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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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児島優勝戦――私的回顧

前本泰和――35歳のGI初制覇

2007_1115__0335 児島GI競艇キングカップ優勝戦

①前本泰和(広島)
②川﨑智幸(岡山)
③赤岩善生(愛知)
④一宮稔弘(徳島)
⑤吉田拡郎(岡山)
⑥森高一真(香川)

 スタート展示同様、森高一真が強引にイン水域を強奪した。前本が怯めばイン確定の勢いで。が、前本も絶好のポールポジションを譲るわけにはいかない。くるりと舳先を向けて、深インが決まった。
2007_1115__0321  レース前、私は前本のV確率を60%ほどと予測していたのだが、この進入で40%ほどに引き下げた。今節の前本のスタートはコンマ11、15、24、10、35、14とバラけている上に、この深インである。さらにスタ展では+12というとんでもないFを切ってもいた。
 スタートが見えないのではないか。
 前本のアタマ舟券をしこたま買っている私が心配している間にも、1号艇はどんどん深くなってゆく。進入は16/2/345で、前本の起こしは100m付近。微妙な距離だ。前付けした森高が明らかにタイミングを逸し、3カドにも近い川﨑智幸が早々に森高を追い抜いた。あとは前本の気合いと出足次第だ。そして……スタート。

2007_1115__0393  スリットを通過した瞬間、前本泰和が勝つ確率は一気に90%程度までアップした。タイミングは内から11、42、11、10、09、15……森高以外は横一線で、こうなると前本の怪物級のレース足が生きる展開になる。残り10%の不安は、森高のドカ遅れによる展開の紛れ。たっぷりとマイシロを取った川﨑の決め差しだけが、唯一の逆転ファクターだ。
「差されないことだけを考えて回りました」
 もちろん前本も差し巧者の川﨑だけを警戒し、少し落としながらターンマークを舐めるように旋回した。冷静かつ激辛モンキー。差し場を逸して減速を余儀なくされた川﨑はわずかに振り込み、そこで前本のV確率は100%になった。あとは慎重に丁寧に5つのターンマークを回るだけ。ゴールの瞬間、前本はちょっと控えめに右の拳を突き上げた。35歳での記念初制覇だ。
2007_1115__0444_2  「こんなチャンスはもう二度とない、っていうくらいの気持ちで走りました」
 表彰式で前本は胸を張ってこう言ったが、確かに千載一遇のチャンスだったかもしれない。歴代新記録の7連続優勝を含めて、今年は一般シリーズを10個ももぎ取っている前本。「できすぎですよ~」と本人も苦笑するほどの抜群のリズムに、走り慣れた準地元の水面(児島では今年3戦3V!)、怪物級のレース足、1号艇……優勝するための布石、お膳立ては完全に整っていた。だからこそスタートが難しい、という極度の重圧もあったわけだが、前本はその最後の難関もコンマ11の鋭発で突破したのだ。
「やっとGIを獲れたんで、もうひとつ上のステップで頑張っていきたいです」
 今日のようなレースができれば、それも単なる目標ではなくなるだろう。浜名湖チャレカはF休み。前本泰和の「もうひとつ上のステップ」は、V11を手土産にした総理大臣杯からはじまる。
2007_1115__0320_2    勝者にのみスポットを当てたが、「未来のイン屋」(と勝手に私が決め付けている)森高の前付けも素晴らしかった。森高が捨て身で動かなければ、優勝戦の進入は単調な枠なり3対3になっていた。それもひとつのレース形態だが、スタート前から本命を買っている者も穴を買っている者もドキドキワクワクカッカソワソワする進入が競艇の、特に優勝戦の醍醐味だと私は思う。森高君、これからも三嶌とともに大舞台のピットアウトからガンガン暴れまくってくれ! 正直、前本の舟券を買っている身としては「来ないでくれ、森高~!」と思ってはいたのだけどね。
 それからアウトから全速でぶん回して2着に入った吉田拡郎も見事だった。記念に入るとまだまだレースは荒い拡郎だが、GI初優出で2着という経験がまた彼をひと回り成長させることだろう。ゴール後のバック直線、拡郎は記念優勝戦の水面を愛でるように艇を流していた。川崎や赤岩善生に抜かれつつ、ゆっくり、ゆっくりと。夕焼けに照らされてオレンジ色になったカポックが印象的だった。(Photo/中尾茂幸、Text/畠山)


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競艇の好きなところ 【いいこといっぱいあるといいな♪】
競艇というと以前は競艇=横山やすしってイメージだったのですが{%sweat%} 偶然深夜番組で競艇の中継を観てその時にあら、面白いと思って 興味を持ちました。 迫力のあるターンやスピード感もさることながら 私がいいなあと思うのは女性の方が男性に混じって頑張ってらっしゃること。 すごいなあといつも感心しています。 波しぶきが気持ちよさそうな競艇。 いつか生で見てみたいなあ・・・・・。... 続きを読む
受信: 2007/11/18 21:57:46
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