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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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気分爽快――3日目、前半のピット

2007_1004_0436 「マクリいっぱーーーーーーーーつっ!」
 朝の青空を映す水面に、絶叫がとどろく。1R、都築正治が6コースから大マクリを決めた瞬間、誰もが胸を躍らせたはずだ。これぞ平和島。ピットでも、多くの人が(選手も含めて)そんなふうに囁きあっていた。
 主役の都築は、意外にも、淡々とした表情でピットに帰還した。もっと歓喜に沸いていてもおかしくないのに、まるでインから悠々と逃げ切ったかのように、いや、ヘタすりゃ負けて帰ってきたかのように、ごくごく当たり前の顔をして帰ってきたのだ。他の5人に挨拶をするときも、淡々。そそくさとカポックを脱ぐと、いち早く控室のほうへアッサリと入っていってしまった。
 ……しかし! やっぱり、気持ちのいい勝ち方に決まってる! 控室から出てきた都築は、ついついこぼれてしまうんだよなあ、といった感じで、ニッカァ~と笑顔を見せた。そりゃそうでしょう! ここで笑わなウソである。抑えても溢れる爽快な思い。都築、最高の笑顔だったぞ!
2007_1004_0258  勝利者インタビューを終えてピットに戻り、装着場でペラを外していた都築に、森秋光が近寄って、にこにこと笑っている。この二人、けっこう一緒にいるのを見るような気がするぞ。と、そこへやって来たのは田中信一郎。けっこう長い時間、都築と話し合って、二人は連れ立ってOPCへと向かっていった。座り込んでペラを叩き始める信一郎。それを中腰で眺めながら、時折手振りつきで声をかける都築。同期生の強烈なレースを見て、信一郎は自分にも取り入れられると考えたのか。そして、都築は同期生のリクエストに応えて、何かノウハウのようなものを伝授したのか。ちなみに、5Rに信一郎はペラを換えずに登場している。何かあるとするなら明日、だろうか。花の69期が勢いに乗ってきた、かもしれないぞ。

2007_1003__0808  信一郎は、2R後には試運転に出ている。早くも叩いたペラの試し斬りか? その信一郎が、鎌田義に声をかけた。昨日は転覆により腕を痛めた様子だったカマギーだが、今日は元気一杯。4Rには見事な勝利をあげている。で、信一郎がカマギーにかけた言葉が面白かった。「よっしゃ、ドライブ行くぞ」。まあ、たしかにドライブではありますけどね。レジャーな響きのあるドライブと、真剣そのものの試運転ではずいぶんイメージが違う。でもそうして、ツラい仕事も楽しくこなそう。そんな思いもあるんでしょうね。信一郎は、ぐるぐると何周も、ドライブに興じておりました。
 その信一郎とカマギーの会話でもうひとつ。前後はさっぱり聞こえなかったので、どういう脈絡の言葉かわからないのだが……
信一郎  成金王子と呼んでくれ!
カマギー 成金王子!?
 えっと、僕はこっそりそう呼ぶことにします(笑)。

2007_1004_0095  整備室を覗くと選手はほぼ皆無でガランとしたなか、寺田祥が本体をいじっていて、「超抜なのに?」と首を傾げてながら装着場に戻ろうと歩き出したら、鳥飼眞とすれ違った。挨拶をすると、小さくうなずくのみ。これはいつもの鳥飼眞だ。気合満点で、闘志みなぎる鳥飼眞の姿だ。そこでふと、考える。鳥飼は初日にFを切っているのだから、すでに終戦を迎えている。他の選手よりモチベーションが低くて当然。すっかり抜け殻になってしまっていたとしても、おかしくはない。しかし、鳥飼はいつもの鳥飼だった。気合のこもった、“博多の悪”鳥飼眞だったのだ。この男、勝負を投げる気など、ちっともないぞ! 必ずやどこかで穴を開けると僕は思う。追っかける!
2007_1003__0006  最近思うのだが、Fや転覆を喫してしまった後の選手は、不当に軽視されがちではないだろうか。Fを切ったら、次はスタート控えるだろう……そんな先入観、固定観念があるからだが、それって実は正解ではない、あるいはSGクラスにおいてはまったく逆なのではないか、と思えるのだ。たとえば、得点的にはかなり厳しくなってしまった今村暢孝が、1R後に上瀧和則とかなり長い時間、真剣な表情で話し合っていた。内容はまったく聞こえてこなかったけれども、明らかに今後への作戦会議というか、アシを上向かせるための相談事のようであった。予選突破は苦しくなった、だからもうあとは消化試合……そんなことは少しも考えていないのである。それが結果に直結するかは別の話ではありつつも、特にSGなどの上級レースにおいては、それまでのつまずきなどすぐに取り返してやろうという選手ばかりと言っていいだろう。それが、競艇選手の魂なのだ。

2007_1004_0653  同様のことを、今節気になる銀河系に感じた。2Rの田村隆信だ。田村は昨日の妨害失格で賞典除外。鳥飼と同じく、終戦を迎えている。それなのに、しかも2Rは6号艇だったのに、田村は本気で勝利を欲していたようだった。レース後、まるで顔色なく落胆していた田村に、逆に慄えた。負けて、こんな顔ができるから、彼は強いのだ。本気で、カッコいいと思った。同じレースでは井口佳典が大敗。得点的には完全に追い詰められている。菊地孝平が、優しく慰める。横澤剛治が背後から井口の肩を揉む。先輩たちの激励に、井口は力ない笑みを返した。溜め息が聞こえた。そんな井口にも、田村と同種のものを感じた。そして、この後も飽くなき勝利の追求を見せてくれるだろうと確信した。_u4w1779 湯川浩司は4Rで2着。1号艇で1着を取りこぼしはしたが、彼も他の二人と思いは変わらない。まだまだ銀河系のダービーは終わっていないのだ!(PHOTO/中尾茂幸 湯川のみ池上一摩 TEXT/黒須田守)


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