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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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熱く静かな闘い――初日後半のピット

2007_1110_0871_2   午後になっても、児島のピットは熱かった! 気温にしても11月とは思えないほど高かったのだが(7R時点で19度と、本当に過ごしやすい)、それよりもとにかく、選手たちの闘志が熱いのである!!
 ムンムンした闘志というわけではないし、殺気立つ緊張感があるわけではないのだが、52名の選手がそれぞれに発散している「静かな闘志」がピット内を支配しているようにも感じられたのだ。
 前半のピットリポートをUPしたあと、ピットに行くと、星野政彦、本橋克洋がモーター本体を整備しており、仲口博崇、深川真二、菊地孝平がギアケースの調整をしていた(写真は仲口)。
 とくに菊地は、午前中には本体を割っていたので、ずっと整備室での作業を続けていたのだろう。昨日、“整備室の番人”と化したかのように本体整備をしていたのは西島義則だったが、西島は作業にある程度のメドが立ったのか、作業をしている姿はあまり見かけられなくなっていた。そんな西島とバトンタッチして、今日は菊地が整備室の番人となっていたわけである。
 7Rの出走とほぼ同時に、菊地と仲口がギアケースを取り付けていたが、それぞれにその眼差しは鋭く、口は真一文字につぐんでいたのだから、二人が並んでいる姿は印象的だった。

2007_1110_0526  菊地に対しては、モーターの調子を尋ねてみたが、わずかなあいだ考えた顔をしたあと、「ひととおり点検はしたんで、今から試運転してみます」と言って、菊地らしい笑顔を見せてくれた。
 10R前の試運転から引き上げてきたときにも遠目で様子を見ていたが、それなりの手応えはあったのだろうと思われる。
 ボートを係留しながら、足合わせをしていた重野哲之に対して、大きな声で「どう?」と声を掛けていたのだが……。
「出足はいいかな?」(by菊地)、「伸びもけっこういいですよ」(by重野)「マジで?」(by菊地)
 といったやり取りを、笑いながらしていたのだ。……12Rのドリーム戦では4着となったが、明日以降の闘いに期待は持てるだろう。

3r0015116  また、7R前頃には「待機ピット」が大繁盛状態にもなっていた。10人ほどの選手が試運転に出たり入ったりしながら、調整を繰り返していたのである。
 そのうちの一人、松井繁は、岡本慎治と何かを話していたあと、間を空けずに金子良昭とも話し込み、何度となく笑顔を見せていた。こうした場所ではたいてい、「足の感触」について意見を交換し合うものなのだから、松井もまた好感触を得ていたものと思われる。

 そして、ピットに目を移せば、少し前までは松井と話をしていた岡本が、今度はレースを目前に控えている三嶌誠司と話し込んでいた。三嶌はこのとき、笑って話をしながら、いつものようにストレッチもしていのだから、なんとも三嶌らしくて、見ているこちらも思わず笑みを浮かべてしまったほどだ。

4r0015121  さらに目を移せば、いつのまにかピットに戻ってきていた金子良昭は、今度は川﨑智幸と話しこんでいた。ほぼピットの中央に当たる場所で、午前中は金子のボートが置かれていた場所なのだが、このときは、川﨑のボートが置かれていたため、それを挟む格好になっていた。
「整備屋」ともいえる二人が話し込んでいる様子からはしばらく目が話せなかったが、川﨑が金子にプロペラを見せていたりもしたので、整備やプロペラについて意見交換をしていたのだろうと想像される。

2007_1110_0779  ペラ小屋はもちろん、一日を通してずっと繁盛していた。
 ここで見られた選手の名前を列記していけばキリがないほどだが、地元のペラグループ「イーグル会」の岡瀬正人のほか、濱村芳宏、烏野賢太、前本泰和、鳥飼眞、山崎哲司といった、いかにもな顔ぶれがよく目についた(写真は岡瀬のもの/イーグル会のリーダー、小畑実成はレース後もモーター整備を中心とした作業をしていた)。

 なお、今日は9R一回乗りで、4号艇5コースから1着している前本にモーターの調子を訊いてみると、「う~ん」と少しうなってから「良かったり悪かったりですね」と笑みを浮かべていた。
 どこまでも前向きで、整備作業から手を抜かない前本なので、今後もさらに機力を上昇させてくることはずだ。

6r0015127  11Rでは吉川元浩が転覆するアクシデントがあったが、本人に異常はなく、その後すぐに、着水してしまったモーターを分解して整備し直していた。
 黙々とその作業を進める姿は、まさに職人である。
 その吉川の作業の様子を少し離れたところから見守っていたのは、前検日には同じタクシーで競艇場に入ってきていた松井だ。
 次にレースを控えていながらも、けっこう長く様子を見ていたが、問題ないと判断したのだろうあとに選手控室へと移っていった。

 今日の松井は、一日を通して輝きに満ちていた気がする。
 展示航走前にはボートに乗り込む直前にいつものように軽くジャンプしていていたし、吉川の様子を見ているときには軽く屈伸をしていたりしたので、足(注;体の「足」です)の状態については、万全とまではいかないにしても問題はないのだろう。また、あちこちでいろんな選手と話をしながら笑みも浮かべていたように、精神的にもゆったりと構えられる機力とコンディションになっているものと思われる。

2007_1110_0608  12R、キングドリーム戦についての解説は別項に譲るが、見事に逃げ切り、松井が勝利している。
 レース前に、自分に気合いを入れ直すようにお尻をパンパンと叩きながらピットへの階段を下りていく姿が松井らしければ、レース後、こうした結果も当然というふうなムードを醸し出していたのも松井らしい。どんなレースであっても、勝って当然と考えるようなことはないのだろうが、「王者の貫禄」というものをまざまざ見せ付けられた気がしたものだ。
 カポックを脱いでいたとき、2着の田中信一郎が傍に来ると、お互い何も言わずに目と目で頷き合っている場面にもしびれた! 松井も田中も、「男が見てもしびれる選手」という点では共通しているが、こうしたシーンを見たときには、よりいっそうそんな思いが強くなる。
 ……このレースでは、エースモーターを駆る山本浩次が転覆してしまい、明日からどうなっていくかも気になるところだ。山本の体に異常はないようで、普通に引き上げてきたあと、ピット内を歩いていったが、さすがにその表情には気落ちしているようなところがあったようには感じられたものだ。ただし、そうはいっても、目の光は失われていなかったのだ。
 山本の立て直しには期待したいし、明日からの児島では、「混戦の様相」を呈したいっそうの激戦が繰り広げられるはずである。
(PHOTO/中尾茂幸=仲口、菊地、岡瀬、松井2枚目+ 内池=その他   TEXT/内池久貴)


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