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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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緊張と緩和 5日目前半のピット

2007_0901__0158  13時すぎ。ここ最近の東京の涼しさに比べると、蒲郡のピットは南国のように暑い。屋根があるので直射日光はあたらないが、そのぶん湿気が外へ抜けずにピット内に充満している感じがする。今節、いまだに「ず抜けたエンジン」が生まれていないのも、この蒸し暑さが影響しているように思えてくる。

 ガラス張りのペラ室をのぞいてみた。中には、顔に汗を滲ませた男たちが十数人。
 誰がいるかを確認してみると、濱野谷憲吾、山崎智也、松井繁、鳥飼眞、白井英治、寺田祥、……と、豪華な顔ぶれがずらり。

 で、「あれ? 誰が準優に乗ったんだっけ?」と出走表に目を落としてみると、惜しくも準優出を逃したメンバーたちばかりだった。

 敗者戦になると、ピリピリムードも若干なごんでくるものだが、そんな甘い雰囲気はない。予選落ちになった悔しさを晴らすため、たとえ敗者戦といえでも全力で取りにいこうとしているのだ。今日のメインイベントは準優勝戦だが、彼らビッグネームの敗者戦にも注目してほしい。

2007_0901__0048  敗者戦にかける選手に混じって、準優10Rに出場する服部幸男がペラ室でペラを叩いていた。

 どの競艇場でも、服部は常にペラ室にいる印象がある。エンジン整備よりもペラで調整するタイプだからなのだろうが、部屋の主といった感がある。この難しい気温だからこそ、早い時間から微調整を繰り返していくのか、それとも初手からペラ室にこもるのが服部のルーティーンなのか。とにかく、いつもの服部と、何の変化もない。緊張などとはまったく無縁なようである。

2007_0901__0485  ペラ室のすぐ向かいには、準優メンバーの艇が止まっている。そのボートにもたれかかるように会話をしていたのは、85期のSGウイナー2人。田村隆信と湯川浩二だ。
2007_0901__0651  その表情は平穏そのもの。ときおり笑顔がみえるのは軽口を叩いているのだろう。もはやタイトルを獲った二人にとって、SGは緊張する舞台ではないのかもしれない。その後、二人で整備室に移動して、いっしょにエンジン台帳を確認していた。顔のつくりはまったく違うが、仲のよい兄弟のような風情であった。

2007_0901__0555  田村と湯川の二人から目を切ると、水面から上瀧と今垣の二人が上がってきた。けっこう珍しいツーショット。横に並んで整備室へ向かいながら、何か話をしている。どちらも寡黙なイメージのある選手だが、今回は今垣が身振り手振りをまじえながら上瀧に何かを伝えていた。ともにエンジンを徹底整備するタイプだから、エンジン関連の話だったのか。表情は真剣そのものだ。

 14時。水面やピットで唸っていたエンジン音がピタリと止む。すると今度はピットにいるテレビクルーたちが慌しくなる。前半の作業が一段落した準優出場選手を捕まえて、コメントを取るためだ。
「村田選手、すいません」
「瓜生選手、お願いします」

 そんなちょっとした喧騒の中、ボートにエンジンを設置する川﨑。すると夢大作さんが寄ってきて、川﨑とにこやかに談笑していた。それにしても川﨑の表情は豊かだ。やんちゃ坊主がそのまま大人になったような感じで、表情がコロコロと変る。

 

2007_0901__0125  成績がいい選手は、顔を上気させ、ピット内を意気揚々と風を切るように歩くことが多い。
 なのに、予選トップ通過の山本は「ボケーッ」とした表情で、なで肩で足をズるような感じで歩くため「トボトボ」という擬音がよく似合う。バター顔系のオトコ前なのに。

 ほんと、山本は不思議なオーラをもった選手である。インタビューの受け答えなどを見ていても、気負ったところがまったくない。その雰囲気をしいて言葉にするならば、やはり「癒し系」といったところか。
 いや、SG2優勝の選手にむかって、「ボケーッ」とか「トボトボ」とか「癒し系」というのは失礼なのだろうけど――。おそらくこれが山本の自然体。ひさしぶりのSGで、準優戦が近づくにつれ、どのように表情が変わっていくかが少し楽しみである。

 湯川「浩司」は同期と一緒で、山本「浩次」が自然体なら、そわそわした感じだったのは池田「浩二」。ペラ室に入ったり、整備室に入ったり、ピット内をうろうろしていた。

2007_0901__0024  こちらの「こうじ」も山本と同じく、準優1号艇である。しかも地元SGの。走りなれた水面だからこそ、逆に緊張しているのか。それともやることがたくさんあるので、あちこち動き回っていて、心の中はリラックスしているのか。私には前者のようにみえたのだが、はたして。

(PHOTO・中尾茂幸 TEXT・姫園淀仁)


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