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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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選抜戦私的回顧&本日の独断MVP

プリンス選抜・私的回顧

 まさかの結末だった。
R0015185  昨日のドリーム戦の、山本浩次が転覆、西島義則が不良航法というのにも驚いたが、今日はそれ以上。3号艇の重野哲之がコンマ07、約半艇身もスリットオーバーするフライング。それに釣られる形で、4号艇の中島孝平もコンマ02のフライングに散った。

 フライングを切った重野はエンジンが出ていた。とくに行き足が良かった。初日を3着2着にまとめていただけに、今節はかなり期待をしていたはずである。
 ところが、プリンス選抜の内枠4選手は、選りすぐられたスタート巧者ばかり。機力だけでは勝てない。おそらく重野の頭の中に「スタート行かなきゃ勝てない」という思いが、強くあったはずだ。それが勇み足を生む。

R0015191_2  フライングのスタートから内を絞りに行くも、重野は1マークで弾き飛ばされた。重野にかわって浮上してきたのが中島孝平。田村と白井の間にできたスペースに、お手本のようなマクリ差しが入る。
 美しいターンだった。が、それは記録の上では幻となった。

 場内に返還の行列ができる。あちこちからブツクサ言う声が聞こえてくる。でも、重野や中島を買ったファンは、心の中では彼らを許しているのではないだろうか。重野は自力でマクリにいったわけだし、中島は綺麗にマクリ差しを入れて、バックで先頭に立ったのだから。

 

2007_1110_0316  当然フライングは褒められたものではない。だが、「ギリギリまで攻めてでも勝ちたい」という選手の気持ちを貶すことはできないように思う。

 レースを制したのは森高一真。1周2マークで、バック水面ラップ状態だった吉田拡郎との争いにケリをつけて1着となった。

 勝負のアヤとはいえ、6選手の中でもっともエンジンが出ていないと思われる森高が勝つのだから面白い。ただ、森高はひたすら冷静だった。カド受けだったにも関わらず、重野のスタートに釣られず、フライング艇が先行している状況にも関わらず、2マークでターン漏れがなかったのだから(一方の吉田拡郎は動揺していたように感じる)。

 昨日は10、11、12レースと3連続転覆。そして今日は12レースで2艇がフライング。
 事故が選手たちの熱い魂の副産物とはいえ、明日こそは無事故のレースが見てみたいというのが、今の正直な気持ちである。

 

本日のMVP! 小畑実成&川﨑智幸

 競艇キングカップ2日目は、地元岡山・イーグル会の重鎮二人が観客を魅了した。

 初日の成績こそ1着4着にまとめてはいたが、小畑実成の足は悲観すべきものだった。
 とくに1着を取ったレースは、楽に逃げ切らなければいけない展開なのに、最初から最後まで仲口にからまれる展開。からくも凌いだのだが、レース後のコメントは、
「(足が)弱い。今のままでは厳しい」。

2007_1110_0603  小畑の操る45号機は、2連対率こそ31%ながら、前節の優勝エンジンである。
 しかしよく見てみると、前節は4日間開催で、しかも使用していたのは辻栄蔵。機力ではなく腕だけで優勝した感じなのだ。
 さらに機歴をさかのぼっても、目立った成績を残しているのは「一般開催&A1選手使用時」がほとんど。エンジンの力で好成績が残せたというレースは皆無なのだ。

 7レースのスタート展示がはじまる。小畑は4号艇で登場だ。展示タイムは6秒91。今日ここまでのレースでもっとも遅い展示タイムが、エンジンが上向いていないことを証明する。唯一の光明はスタートタイミングが合っていることだけか。

 そして本番。小畑は進入で大きく回りこんだ。真っ先に艇をスリット方向に向け、ネトロンに張り付いた。なんとインを主張したのだ。深イン必至である。
 この進入には、1号艇の馬袋も諦めざるをえない。いや、自在屋の馬袋があんな深インに付き合う必要がそもそもない。
 進入は412/356の3対3になる。だが実際は、1対5の進入といっても過言ではないくらい小畑がひとりだけポツンと離れた場所にいる。これなら〝2カドもどき〟を手に入れた馬袋が圧倒的に有利だ。

 スリット。小畑が絶好のスタートを決めてきた。しかも行き足が若干改善されたのか、トップスピードに乗るのが早く、深インなのに他艇にマクる隙を与えない。そして、1マークを真っ先に回った――。
 結果は〝2カドもどき〟の馬袋に差されて2着に敗れた。だがこの2着は大きい。残り3走を、3着・4着・4着で、準優出できるのだから。
 ピンチのあとにはチャンスあり。厳しい2日間を凌いだのは大きい。3日間もつきあえば、45号機に言うことをきかせるにはどうすればいいか、そろそろ小畑も掴んでくるはずである。

2007_1109__1023  エンジンが悪いのに成績がいい小畑に対し、エンジンがいいのに結果が出ていないのが川﨑だ。
 初日が4着。今日の1走目も5着。
 もし3走目となる今日の9レースで大きい着順を取れば、2日目にしてはやくも終戦をむかえることとなる。岡山の重鎮として、それだけは避けたい。

 崖っぷちに立った川﨑が選択したのは、スタート勝負であった。インから思いっきり踏み込んだスタートは、コンマ01のタッチスタート! ちなみに2コースの田中信一郎のタイミングはコンマ11。エンジンが噴いている田中を押さえ込むためには、たとえインといえども川﨑は半艇身くらい前に出ておきたかったのだろう。

 これで得点率は5.33。準優進出への望みを紡いだ。
 小畑の深インと快スタート、そして川﨑のタッチスタート。彼らが長年にわたって走り慣れた児島だからこそできる芸当なのであろう。
 過去には岡山は競艇王国と呼ばれた。だが99年以降、岡山の選手が児島の記念レースを勝っていない。競艇王国の全盛期を知る末裔たちが、明日も児島を疾走する。

(PHOTO・中尾茂幸<3~5枚目> 内池久貴<1~2枚目> TEXT・姫園淀仁) 


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