らした。
服部「内の2人にまったくスキがなかった」
今垣「内の2人に完璧なレースをされた。あれでは仕方がない」
 レース後の敗者のコメントが、池田と魚谷がいかにハイレベルなレースをしたかを的確に物語っている。そして、勝者でもあり敗者でもある池田は吐き捨てるようにこう言った。
「まだまだ、足りませんね」
 逃げた池田と、差した魚谷。勝った魚谷と負けた池田。両者はコースを変えて明日も剣を交える。相手のパワーがどれほど強烈だったか、もっとも痛切に感じた男のコメントだった。

11R 上瀧VSレッドロックパワー

①山本浩次(岡山)
②赤岩善生(愛知)
③川﨑智幸(岡山)
④瓜生正義(福岡)
⑤村田修次(東京)
⑥上瀧和則(佐賀)

 これぞ準優! 「準優」という言葉が教科書に載るなら、このレースを教材にしたい。そんなレースだった。進入は126/345。上瀧の前付けで内2艇はやや深くなったものの、激しくやり合うこともない折り合った進入といえるだろう。イン山本の起こしは105mあたり。楽ではないが、抜群の出足を誇る山本にとっては十分に克服できる範囲だ。
2007_0901_11r_0037  内3艇のタイミングはすべてコンマ19。外の3艇は少し遅れたので、スリットを過ぎて6艇が横一線に並んだように見えた。10Rと同じくコース&パワーのレースになったわけだ。
 そして、1マークですぐに10Rとの決定的な違いが生じた。山本が節イチ級のパワーで早々に抜け出したのだ。まあ、10Rの逆転がちょっと異質だったわけで、この山本のイン逃げがスタンダード。コースの利もパワーも上なのだから、山本はしっかりと回るだけでよかった。
「今節、はじめて緊張しました。(1マークで)赤岩君がどこにいるのかな~とか思って。赤岩君、もの凄く出てると思ってたんで……」
 レース後に山本はこう語っているが、3コースから握った赤岩は追い風に流されてバック3番手を追走していた。2番手・上瀧との差は2艇身ほど。態勢はほぼ162、つまりコースと同じ順番で落ち着こうとしていた。
 が、ここからがやばい。山本が緊張するほどのレッドロックパワーがここからフル回転したのである。不気味なまでの伸びと回り足で、ターンを回るごとに上瀧にじわりじわり迫る赤岩。2周1マーク、2艇が並んだ。完全なマッチレース。いや、4番手の川﨑も5艇身ほど後方で諦めた素振りはない。この熾烈な2着争いこそが準優の醍醐味であり、このレースはその魅力を惜しげもなく露出している。
2007_0901_11r_0054  2周2マーク、川﨑が最後のお願いで内に切り込む。これを上瀧が抱き込むようなターンをした瞬間、赤岩の大逆転の差しがズブリと突き刺さった。狙い済ました決め差し。が、決着はまだつかない。3周1マーク、先マイした赤岩の艇が先頭の山本の引き波に乗って左右にバウンド。その間に上瀧は渾身の差しを繰り出していた。再び併走。息を吹き返した上瀧が外の赤岩を牽制しながら最終マークに向かう。そして赤岩の差し場を殺すべく減速した瞬間、赤岩が握って上瀧を抱き込んだ。この抱きマイが丸々2周の一騎打ちの終焉を告げたのだった。
 ザッツ準優。死力を尽くして2着を奪い合った赤岩と上瀧に惜しみない拍手を贈りたい。嗚呼、それにしても山本、魚谷、赤岩、笠原……誰が節イチパワーなのか、すっかりわからなくなってしまった準優でもあったな。(Photo/中尾茂幸、Text/畠山)


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