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賞金王決定戦 私的回顧

2007_1224_r12_1307_2 2007年 賞金王決定戦

1 吉川元浩
2 井口佳典
3 湯川浩司
4 魚谷智之
5 松井 繁
6 三嶌誠司

 1マークで銀河系が火花を散らしてブツかる。
 そして、大爆発を起こした。

 レースの詳細を説明しよう。
 進入は枠なりの3対3。内に入ろうとする選手が一人もおらず、かなりの楽インとなった。
 6選手のスタートタイミングは、コンマ09から19の間におさまる。
 インコースの吉川は16。2コースの井口は19。内2艇に対して、3コースの湯川はコンマ11のタイミングで通過した。スリット上で、2コースの井口よりも約半艇身ほど前に出ていた。
2007_1224_r12_1354  スリットを通過後、一瞬の間。そして湯川は艇を左に寄せる。同期の井口を容赦なく斬りにいった。

 井口には二つの選択肢があった。突っ張るのか、引くのか。
 二人が同期ということを考えれば、引くのが無難な選択ではないかと思われた。ムリに突っ張っても共倒れになるだけ。それよりも、湯川にイン攻めを任せて、差し一本に構えたほうが、他力とはいえチャンスは残る。
 だが井口は引かなかった。自分の前へ出ようとする湯川を内からグイグイと押し返し、そのまま1マークへ突入する。

 抵抗した井口がモーター停止。失格。
 抵抗された湯川は1マーク奥、灯台の方向へとぶっ飛んでいく。5着。

2007_1224_r12_1360  どれくらいの観衆が、1マークで井口と湯川がヤリ合うシーンを想定していただろう。
 正直なところ私は想像していなかった。井口が行くのなら湯川がマーク。湯川が攻めるのならば井口が引いて差し。暗黙の了解とまではいかなくてても、あうんの呼吸のようなものがはたらくのではないか。勝手に思い描いていた。

 そんなものはなかった。

 水面の上では先輩も後輩も同期もない。同じ銀河から生まれた二つの恒星は、互いにブツかり合って、弾け、消滅した。

2007_1224_r12_1363  二人にとって残念な賞金王決定戦だっただろう。ただ、

「まだまだ湯川は、井口は、そして銀河系軍団85期は強くなる」

 そう感じさせる激しいレースであった。馴れ合いから強さは生まれない。
 来年、一回り大きくなった湯川や井口が、住之江の舞台に立っているのが、容易に想像できる。そんなバトルであった。

 07年の賞金王決定戦を制したのは1号艇の吉川元浩である。2コースと3コースがヤリ合ったこともあって、楽々と逃げ切ることができた。
2007_1224_r12_1375  ただ、「恵まれた」という感じの逃げ切りではない。エンジンは完璧に仕上がっていたし、ターンや、ターン後の立ち上がりもシッカリしていた。もし外から攻めてくる艇があったとしても、逃げ切っていた公算は高いだろう。
 それに、流れを引き寄せたのも自分自身である。最大の勝因は、トライアル3戦目で6コースから驚異のマクリを決めたこと。決定戦の1号艇を手繰り寄せたから、あのレースができたのだ。
 吉川はこれがSG初制覇であるが、「棚ボタ」や「ラッキーパンチ」という印象もまったくない。無冠の実力者が、タイトルを手に入れたと考えるのが妥当だろう
 1億円を加算しても賞金ランキングは2位。しかしタイトルを手に入れて一皮むけた吉川は怖い。同県の魚谷智之が昨年の福岡をスプリングボードにして一気に頂点に駆け上がったように、吉川もこの地から飛び立ったのである。

2007_1224_r12_1438  2007年の賞金王決定戦には様々な伏線があった。松井繁の連覇なるか。魚谷智之が名実ともにトップに立つか。瓜生正義の地元優勝、服部幸男の復活、年間SG3勝や賞金王V4がかかっている選手も複数いた。
 世代間抗争というとらえ方もできた。来年デビュー20年をむかえる松井繁と服部幸男の64期がベテランの牙城を守るか。それとも最近少し低調な69期の二人、田中信一郎と三嶌誠司が復権を果たすか。飛ぶ鳥を落とす勢いの76期、魚谷智之と瓜生正義がさらなる飛躍をみせるのか。そして銀河系85期、湯川浩司と井口佳典が一気に世代交代を進めるのか。

 レースが終わった。そしてまた、新たな伏線が張られた。
 賞金ランキング1位2位を占め、名実ともに尼崎最強伝説を築き上げた兵庫支部がどのような活躍をみせるのか。それに立ち向かう名門・大阪支部。85期はさらに勢力を増すであろうし、今年13位に泣いた原田が奮起する76期は負けてはないだろう。
 賞金王決定戦は終焉であり、あらたなる胎動なのだ。

 身動きできないくらいの大観衆で埋まった福岡のスタンドも、今はひっそり静まり返っている。水面は宇宙と地続きのように漆黒で、ただ灯台の明かりだけが赤く写っている。

(Photo/中尾茂幸 Text/姫園淀仁)
 


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コメント

なんで 宇宙の話が出てくるんですか?w
もっと臨場感ある内容のほうがいいですね

投稿者: 山岳救助隊 (2007/12/25 22:47:53)